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ウルノが知りたいことを教えてあげる。カムラがそう言った。これにオルチェは「何を言っているんだ」と小声で彼女を制するが、誰が聞く耳を持つか。立場なんて知るか。
「だから、ウルノさんもあたしたちに有益な情報をよろしくね」
「もちろん、任せて」
オルチェは絶対に口を開かせるものか、とカムラを止めようとするのだが――。
「お前は口を挟むな。三下が」
カムラの凄味だけで引かされた。彼女の睨みには流石のオルチェも鼻白むしかない。何も手出しができない。これがクラッシャーと幾重にも戦い渡り歩いた存在。本当にただ者ではない。静かに引くと、彼女は「ねえ」とウルノの方に向き直る。
「ウルノさんはあたしたちにどんな情報を教えてくれる? 先にそっちを聞きたいな」
「ええ、いいわ。その代わり……」
「大丈夫。嘘つかないし、逃げもしないから」
絶対に嘘だ、とオルチェは片眉を上げた。そんな彼の表情に気付かないウルノはその言葉を聞いて安心したらしい。これならば、情報提供しても問題あるまい、そう懐から一通の封書を取り出した。それを手にしながら「これはね」と話を続ける。
「新王国軍における重要機密文書だね」
「へえ、そんな大層な物を教えてくれるの? 何? 幹部の汚職事件について?」
「いやいや、そういう物だったら文書には残さないよ。口で残すだけ。二人は聞いたことある? 討伐されず、捕獲だけされたナズーの存在を」
カムラは横目でオルチェを見る。これに彼は縦に頷いた。それもそうだろう、オルチェは戦友軍でナズーに関する情報を知り尽くしているのだから。それでも彼はすべてを知っているわけではない。知っているのは戦友軍で所有している情報のみ。そのため、割って入ってきた。
「軍で管理されているナズーのことだろ? 地下で飼っているとか」
「やぁねぇ、ペットじゃあるまいし。でも、戦友軍のオルチェ・オルバックスさんも類まれなるナズーの存在を知らないでしょ?」
「あ?」
ウルノは「私自身もこれを見て初めて知ったんだけれども」と封書をペラペラとパタつかせる。
「ナズー出現の歴史において、昔も今も一体だけ確認されている珍しいナズーがいるんだって」
どうやらそのことに関しては知らなかったらしい。思わず首を傾げる。カムラは静かに話を聞く。ウルノの言葉を待った。彼女は勿体ぶりながら「ねえ、知ってる?」と小さくはしゃぐ。
「理性を保ったままの状態のナズーを軍が管理していたっていう話」




