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必ずしもそうであるとは限らない。そう言うのはカムラである。彼女は非常に恨めしそうな表情でオルチェを見ていたのだ。何があったのかというと、それは約十分前まで遡る。
人気のない道を歩き、ナズーを倒しつつ、次の立ち入り禁止の町へと向かっていた一行は休息を取っていた。そのとき、腹ごしらえとして果物の乾物を齧っていたのだが――。
【甘くて美味しい】
気持ちはわからなくもない。カムラはその果物の乾物を一人だけでバクバクと食べていたのだ。それに痺れを切らしたのがオルチェであり、食べ過ぎだと言う。
【つーか、それ、俺の金で買ったやつだから。金返せよ】
【あたしが持っているわけないだろ、ばーか】
【……なあ、フレイヴ。これからこいつをメシ禁止にしてもいいんじゃね? だって、こいつは無機物になれば死にはせんだろ】
【あぁ! 下僕がひどいことを言った! なんとか言ってよ、フレイヴ!】
面倒な論争に巻き込まれるフレイヴ。正直言って、関わりたくない。食事禁止だのなんだの――確かにカムラは一人で食べ過ぎなところは咎めるよ? 確かにご飯抜きとか言うのは可哀想だから咎めるよ? だが、彼らに構うほど、元気はないのである。ベッドで横になったのはいつだろうか、と思えるほどに、随分前から野宿ばかりをしているのである。疲労は大きく膨れてくる。ちょっとの針がそれに刺されば爆発は起きるだろう。つまり、フレイヴの癇癪。もっとも言えば、カムラとオルチェは彼の疲労を膨らませ、今はチクチクとそれを突いている状態。ギャーギャー喚く二人。それに少しだけイライラを見せる。遠巻きでハラハラとしているのはアルフレッド。
フレイヴの怒りの頂点はすぐに訪れた。
【あぁ、もうっ! そんなに言うなら、二人ともしばらくはご飯抜き!】
この発言がきっかけで休憩も終わり、先を急ぐことになってしまうのだった。
カムラにとって、ご飯禁止だと言われたのが初めてらしい。これを教訓にしたのかは定かではない。フレイヴだって、ナズー以外でも怒るのは当然。あのバケモノだけに怒りを見せているわけではない。それはすなわち、必ずしもそうであるとは限らない、とすべての責任をオルチェに向けていたのだった。
「傍迷惑なやつだぜ」
また口論発展になるのは、フレイヴの怒りの火に油を注ぐだけ。そこはきちんと理解力のあるオルチェはカムラに聞こえない声でそう言った。だが、それをアルフレッドが聞いていたようで――。
「どっちかが折れたら、先の発展はないと思うがな」
「冗談じゃねぇ。あいつに妥協するなんて。俺は諦めの悪いやつだぞ」
そう言うオルチェ。四人の目の前には次の目的地である廃村が見えていた。
「あの村の住人とは違ってな」
眼前にある立ち入り禁止の村――白昼夢の村は一体のナズーが現れると、すぐさまクモの子を散らすように村民たちは村を捨てたという話を聞いていた。オルチェは思う、自分はこの元村人たちとは違って、そうそう簡単になんでも捨てるような人間じゃない、と。




