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暗かろうが、明るかろうが見間違うことのないはずの建物。間取りは――一応覚えている。それなのに、四人が向かった半壊した建物の内部には国の調査員はいなかったのだ。どこへ行ったのだろうか、と辺りを探してもいない。彼はすでに出発をしたのだろうか。そうとしか考えられない。
「本当に情報をくれるようなやつはここにいたのか?」
「ああ、ここをくまなく調べたからな。何かの気配がするからって」
「そもそもさ、その調査員? の人って俺、見たことないけど、どんな人なんだ?」
オルチェは地面に落ちていた木製の食器を拾い上げて三人に訊ねた。この質問にアルフレッドは「俺よりも」とフレイヴの方を見る。
「フレイヴやお嬢の方が知っていると思う」
「どうって、普通の人ですね。で、ぼくたちにとって嬉しい情報をくれます」
「情報、ねぇ」
なぜかオルチェは怪訝そうな表情をしている。じっと拾い上げた食器を見つめると、それを捨てながら「というか」と話をつなげる。
「その人って、『国』の調査員だよな? 国指定なら……遺跡を調べているってなら、あの委員会の連中じゃねぇのか?」
「え」
「いやいや、そうとしか考えられんだろ。ここ、国が指定した立ち入り禁止区域。なんで、立ち入り禁止? そう、正気のあるナズーを委員会が見つけるため」
その発言に一同が固まる。だが、アルフレッドはオルチェの推測に納得がいっているようだった。夜の暗さと恐怖心で何かが引っかかると思っていたのだ。その何かを今、見出した。
「ということだ。それに、この町に目的のナズーはいないようだな。どいつもこいつも俺たちを見れば襲いかかってくるし。何だったら、勝手に自分たちで戦っているしな」
このような場所で探すより、次の場所を探しに行こう。そうオルチェは提案をしてきた。下手すると、委員会の人間かもしれない調査員は無法者に罰則を浴びせるために軍を呼んでいるかもしれないから。この提案に誰もが従うしかなかった。自分たちの目的はナズーをこの世からなくすこと。人を傷付けることをする気にはなれないのだ。しかし、三人の背中を見るアルフレッドはまだ心残りがあった。そう、ここは立ち入り禁止区域。軍以外が立ち入ることを禁じられた場所であるはず。それは国の人間ならば、誰もが知っている。そのはずなのに、なぜにあの調査員はアルフレッドに何も言わなかったのか。知れば知るほど、謎は深まるばかりである。
――あの人、何者なんだ?




