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町の高台にある、見晴らしのいい廃墟で一晩を過ごすこととなった。上はナズーに破壊されたのか、それともただの風化や劣化で壊れたのかは定かではないが、天井は開いていた。
空を見ると、美しい星々が瞬いていた。そんな綺麗な星空をフレイヴは自身の目に映しているのである。
「綺麗ですけど、悲しいですね」
夜空を見れば、思い出すは故郷――悲しみの村。どこか山の方へと行けば、似たような景色を拝むことができるだろう。だが、それは所詮瞼の裏に存在しているだけの村である。こうして追われの身として、目に映る景色でしか楽しめない。なんとも悲しい結末だ。
「あたし、こういう空は好きかな」
珍しくカムラがそう言う。彼女も自身の目に星空を映していた。
四人はナズーに見つからないようにして、火を熾したりすることは避けていた。自分たちは暗闇に紛れ込んだ存在として、いなければならない。だが、あまりにも暗いのはいただけないとして、小さな明かりだけはつけていた。それと、オルチェとアルフレッドのタバコの火で多少は明るく感じられる。
「明日は例のナズー捜索だな。なるべく戦闘は避けておこう」
「そうだね。お前の仕切りがなければ、大きく頷いていたところだ」
ここにいる全員が自分の正体を知っている。そういう考えがカムラにあるのだろう。オルチェに対して挑発の言葉を浴びせてくるのだが――。
「ここでくだらない争いをするのは構わない。でも、その前に……」
暗くて表情はよくわからないが、オルチェが怪訝そうな声音でカムラの後ろを指差した。
「カムラ女、お前の後ろに幽霊がいるぞ」
「はっ。そんなことで、あたしがビビるとでも?」
実にくだらんな、と冷笑をしていたのだが――どちらかと言うならば、それでも気になるのだろう。カムラが小さな明かりを手に持って後ろを見れば――。
「っ!?」
自分の真後ろに小さな誰かが立っていた。いくら暗闇である程度見えるとて、そこに立つ者が何者なのかははっきりと見えない。だが、背丈から見て子どもだろうか。二歳、三歳それぐらいか。いつの間にいたのだろうか。足音すらも聞こえなかったぞ。
「子ども?」
「だな。こんなナズーは見たことがない。おう、ガキどこの家だ?」
なぜにこのような危険な場所に子どもがいるのだろうか。親は? まさか、独りでここに来たわけではあるまい? 下手すれば、ナズーになってしまうのに。そう思う子どもに声をかけるのだが、質問に答えることもなく、カムラに抱き着いてきた。一同は唖然、そしてその子は可愛らしい声で言うのだ。
「おねえさん、あそぼぉ!」




