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オルチェの提案、二手に分かれての調査に人間の姿に戻ったカムラは不服そうにしていた。
「ちょっと、待ってよ」
異議があるらしい。納得のいかない提案に異論を申し立てる。
「千億歩譲っておっさんと調査するのはいいけど、あたしとこいつが一緒とか! 天と地がひっくり返ってもヤだ!」
「うるっせぇな、俺だってお前みたいな毒舌家とは死んでも一緒にいたくねぇよ。虫唾が走るわ」
「そんなに言うくらいなら、変えれば?」
しかしながら、オルチェの提案には意味があるのだ。それはフレイヴとアルフレッドのことにも関わる。彼らは軍に指名手配をされているような存在だ。そのため、二人のどちらかが軍施設に行くのは自ら逮捕されに行っているようなのもである。そのことを理解しろ、とオルチェ自身も納得がいかない様子で言うのだ。彼は彼で強引に自分を納得させたのかもしれない。それを踏まえた上でカムラは納得しなくてはいけないと把握したのか「わかったよ」と渋々承諾する。
「こればかりは仕方ない。けども、下僕の言う通りはしないからね」
「けっ、俺だって勘弁だっての」
こうして二手に分かれての調査となった四人であったが、カムラに不安があるのかフレイヴは「気をつけてね」と心配してくれた。
「一応はカムラも顔は見られているから」
「えっ、そうだったの?」
「大丈夫。全部知らないで通すから」
それで大丈夫なのだろうか。フレイヴの不安は拭えないまま、ダミーカムラ本を手にアルフレッドと都市の中へと繰り出すのだった。
歩きながら偽物カムラの本をペラペラとページを捲るのはフレイヴだ。その隣ではアルフレッドが横目で覗いている。
「精巧に作り込んでいるよな」
「そうですよね」
表紙をまじまじと見てみる。カムラの本は古びた厚い本だ。その古臭さも忠実に再現されていた。これは素直に感心する。だって、一冊だけでなく、何十冊も作っていたのだから。そこまでにおいて、あの本にケレントは執着していると言えるだろう。
ケレントに一度会ったはずのフレイヴ。いや、あの男は本人ではなかったとオルチェは言っていた。彼は老人だと言う。あのときの男はオルチェと同年代ぐらいといっても過言ではないはずだ。一体、本物はどのような人物なのだろうか。そう考え事をしていると――。
「そこのお二人さん」
二人に声をかけてきたのはフレイヴよりも少し年上の青年だった。ただ、その青年が着用している服は新王国の軍人の代物である。心なしか、この人物をどこかで見たことがあるような気がするのは気のせいだろうか。




