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悪竜の騎士とゴーレム姫【第16部更新中!】  作者: 雨宮ソウスケ
第16部

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第八章 愛憎の行方②

「……そろそろですね」


 同時刻。別荘の別室にて。

 メルティアは心配そうに眉をひそめていた。


「コウタは大丈夫でしょうか」


 胸元に片手を当てて、そう呟く。

 メルティアは今、テーブルを囲う椅子の一つに座っていた。隣にはアイリ。二人の後方には零号とサザンXの二機が控えている。


「メルティアさま」


 壁沿いに立つリッカが、メルティアに声をかけた。


「いま会談の席におられる方々は、閣下のみならず誰もが戦闘に秀でた方ばかりです。どうかご安心ください」


 そう告げる。


「まあ、そうだな」


 メルティアの対面の席に座るエルが言葉を継ぐ。


「私としては同席したかったのだがな」


 少し頬を膨らませた。

 自分の力量が同席者たちに劣るとは思っていないので猶更だ。

 それはリッカも同じ想いだったが、彼女は、自分はメルティアとアイリ、そしてかつての主君である姫さま――エルの護衛であると割り切っていた。

 また、零号と自分がこちら側にいれば、仮に非常事態となった場合、即座に閣下と遠話で連絡が取れるのも大きな強みだった。

 そしてエルがこちら側にいる理由もある。


「姫さま」


「また私を姫と呼んでいるぞ。リッカ」


 声を掛けてくるリッカに、エルは苦笑を浮かべて言った。


「私はもう姫ではない。エル=ヒラサカだ。かつての主君だから敬意を見せてくれるのは嬉しいが、今の私たちの立場は対等だ。いや」


 そこで大きな胸を揺らしつつ、エルは嘆息した。


「むしろお前の方が一歩リードか。今回の件が終わったら、私の時のためにも体験談を聞かせてもらうぞ」


「エ、エルさま……」


 リッカは顔を赤くした。


「……うん。そうだね」


 アイリが口を開く。メルティアの方を見やり、


「……メルティアにリノ。リーゼにリッカ。そろそろ経験者も多いよ。いずれ来るその時のために体験談は聞いておきたいよ」


「……いえ。流石にアイリに聞かせるのは……」


 根っこの部分はポンコツのままなのだが、すでに『少女』から『女』になっているメルティアが困った表情を見せた。


「まあ、ともあれだ」


 エルは左目を手で覆った。桜色(ピンクゴールド)の彼女の左目が金色に輝き始める。


「後でコウタに甘えるためにも私は私の仕事をしよう」


 左目に何も映らなくなる。

 だが、代わりに暗闇の中に光が見え始めた。

 エルの異能。『強さ』を探知する力だ。

 一時的に視力を失う代わりに、広範囲に渡って強さを探知できる異能である。

 エルは応接室の方に視線を向けて、


「会談にいる相手の人数は五人か。全員かなり強いな」


 そう呟く。それから首を動かして周囲にも目をやる。


「――いた」


 そして目を細めてそう告げた。


「やはり伏兵がいたか」


 そう呟くエルに、室内の全員が注目した。


「敵は何名でしょうか? エルさま」


「こちらも五人だな。全員で十人の兵団か」


 リッカの問いに、エルはそう答える。

 エルが会談に参加しなかったのは、伏兵の位置と数を把握するためだ。

 異能の使用中、エルの瞳は金色に輝く。

 流石にそんな異様な状態になっていては相手が警戒するのは避けられない。何より敵の前で伏兵を見つけたなどコウタに教えることなど出来なかった。

 だからこそ、エルは会談の参加を見送ったのだ。

 そして、


「リッカ」


 エルはリッカに告げる。


「コウタに伏兵の位置と数を連絡してくれ」


「はい。承知いたしました」


 リッカは頷き、すぐさま遠話でコウタに報告した。

 これもまた、エルとリッカが席を外した理由(メリット)であった。

 そんな二人の様子を、メルティアとアイリはまじまじと見やり、


「……改めて思いますが、それはどういう理屈の力なのでしょうか?」


「……うん。どういうことなんだろう?」


 と、二人は首を傾げた。

 コウタと、零号と、リッカのみに可能な精神感応による遠話。

 護剣獣の異能だという話だが、何故そこに零号も入っているのか。

 そもそも『護剣獣』という言葉もコウタがいきなり言い出したことだ。

 どうも焔魔堂縁の異能のようなのだが、二人はあまり詳しくは聞いていなかった。

 これには理由がある。

 このことを語るには零号の正体から話さなければならないからだ。


 ――そう。あの小さな機体に宿る魂は、伝説の魔竜そのものであると。


 この件は他の同行者たちにはすでに話しているのだが、メルティアとアイリにとっては零号と特に縁の深い存在だった。だからこそ、コウタもメルティアとアイリだけにはまだすべてを伝えられずにいた。


「それに関しては、いずれ閣下からお話しされると思われます」


 遠話を終えたリッカが言う。その視線は零号に向けられている。


「いささか信じがたいお話でもありますので、閣下もお二人に切り出すことに躊躇っておられるようです」


「うん。そうだな」


 エルも零号を見やり、苦笑を浮かべた。


「確かにとんでもない話だ。けど、それもこの件が終わってから、コウタに聞いてみたらいいと思うな。多分、そろそろ教えてくれるはずだ」


 そう告げたところで、ムッと顔をしかめた。

 そのまま視線が横に動くと、リッカの方を見やり、


「リッカ。続けてコウタに報告だ」


 エルは告げる。


「どうやら変人伯爵が動いたようだぞ」


 ――と。









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