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一度はケレントの手下を撒けたこと、逃げ込んだ家の住人から九番街への道を教えてもらったことによって――フレイヴとオルチェはどうにか九番街へと足を踏み入れることができた。
「ここは工業区画ですか?」
スラム街自体高い壁ばかり覆われていたからよくわからなかった。だが、それはあくまでも十一番街の住人たちを易々と別の区画街に入れないためでもあるのだ。ここ、九番街は彼らも働いている工場へと向かうために許された通り道が一つだけ存在している。そこに二人はいた。
「なんでも揃ったところだよ。お菓子から軍事用武器までな」
「正直言って、この国は首都に住んでいるだけでなんとかなりそうですね」
「ここは工場の敷地内とかに逃げ込めば、あいつらもそうそう簡単に足を踏み入れられないだろうし。次に向かう八番街と十番街も迂闊に手出しはできんよ」
周りにケレントの手下がいないことを確認したオルチェは着いてこいと指示を出す。フレイヴは言われた通りに行動をしつつ「どうしてですか」と訊ねた。どうやら、なぜに彼らが八番街と十番街に手出しができないのか知らないらしい。それに「それはだな」と少しだけ嬉しそう。
「そこが国の軍事施設の敷地内になっているんだよ。いくらバックヴォーンが国の軍隊を動かせるやつだからと言っても、それはあくまで『国』にとって管轄外だからできることだからだ」
「つまり、『国』が見ているこの街……特に軍事施設があるっていう八番、十番街は私的目的で軍隊を動かせないということですか?」
「その通り。フレイヴ、こっちだ。こっちの工場に入るぞ」
そう言われて、二人が侵入した工場。敷地内に入ると、におってくる。建物は新しいのか立派ではないかと感嘆を上げようにもにおいが気になる。なんだ、このにおいは。
「ここを通るんですか?」
「まあな。ていうか、工場内にも入るぞ」
「え」
オルチェの強引さもあってか、工場の建物の中へと入った。においはより一層きつくなってきた。本当にこのにおいは何だろうか。二人は物陰に隠れながら、中の工場員の動向を探っていた。ここは何の工場だろうか。そうフレイヴが思ったとき、オルチェが「気になるか?」と小声で訊いてくる。
「ここが何の工場なのか」
「ええ、まあ」
「教えてやるけど、大きな声出すなよ」
オルチェは「最新式の武器は何であるか知っているか?」と反問してきた。その質問にフレイヴは首を傾げる。わからないから。これまでにおいて、見てきた武器は剣や槍、弓矢に鈍器などと言った一人相手用の武器ばかりだ。彼みたいに拳銃を手にしているのは数える程度だろう。
「ナズーは刃を通さない頑丈な暴れん坊だ。そこで、とあるお偉い軍人さんが一言ぽつり」
そういうオルチェは自分たちの向こう側にある大きな箱を指差した。
「遠くから強い攻撃を与えれば、問題ないだろう。ってな」
「えっと?」
「うん? まだわからないか? それとも想像がつかないか?」
フレイヴはわからないと答える。それにオルチェは「それはだな」と少しだけ苦笑い。
「俺が持っている銃よりも威力のある射撃砲だよ」
そんなこと言われても瞠目はするが、戸惑うしかなかった。




