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世界は心を孤独にするほど俺たちを嫌う  作者: 池田 ヒロ
◆第十一章 新王国軍とナズー◆
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131ページ

 四人は大通りや公共交通機関を避けて山道を歩いていた。フレイヴやアルフレッドの情報から察するにそういうところは軍人たちが目を光らせている、と言うのだ。もしも、指名手配書が出回っている二人が優雅に歩いていたとしても捕まるからである。そのため、カムラは「またか」と不服そう。


「仕方ないけれどもぉ」


 一応は納得してくれてはいるが、やはり自力は好きじゃないわがままさん。一方でアルフレッドはこの話題に飽き飽きなのか、話を変えるためにオルチェの方を見て「あのよ」と声をかける。


「なんか、首都でお姉さん軍人と話していなかったか?」


「ああ、そう」


 オルチェは思い出したように、重要機密文書だという封書を懐から取り出した。そこに書かれているのは軍印の本格的な押印がされている物だった。これに思わず彼は人差し指と親指だけで手にするほど恐れおののいていた。

特別個体「理性のあるナズー」について


 本来のナズーは見境なく人を襲い、建築物を破壊する存在である。だがしかし、理性のないナズーだけしかない歴史を覆す個体がおよそ四百年前に発見された。発見当時、その個体は我々人間に向かって話しかけてきたのである。そう、そのナズーの個体は正気を保っていたのである。

 このナズーをどうにかして利用できないだろうか。はたまた、人間とナズーの利害のある関係が築けないだろうか。そう思った新王国軍はこのことを公にせず、極秘に委員会を設置した。事実が知られたならば、独立の国は間違いなく、自我を持ったナズーを奪いに来て、こちらに攻撃を仕向けるだろう。それはあってはならない案件である。

 我々委員会は軍の本部施設の地下でこの個体の実験や研究を行うことにした。ナズーの個体は人間時代のことを語ってくれた。元々はこの国の調査員だったらしい。遺跡を調査中にナズーになってしまったとか。だが、残念なことに彼の人間時代の情報記録はどこにもなかった。彼の話を聞いて、ナズーについてわかったことは特にない。普通のナズーが人間の言葉を持ち、同じような意思を持っているだけだった。

 そして何より、多数の質疑応答や実験をする前に逃亡したことが原因である。脱走した研究対象は駆逐依頼をかけられるが、貴重な研究材料が死なれては困る。これに関しては国王にも承諾済みだ。

 新たなナズーの個体が現れた際はすぐに駆けつけて討伐を行うのではなく、理性を保ったナズーがいないかどうかの確認をすること。もし、いるならば話をつけて捕獲優先。いないならば、無遠慮に駆除にあたること。この内容については絶対口外しないこと。

 いずれの条件を満たさない者は処罰を下す。


N764.寒冷の月 第11週目と3日

新王国軍 特例部隊共存委員会

新王国軍 総指揮官 エヴェリア・シレイナ・コーカス・ヴィヴィジアル

 この文書を見たフレイヴは自身の腸が煮えくり返りそうになっていた。どうして、という言葉ばかりが脳裏に過るばかりである。


「なんで?」

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