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突如のナズー登場に誰もが唖然。オルチェやカムラは建物の外へ避難するように指示を出す。そうでもしないと、廃墟ごと食われて、ナズーになってしまいかねないからだ。慌てて四人は屋外へと出た。周りにあの子どもはいない。避難をしたのだろうか。いや、そうして誰かの安否を気にしている場合ではない。そのような余裕があるならば、自分のことを気にするべきだ。そう言わんとばかりに、彼女は「フレイヴ!」と手を差し出してくる。もちろん、その手が何を指し示しているのかをフレイヴは理解している。
「カムラ!」
二人が互いの手を取り合った瞬間、カムラの体は人の姿から柄が歯車のような大きな形をした剣へと変わった。その剣は星よりも美しく、淡い光を帯びているのである。彼女の光によって、バトルエリアに明かりがついたように見えた。どうも自分たちを襲ってきたナズーは一体のみ。バケモノは初めて見る個体のようで、顔に四肢が生えた大口のナズーだった。口を開ける度に真っ黒な口内がお見えとなる。わぁ、怖い。
「ちっ、おじさん! あのガキを探して安全なところに逃がすなり、何なりしていてくれ!」
「わかった!」
アルフレッドは自分が戦力にならないことを十分に承知している。そのため、オルチェの指示を素直に従った。早速どこかへと言ってしまった子どもを探すべく、彼が動こうとするのだが――それを許さないのがナズーであり、奇声を発しながら狙おうとする。そうはさせないとフレイヴとオルチェが通せんぼした。真っ向勝負は不利だとわかっているから、彼ではなく自分たちに狙いを変えやがれ!
フレイヴはカムラの剣で一閃し、オルチェは後ろ脚を掴んで顔の下(あご?)に強烈な蹴りをした。これが効いたのか、ナズーはその場で止まり苦しそうに奇声を発する。
「とにかく、自分の安全を確保しながら注視させておけ!」
「はいっ!」
それは特にほぼ丸腰状態のアルフレッドに対しての配慮だ。
いける、とフレイヴは思っていた。カムラもいるし、何より戦友軍のオルチェもいるのだ。彼の武器はまだ見たことがないが、これぐらいのナズーは体術だけでもやっていけると判断しているのだろう。流石は戦友軍。だてに鍛えてはいない。
「行くよ、カムラ!」
「うん!」
最後の攻撃がオルチェだったこともあってか、ナズーは彼の方に巨大な顔を向けていた。後ろを向いている今が好機。そのまま、致命傷へと追いやれ。フレイヴがカムラの剣を握りしめて駆け出そうとしたときだった。こちらの攻撃を見抜いていたのだろうか。彼らの方へと方向を変えた。これに思わず足が止まりかけ、ナズーは大口を開けて言うのだ。
「よるはおれのじかんなんだよぉ!」
紛れもない、その声はあの子どもだった。




