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運良く警備の薄い道を通ったとしても、それがいつまでも続くだろう思っていたところで口を塞ぐことになる。フレイヴとオルチェは前方に見える大きな橋を見つめていた。周りにはそれ以外は何もなく、代わりに厳重な警備軍たちが配置されているのだ。まさかとは言うが、射撃砲工場から物品を盗んだ犯人がこちらを通るとでも思ったか? いや、通れねぇだろ。こんな警備数じゃ。なんてオルチェが心の中で一人毒付く。
「橋までの道ならば、いくらでもあったが……」
「橋自体はそうそう多くありませんもんね」
二人は物陰に隠れながら、八番街を羨むように見ていた。ややあって、タバコが恋しいのか、オルチェが火はつけずして咥えるだけにした。どのように軍人たちを欺いて向こう側へと渡ろうか。正直な話、独立の国の軍にまで敵に回すとは思わなかった。あの場所で工場員に見つかるとは。迂闊だった。不用心だった。
「他に道ってないですかね?」
あの橋を通ることが難しいのであれば、別の道を通って一番街へと行けないか。そうフレイヴが提案をする。だが、オルチェは「うーん」と渋った表情を見せる。
「行けないことはないんだが……バックヴォーンの部下がうじゃうじゃいそうなんだよな。逃げるに逃げられない。かと言って、町中で暴れてみろよ。すぐにあいつらがやって来るがオチだ。これを持っているからな」
オルチェは射撃砲を見せた。見れば見るほど頼もしい武器と思える。彼曰く、遠くからでも広範囲に攻撃できる優れ物らしい。これが独立の国が作り上げた最新式の武器。決して新王国側に知られてはいけない極秘物。
「くすねない方がいいと思っていても、無理があるしな」
それはウルバとウルノの二人の戦いにおいて学習した。自分自身は力の過信があったようだ。それこそフレイヴに対して言っていた言葉通りに。
さてさて、話が大きく逸れてしまったようだが、どのようにして先を急ごうか。オルチェがフレイヴの方を見たときだった。いつの間にか彼はいなくなっていた。どこへ行ってしまったのだろうか。嫌な結果でないことを祈りつつ、焦りながらも辺りを見る。うわっ、こっちに軍人が来てる! ヤバい!
ふと、地面を見ると、地下へとつながる穴が空いていた。その横には大きな蓋がある。フレイヴは地下に行って、様子でも見に行ったのだろうか。
「フレイヴ?」
全く、どこへ行こうとしているんだ。人が話している最中だったというのに。下りた先が軍の巣窟でありませんように。そう願いながら、梯子を下りていくと――。
「ああ、オルチェさん」
フレイヴはいた。
「人の話は最後まで聞いてくれ」
オルチェの場合は憤りより、ちょっと寂しかったらしい。それもそうだろう。敵地のど真ん中で忽然と自分の仲間がいなくなってしまったのだから。見つかってよかった。見つけられてよかった。ああ、心臓に悪い。しかしながら、フレイヴにとってあまり気にしないらしい。そこは主従関係――とは一切関係ないが、彼は「見つけましたよ」と地下道の先を指差した。
「多分ですけれども、この先って八番街じゃないですかね」
フレイヴの指の先は一本の地下道であった。




