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「詳しいことはそこに書いているよ」そう言って、ウルノはカムラに封書を渡した。これ以上の情報は自分たちで確かめろ、らしい。
「それじゃあ、ナズーの親玉のこと包み隠さず教えてね」
封書を手にしたカムラは自分で持つ気にはなれないのか、オルチェにそれを託すと「うん」と頷いた。
「えっとね、ナズーの親玉はこいつだから」
そして、とんでもない嘘をつく。これにウルノは目を丸くし、オルチェはタバコの煙を吸い過ぎてしまって咽ていた。
「おまっ!?」
なぜにバレてしまうような嘘をつくのか。絶対向こうは嘘だと思ってあやしんで――いらっしゃった。カムラを訝しげに見ているではないか。おい、下手な冗談を言うのはよせ。何かすげぇヤな予感がするから。止めようとするオルチェに彼女は強引にも口を開くばかり。そこから垂れ流す情報は明らかに誰が聞いても嘘だと思えるものだった。
「こいつねぇ! 自分の理想郷を作りたいからって、あやしい実験をしてナズーを生み出したんだってぇ! 最低ぇだよね! 本当、死ねばいいのに」
「どっからどう聞いてもお前が最低発言をしているだけだろ、このクソ女! 取り消せ! 本当に今言ったこと全部取り消せ!」
「はい、残念っ。過去は変えられないっ!」
「言葉なら取り消せるだろ! 本当に冗談じゃないから!」
死ねって言ってくるけど、こっちが本当に殺すぞ、とオルチェはカムラに睨みを利かせた。どうせ言うならば、本当のことを言えばいいのに。どうせ、信じてもらえないだろうけれども。これは彼女の策略なのか。腹の中が読めない。周りに誰もいなくてよかった、と安堵する一方で「わかったよ」と不貞腐れた顔を見せるカムラはどうやら本当のことを言うらしい。
「あたしたち自身もすべてを知っているわけじゃないんだけれども、ナズーの親玉はこの世界の過去の歴史にとって異物らしいね。本当は存在してはいけないやつが、自分の理想郷を目指すためにこんな世界にした。これは流石に嘘じゃない」
カムラは「ナズーの親玉は人間であり、この世界にしてしまった張本人」と答えた。これに関しては先ほどの嘘発言よりも信憑性は高いだろう。彼女は「だから」と言葉を続ける。
「もっと詳しく知りたいなら、歴史を振り返ってみればいいんじゃない?」
「……そう」
この情報は嘘ではないのは確か。魔王はカムラと同等の存在でもあるから。過去の存在が未来に飛ばされ、知らない自分を倒せ。おそらくはそんな使命があるのだろう。この自分には。
ウルノは納得したのか「情報ありがとう」と、もう柔らかい表情を見せることはなく、その場を立ち去ってしまった。それと入れ替わるようにフレイヴとアルフレッドが合流する。
「ここにいたんだ」
「うん、一応は有益な情報を手に入れたよ」
そう言うカムラはどこか嬉しそうにオルチェを指差すのだった。




