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独立の国は新王国との戦争をするための準備をしている。オルチェの憶測を聞いたフレイヴは驚愕していた。これは確信的ではないにしても、信憑性は高い。
「それって、本当だったら……」
「本当だったらなんだ? 俺たちには何も関係ないじゃないか。国を捨て、指名手配犯と言われるやつならなおさらだ」
自身の故郷に危機が迫っているということを顧みずにして、オルチェは倉庫にある自分にぴったりの武器類を勝手に拝借していく。
「ほら、フレイヴも一丁ぐらい持っておいた方が身のためだぞ」
必要かもしれない。これは魔王に倒すために使える物。そう思い込んでも、手に取ろうという気にはなれなかった。だからこそ――。
「要らないです。ぼくにはカムラがいるから」
フレイヴはポケットから一枚の紙切れを取り出して、そこからカムラの剣に変えた。カムラという彼女自身がいないせいだろうか。いつもは美しいと思う光もあまり輝いてはいなかった。
「カムラを助けたい気持ちは大きいです。だけれども、そんなものに頼る気はないです」
これが答えだった。その答えに納得した――いや、自身の主人であるがために強引に納得しなくてはならないオルチェは「そうか」の一言だけ。
「俺はあんまし横から言えないからな。でも、ご主人様のフレイヴとあらば、何が何でもこれで守るつもりだ」
「もちろん、そこはお願いしますよ」
早速八番街の方へと行こうと、倉庫を出ようとするのだが――。
「誰だっ!?」
運悪く工場員に見つかってしまった。しまった、長く居過ぎたか。オルチェが慌てて自身の拳銃を手にして構える前に、フレイヴが――。
引き金に手を置かなくてよかったと思う。なぜならば、自分が行動する前にフレイヴが先に行動をしていたのだから。その場には燃料臭と血のにおいが混じっていた。早いところ、ここから脱出しなければ。
ここから先はフレイヴが先頭になって走り出した。その自分よりも小さな背中にはいくつもの重たい物が圧しかかっているに違いない。銃器を背負う自分よりも何十倍も。
「フレイヴ……」
「それって、音が大きいですよね。バレないならぼくが先に行きます」
どうせ、自分はもう殺人鬼だから。そう言いたげ。きっと、誰よりも負の感情を心に抱えていることだろう。親がナズーになってしまった、行く先々で憎むナズーに遭ってしまう。フレイヴはどこまで己を保てるのだろうか。
――こいつは……フレイヴはいつナズーになってもおかしくはない。




