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軍人青年が何者なのかは想像がついた。普通に考えて、指名手配書が出回っている犯罪者を見逃すような発言をするのはおかしいから言っただけ。どう考えても、カムラの本を手に入れるということに犯罪者二人を逃がすという天秤は釣り合いそうにもないはず。軍はどちらも取る、と考えるだろう。事実そうだった。忘れられた森の最寄りの駅内では囲まれたことがあるからだ。そして、本を手に入れるにしてもフレイヴもろとも捕まえるはず。それを今回、この青年軍人らしき人物は二人の犯罪者を自由の身にすると言うのだ。おかしいと思わないわけがない。
そういう考えに至っていると、気になっていたことを思い出した。自分たちはこの青年軍人の顔とは会った記憶は一切ない。それなのに、どこかで会ったことがある気がしていたのは――声に聞き覚えがあったからだ。上手く顔を変えたとしても、声すらも変えなければ意味がないだろう。つまり、アルフレッドが彼を誰と見ているかというと、あの車掌に扮していたケレントの手下なのだ。もう、バレているのに、そんな表情をするのはおかしい、と思った。もう、見抜かれているのに。なのに、どうしてそんな風にきょとん顔ができる!?
青年軍人らしき人物の心が読めなかった。その場に変な空気が流れているのもわかる。そうこうしていると、彼は「何が言いたい、バイゾーン」と言い出してきた。
「軍の人間ではない、という設問はおかしくないだろうか。俺は確かな軍人だ。こうして、軍服を着て、武装をして、軍の証明としても使われているバッジもある。これが民間人に見えるか? 見えるとするならば――」
――元々快楽殺人鬼であるお前の目は不確かだろうよ。
青年軍人(?)は腰に提げていた双剣を抜いた。リーチの短い剣である。これで決定打だ。偽車掌の姿をしていたときも同じ武器を使用していた! これは長い得物ではないから、間合いに入らなければいいだけの話。とっさの判断でフレイヴはダミーカムラ本を防御に使った。
もちろん、それが原因で本は真っ二つに切り裂かれてしまう。
「ンなっ!?」
これに青年軍人だと思う人物は驚愕する。それは防御に扱ってもいい代物ではないだろうに。いや、待てよ、と地面に散りゆく紙切れを見て彼は思う。この本は偽物ではないだろうか、と。その虚につかれてしまった彼をよそに、隙を見た二人はその場から逃走を図る。青年軍人は彼らを追いかけるようなことはせずして、落ちている本の残骸を拾った。
「本物はどこに?」




