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バタバタとよく聞こえる靴の音。そんな音を出している者たちの手には剣や槍と言った近接武器ではない。工場員の情報によると、侵入者は二人組。内一人は小柄だから、未成年らしい。彼らは射撃砲工場へと侵入し、いくつかの武器を強奪した疑いがある。目撃者のほとんどが遠くからしか姿を捉えていないという。なぜか。その目撃者曰く、近くにいた目撃者に攻撃を加えていたから。なんとも単純。だが、その理由は当然とも言えた。
独立の国の軍人たちの会話を聞いて、物陰に隠れていたフレイヴとオルチェは少しだけ安心した。自分たちの情報があまり行き渡っていないからである。それは構わないとして、次はどのようにして動こうか。二人が向かっているのは入り組んだ都市の一番街ではあるが、そこへと向かうために軍事施設の敷地内でもある八番街と十番街を通らなければならない。だが、見張りがいる。ケレントの指示ではない、れっきとした国からの指示を仰いだ軍人たちが。
「チッ、面倒だな」
なかなか動けないということもあるのだろう。オルチェが舌打ちをしながら、手に入れた射撃砲の確認をしていた。うむ、十分に使えそうだな。
「八番街へ行くのは難しそうですね」
「そうだな。どうやって行こうか」
あごに手を当てて考えるオルチェに対して、フレイヴは「地下道とかは?」と訊いてきた。
「入り組んだ都市ですよね。地下にも道があるのはおかしな話じゃないと思うんですけど」
「まあ、使えるな。でもよ、いくらこの町が逃げ道の多いところだと思っても、安心したらダメだぜ。下手に言い換えれば、敵の庭でもあるんだ。挟み撃ちされたらそこまでだからな」
おまけにあんな飛び道具を装備しているからな、と今一度軍人の武器を見た。確かに飛び道具だ。それだけなのに、対処法が上手く考えられない。カムラの剣だけで防げるとは到底思えない。オルチェに助けてもらうばかりなのも――一人対複数は無理だろう。それならば、どうするべきか。行動を起こさなければどうしようもないことはわかっている。今のところ、敵はケレントの手下と独立の国の軍人たち。同時に相手をしなければならないだから。なんてフレイヴが周りを見渡していると、街の上の方を見て思った。バタバタとしている軍人やケレントの手下たちが少ない、と。それに気付いた彼は早速オルチェに教えると――。
「背に腹は代えられないしな」
絶体絶命だったフレイヴたちにチャンスが巡ってくる。無理にでもここで行動を起こさなければ、後悔する。そうならないためにも、二人は追っ手に見つからないようにして、街の上の方へと逃げ込んでいくのだった。
実際に上の方へやって来ると、下の方ばかり足音が聞こえてくるのがわかった。どうやら、目撃者は逃げた先の方を伝えたようで、そこを重点的に捜索しているようである。これを機に、二人は人気が少ないこの道を利用して八番街へと続く大橋へと向かうのだった。




