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絶対にカムラは誰にも渡さない。フレイヴにはその意思が見えていた。もちろん、彼の言うことにはすべて同調するとでも言わんばかりに、オルチェは大きく頷く。彼女を渡すわけにはいかない。だから、諦めてくれ。
しかしながら、ウルノは「ふぅん?」と目を細めて馬の姿をしたカムラを見るのだった。
「それって、カムラって言うんだ? じゃあ、あの子……カムラは人間じゃなくて、本であり、剣でもあり、動物でもある。面白いね。だったら、どうして人間のときはそんな風にピカピカに光らなかったんだろう?」
「えっ?」
なんだか、ウルノはカムラのことを知っているような素振りを見せているようだが? フレイヴは横目でオルチェを見た。彼は「あいつも接触していた」と短絡的に答える。
「だから、俺は見ず知らずのやつと取引をしたくなかったんだよ」
「取引?」
「文句はそこのばかにでも言ってくれ。だが、それはあとだ」
なぜならば、ウルバとウルノはカムラを奪う気満々で、リーチの短い双剣を手にしていたのだから。思わず、フレイヴは手にしていた剣を強く握った。
互いが睨み合う最中、遠くから聞こえてきた鳥の鳴き声が合図となる。いの一番に踏み込んできたのはウルノである。まずは弱いやつを先に倒そうという算段か。狙いはフレイヴ!
――誰が、俺のご主人様に手を出していいと言った!?
フレイヴが防御に入る前にして、オルチェが右手に拳銃を手にして割って入ってくる。銃身と空いている左手で二つの剣を抑え込んだ。だが、これで終わりではない。戦闘の面において、こちらの方が不利に近いのだから。オルチェは足でウルノの剣一本を蹴り上げた。それは宙に舞い、離れた場所へと飛んでいく。
――こちらとら、慣れた戦いなんだよ。ちったぁ、変装するぐらいなら、武器も変えてこいっ。
そう、二人をケレントの手下だとわかったのには理由があった。決して直感だけではない。彼らが手にしている武器はリーチの短い双剣。これは列車の中でカムラを盗んだ中年女性や偽車掌と同じ武器をしていたのだから。
「バレバレだぁ!」
武器一本を失くしたところで終わり、ではない。相手を戦意喪失させることが戦うということ。だが、単独で二人相手は手厳しい。だからこそ、フレイヴやカムラにも頑張ってもらわないと。別に倒せとまでは願っていない。彼らができることは、おそらくはオルチェがウルノを倒すまでの時間稼ぎ。ただ、あわよくば、そっちの男の方を自力で倒してもらいたいものだ。
オルチェはカムラの剣を構えているフレイヴを後目にウルノの相手をするのだった。




