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対人相手をしたことがないわけではないが、複数はキツイ。もっとも、息の合う二人組ならばもっとキツイ。特にウルバとウルノだ。そうオルチェは歯を強く噛みながら思う。別に、フレイヴたちに期待をしていたのではない。ただ、一人ぐらいは倒せそうだと思いたいだけ。そうすれば、あとは大体何とかなるから。だがしかし、この状況ではどうにかなるはずがない。弾は残り三発。ほぼ丸腰状態。お相手は二つの武器を持った二人組――と思ったら大間違いだからね。
「ウルバ!」
ウルノがウルバへと声をかける。その直後、彼はなんと、二本の剣をオルチェに向かって投げてきたのだ。しかも頭に目掛けて。見えないことはない。だからこそ、屈んで避けた。そんな彼の視線は低くなり、目に映った物を見てすぐに転がり込むようにして横に回避した。途端、自分がいた場所は銀色に輝く刃が弧を描くようにして上に発射される。それが何であるかを瞬時に理解する。
「運がいいな」
――こいつら!
――武器は両腕に握るという固定概念は捨てたら? 俺たちは手だけじゃない。両足も使うんだよ。
ウルバの手には一本の短剣。両足にウルノの剣が装着されていたのだ。これはオルチェが今まで戦った記憶のない戦闘スタイル。動きが読めない分、勝利は遠ざかるだけ。彼が強く歯軋りをしていると――。
「でも、こっちは運が悪かった」
――させるかっ!
後ろから殺気が際立っていたことは気付いていた。ここで悔しがるばかりでは意味がない。次の行動を読み込もうとしないと。だからこそ、オルチェは真後ろの方へ拳銃をぶつけるようにして動かした。その場に金属音が響いた、ということは――。
「うわっ、反射神経がいいね」
――この野郎!
口を動かす暇がない。今のオルチェにとって、動かすことができるのは口以外の物。二人の攻撃より回避と防御に努めなければならないのだ。彼らは厄介だ。どうにか隙を見て足でも引っかけたら、なんとかこちらに引導させようと思ったのに。足にも武器を装備されちゃあ、自分の足を怪我しそうだ。二人が狙ってくる箇所は見当たらない。最悪なパターンだ。
フレイヴは横腹をやられた。元よりカムラは使い物にならない。逃げ道はあるか。当然ない。ここで自分たちがくたばるか、二人を倒さなければ明日はないのだ。
オルチェと刃の距離が近付く中、美しい光が彼らの間柄を邪魔した。その光は迷いが一切なく、真っ直ぐにウルバとウルノに向けられる。だが、この光は目に見えている。誰よりも、何よりも目立っている。だから、避けられた。
「ふうん?」
なかなか面白くなってきたとでも思っているのか、ウルノは目を細めて光の持ち主であるフレイヴを見つめた。先ほどまで見せていた人柄とは随分違うようだ。髪の毛の隙間から見せる濃い青色の目は何を物語るのか。仲間には手出しをさせない、とか? 彼ならば、ありえそうだ。
二人は余裕があるのだろう。フレイヴの言葉を待ったが、彼ではなくオルチェが「フレイヴ?」と呼びかける。
「怪我しているんじゃ……」
ただの少年が傷を負った状態で二人を相手するなんて無茶な話。それも戦いを好まない子どもがだ。オルチェの言葉にフレイヴは「はい」と正直に答える。
「怪我をしています。ですが、それが何か?」
しかし、フレイヴのその答え方は普段の彼とはありえなかった。やけくそという言葉が似合うほど。そこまでして、何を思っているのだろうか。




