↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
世界は心を孤独にするほど俺たちを嫌う  作者: 池田 ヒロ
◆第十三章 約束とカムラの記憶◆
145/263

145ページ

 あちらを見ても荒れた緑。こちらを見ても荒れた緑。一面の荒れた緑の中を歩くのはフレイヴとカムラだ。彼女はオルチェと離れたことがよほど嬉しいのか、拾った木の棒を振り回しながら鼻歌を歌っていた。


「上機嫌だね」


「ふふん、まあね。……それにしても、ここら辺ナズーの気配がしないね。いや、気配を辿ることとかできないけど」


「鳥の鳴き声とかしか聞こえないよね」


 それだからこそ、思い出す。失ってしまった故郷を。


「ここの人たちは羨ましいな」


 なんて呟きながら二人が向かう先はこの村にある丘――白昼夢の丘である。高いところからならば、何かしら見つかるかもしれない。そう思ってである。彼らは実際にその場所へと向かうと、村全体を見渡した。土地自体は荒れてはいるものの、遠目で見れば誰かが住んでいるとでも言えるような場所と思える。それが余計に羨ましく思う中、この丘の正反対側にある高台に目をやった。今頃、あちらにはオルチェとアルフレッドがいるだろう。


 オルチェの考えはこうだ。この村は元が緑に囲まれ過ぎて、死角が多い。そのため、高いところから探すという考えである。単純ではあるが、この方法以外で自分たちは捜索法を知らない。


「あっち側、おっさんたち見える?」


「うーん、流石にぼくはそこまで目がいいわけじゃないなぁ」


「でも、ナズーなら一発でわかるね。体が黒だもん」


「そうだね。どの個体も黒色だった」


 そこでフレイヴはふと思い出す。そう言えば、という感覚ではあるが、彼は「カムラ」と見た。


「この前の子ども……人の姿をしていたときの色は何色だったか、覚えている?」


 ちょっと何を言っているのかわからない質問にカムラは鼻白んだ。思わず失笑をする。


「色って。いやいや、暗くてわからないよ。普通に人間の子どもだったと思うけどね」


「そっか、そうだよね。カムラ、その子のこと裸足だってわかっていたから思ったんだ。足でも当たってたのかな?」


「いや、当たっては……」


 ここで自分の記憶がおかしいことに気付いた。確かにあの子どもは自分に抱き着いてきた。それは覚えている。それだけだった。遊ぼう、遊ぼうと言っていた。暗くて、ほぼ見えていない状態だったというのにだ。


――えっ、ちょ、ちょっと待ってよ……?


 カムラは必死になってあの晩のことを思い出そうとしていた。いや、思い出さなければならないのだ。どこか矛盾点があるのだから。そのおかしな部分に悩まされていると、後ろの方から物音が聞こえてきた。まさか、ナズーかとそちらの方へと振り返るのだが――。


「なにしてるのぉ?」


 茂みの中から現れたのは、小さな男の子だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。