第1章《太古の継承者編》 第7話《この先にあるもの》
●評価●ブックマーク●アクション●感想●
待ってます!
①文字数が何文字が良いななど
②もっと更新してなど
読者様が応援してくれると嬉しいです!
その問いが交わされた時代から、およそ四千七百年が過ぎていた。
統暦一八四七年、芽吹十二日。
《エルダ村》の北側に広がる丘陵では、夕刻を告げる鐘の音が遠くから風に運ばれ、冬の名残を含んだ冷たい空気が草地の表面を撫でるように流れていた。昼間には上着を脱いでも歩けるほど暖かかったはずなのに、太陽が西の山並みへ傾いただけで体感温度は大きく変わり、汗を吸ったシャツが背中へ張りつくたびに十七歳の青年は肩を小さく震わせた。
レオン・アークレイアは腰に下げた布袋の位置を直してから、村へ戻る道ではなく、丘陵のさらに奥へ続く古い作業路へ視線を向けた。
左手には小型の採掘槌と刷毛を入れた袋があり、腰には水筒と簡単な記録帳を提げている。右手には三日前に負った切り傷を保護するための布が巻かれており、指を強く握ればまだ僅かな痛みが残ったが、道具を持てないほどではなかった。
「レオン、鐘が鳴ったよ」
数歩後ろから声を掛けられ、レオンは進みかけていた足を止めた。
幼い頃から聞き慣れた声だったため、振り返らなくても誰なのかは分かっている。それでも無視して進めば後で余計に面倒になることも分かっていたので、レオンは渋々身体ごと向きを変えた。
ノア・フェルディが少し離れたところに立っていた。
村からここまで一緒に歩いてきたため、彼女の靴にも乾いた土が付着している。肩に掛けた小さな袋には水と布、それにレオンの母であるミレアから持たされた応急処置用の薬が入っており、本人は探索の同行者というより、明らかに監視役として送り出されていた。
「一回目だろ。まだ帰る時間じゃない」
「昨日もそう言って、二回目が鳴ってから帰ってきたでしょう」
「昨日は見つけた場所が悪かったんだよ。途中で切り上げたら、今日また最初から登り直すことになってた」
「それ、おばさんにも言ったの?」
レオンは答えずに視線を逸らした。
昨夜、帰宅した時刻について母から叱られた際には、そんな説明をする余裕などなかった。遅くなった理由より先に右手の傷を見つけられ、そのまま椅子へ座らされて治療を受けたあと、父のエドガーからも「しばらく一人で北側へ行くな」と念を押されている。
ノアはその沈黙だけで事情を察したらしく、口元へ小さな笑みを浮かべた。
「言ってないんだ」
「言っても結果は変わらなかったと思う」
「それなら今日は変えようよ。二回目の鐘が鳴る前に村へ戻れば、おばさんも昨日ほどは怒らないと思うから」
「怒られること自体は確定なのか?」
「三日前に怪我して、昨日は帰るのが遅かったんだから、そこは諦めた方がいいと思う」
あまりに当然のように言われたため、レオンは反論する気を失った。
二人が歩いている道は、かつて採掘された鉱石を村まで運ぶために整備された古い作業路だった。何十年も前から本格的な採掘は行われておらず、石畳の大半は土や草に覆われ、場所によっては木の根が地面を押し上げているため、足元を見ずに歩けば簡単につまずく。
レオンは再び歩き始めたものの、先ほどより速度を落とした。
三日前に右手を切ったのも、この道より先にある崩れた斜面で足を滑らせたことが原因だった。本人としては転落したつもりなどなく、手をついて身体を支えた際に尖った岩で切っただけなのだが、血の付いた布を巻いて帰宅した時点で家族にとっては十分な事故だったらしい。
「やっぱり一人で来た方が早かったかな」
「それを私の前で言う?」
「ノアが怪我したら、今度は俺がおじさんとおばさんにも怒られるだろ」
「私が自分で来るって決めたのに?」
「そう説明して許してもらえると思うか?」
ノアは少し考えてから首を横へ振った。
「たぶん無理だね」
「だろ?」
「でも、レオンが怪我した場合は誰が怒られるの?」
「俺だよ」
「それなら一人で来ても解決してないじゃん」
言われてみればその通りだった。
レオンが黙って歩いていると、後ろから小さな笑い声が聞こえてくる。腹立たしくはあるものの、本気で嫌ならノアを誘ってはいないし、三日前の件がなければ今日も一人で来ていただろうという自覚はあった。
「それに、一人で行かないって約束したでしょう」
「だから連れてきたんだよ」
「私、許可証じゃないんだけど」
「似たようなものだろ。ノアが一緒なら母さんも止めなかったし」
「帰ったらおばさんに、レオンが私を許可証扱いしたって教えてあげようかな」
レオンはすぐに振り返った。
「それだけはやめろ」
「どうしようかな」
「ノア」
「冗談だって」
楽しそうに笑う顔を見て、レオンは小さく息を吐いてから再び前を向いた。
村を出た直後には聞こえていた荷車の軋みや家畜の鳴き声も、丘陵を二つ越えた頃には風の音へ紛れてほとんど届かなくなっていた。代わりに聞こえるのは、森の奥を流れる細い水の音と、乾いた草が互いに擦れ合う音だけであり、同じ村の周辺でも人の生活から少し外れただけで空気の感じ方まで変わる。
レオンはその静けさが好きだった。
誰かと話すのが嫌いなわけではないし、村の暮らしに不満があるわけでもない。それでも、人が使わなくなった場所へ入り、何のために作られたのか分からないものを見つけたときだけ、自分が知らない時間の上を歩いているような感覚を覚える。
そのきっかけを与えたのは、村の老人であるドルガ・ネインだった。
幼い頃、レオンが村外れで拾った古い金属片を見せたとき、ドルガは価値があるとも、捨てろとも言わなかった。ただ、その金属片が見つかった北の丘には「鉱山より古いものが埋まっている」という話があると教えてくれた。
それ以来、レオンは暇を見つけるたびに北側へ足を運んでいる。
「今日はどこを見るの?」
ノアが追いつき、今度は横を歩きながら尋ねてきた。
「昨日見つけた斜面。雨で土が落ちたところに、加工されたみたいな石が出てた」
「加工されたみたいって、どういう感じ?」
「角が真っ直ぐで、表面も妙に平らだった。自然に割れた岩ならもっと不規則になるはずだから、誰かが削ったものかもしれない」
「昔の採掘場の壁じゃないの?」
「その可能性もある。でも、採掘場で使ってる石材とは少し違って見えたんだよ」
「だから確かめる?」
「ああ」
ノアは呆れたように笑いながら、足元の大きな根を跨いだ。
「もし本当に古い石だったら、見つけたあとでどうするの?」
「形を記録して、周りに同じものがないか探す」
「それが終わったら?」
「次の場所を見る」
「じゃあ、いつ終わるの?」
レオンは少し考えたが、終わりを想像できなかった。
遺跡のすべてを調べたいわけではなく、歴史家になりたいと決めているわけでもない。価値のある遺物を見つけて金を稼ぎたいという願望も薄く、むしろ何の役に立つのか分からないものを見つけたときの方が長く眺めていられる。
「終わらなくてもいいんじゃないか」
「やっぱりそう言うと思った」
「何だよ」
「レオンって、宝物を見つけたいんじゃなくて、分からないものを見つけるのが好きなんだよ」
その言い方には妙な説得力があった。
レオン自身は答えを知りたいと思っているのに、答えが分かれば別の疑問を探し始める。それならノアの言う通り、自分が好きなのは答えそのものではなく、分からないものを見つけて考えている時間なのかもしれない。
「それなら、そうかもな」
「認めるんだ」
「否定する理由もないだろ」
話しているうちに、古い作業路の先で地面の色が変わった。
草が減り、代わりに灰色の岩と乾いた土が増えている。旧採掘場の外縁へ入った証拠であり、レオンは自然に歩幅を狭めると、後ろを歩くノアが同じ場所を通れるか確認しながら進んだ。
正式な管理名を知る村人はほとんどいない。
村では単に《旧第七採掘場》と呼ばれていた。
かつては鉄や魂力器具へ使う鉱石が採れたらしいが、まとまった鉱脈が尽きてからは放棄され、現在では村の自警団が崩落の危険がある坑道へ簡単な柵を設置している程度だった。猟師が森を抜ける際に外縁を通ることはあっても、坑道の内部まで入る者はほとんどいない。
レオンも今日は坑道へ向かうつもりはなかった。
目的は外側の斜面である。
「ここだ」
足を止めた先では、乾いた土の間から灰色の平面が覗いていた。
昨日より日が高いため形を確認しやすく、露出している範囲だけでも、自然石としては不自然なほど真っ直ぐな縁が続いている。レオンが腰を落とすと、ノアも隣へしゃがみ込んだ。
「本当に真っ直ぐだね」
「昨日はもっと土が付いてたから、ここまで見えなかった」
「掘るの?」
「表面の土を払うだけにする。下まで掘ったら斜面そのものが崩れるかもしれないから、形が分かれば十分だ」
ノアは少し意外そうな顔をした。
「ちゃんと危ないって考えてるんだ」
「俺を何だと思ってるんだよ」
「三日前に斜面で滑って手を切った人」
「落ちてないからな。足を滑らせただけだ」
「怪我して帰ってきたなら、私にはあまり違いが分からないけど」
反論しても勝てそうにないため、レオンは布袋から刷毛と木製のへらを取り出した。
金属製の道具を使わないのは、表面に何か刻まれていた場合に傷を増やしたくないからだった。趣味で続けているだけとはいえ、何度も古いものを探すうちに、壊さず見るためのやり方くらいは覚えている。
乾いた土を少しずつ払っていく。
最初に見えていた灰色の面は、予想より奥まで続いていた。
さらに土を除くと、表面に細い溝が現れた。
レオンは刷毛を止めた。
「ノア、ここ見えるか?」
「線?」
「ああ。傷じゃないと思う」
溝は一本だけではなく、縦へ伸びた途中で枝分かれし、その先には円弧のような曲線が続いていた。採掘道具が偶然擦れた跡なら深さも方向もばらつくはずだが、見えている線には明らかな規則性がある。
「文字かな」
「分からない。俺が知ってる文字には見えないけど、採掘用の印にしては細かすぎる」
「読めないなら、文字かどうかも分からないね」
「だから記録する」
腰の記録帳を開き、露出部分の形を写していく。
斜面の向き。
石材の幅。
溝の位置。
近くにある大きな岩までの距離。
村を出てからここへ到着するまでに掛かった時間も書き込んでいると、横から覗き込んでいたノアが眉を寄せた。
「字、昨日より汚くない?」
「急いでるから仕方ないだろ」
「あとで自分で読めなくなるよ」
「形が分かればいいんだよ」
「三日前の記録も同じこと言って、昨日読めなくなってたじゃん」
「じゃあノアが書いてくれ」
「嫌だよ。私まで遺跡調査してる人みたいになるから」
「調査じゃなくて趣味だ」
「それならもっと嫌」
そう言いながらも、ノアはレオンが地面へ意識を集中させている間、周囲へ視線を配っていた。
そのことにレオンが気づいたのは、彼女が急に立ち上がったからだった。
「レオン、あれ何?」
「どれ?」
ノアが指したのは、斜面のさらに奥にある二つの岩の間だった。
夕日が低く差し込む角度になったことで、岩陰にある何かが一瞬だけ強く光った。レオンも反射を確認したが、太陽が雲へ隠れると同時に光は消え、そこに何があるのかまでは判別できない。
「金属か?」
「昨日もあった?」
「分からない。昨日はあの辺まで見てない」
レオンは立ち上がったものの、すぐには近づかなかった。
光った場所まで十数歩しか離れていないが、その間には最近崩れたばかりの土が堆積している。表面は乾いているものの、その下まで固まっている保証はなく、三日前に滑った場所と似た状態だった。
「近くまで行ってみる」
一歩踏み出したところで、ノアが腕を掴んだ。
「その地面、崩れてるよ」
「見えてる。端を通れば行けそうだ」
「行けそうなのと、安全なのは同じじゃないでしょう」
「五歩くらいなら確認できる」
「五歩進んだら、その先も見たくなるんじゃない?」
レオンは返事に詰まった。
おそらく、その通りになる。
五歩先まで行けば、もう少し近づけば形が分かると思うだろう。形が見えれば触れて材質を確かめたくなり、さらに奥へ何か続いていると分かれば、そこで引き返す自信はあまりなかった。
「石を投げて足場を確かめるとか」
「それで光ったものに当たったら?」
「……壊れるかもしれないな」
「だったら、今日はやめようよ。明るい時間に別の道がないか探した方がいいと思う」
レオンはもう一度斜面を見た。
太陽が山の方へ傾き始めており、あと半刻もすれば岩陰はさらに暗くなる。今ならまだ確認できるという焦りはあったが、急いで進む理由が「今日見たいから」しかないことも理解していた。
三日前に右手を切ったときも、あと少しだけ確認したいと思って斜面へ入った。
結果として傷は軽かったが、それは判断が正しかった証明にはならない。
「分かった。今日は近づかない」
ノアが掴んでいた腕を離した。
「本当に?」
「場所と距離だけ記録する。明日、もっと明るい時間に来ればいい」
「雨が降ったら?」
「天気は崩れないって聞いたし、もし崩れたらそのとき考える。雨が降るかもしれないって理由で今危ない場所へ入る方がおかしいだろ」
自分で口にすると、思っていたより簡単な話だった。
ノアは満足そうに頷いた。
「昨日よりちゃんとしてる」
「昨日もちゃんとしてた」
「怪我した人が言っても説得力ないよ」
レオンは言い返す代わりに、記録帳へ光った場所を書き込んだ。
斜面の基準になる岩からおよそ十二歩。
崩落跡あり。
夕方、西側から光が入ったときだけ強く反射。
明日、別経路の確認。
書き終えたところで、遠くから二度目の鐘が聞こえてきた。
ノアが何も言わずこちらを見る。
「帰るよ」
先に言うと、彼女は少し笑った。
「今日は言われる前に言えたね」
「俺だって毎回遅れるわけじゃない」
「昨日遅れたばっかりだけど」
「今日の話をしてるんだよ」
二人は来た道を戻り始めた。
日が傾いた旧採掘場では岩の影が長く伸び、昼間なら見落とさない程度の凹凸も分かりにくくなっている。レオンは登ってきたときより歩調を落とし、ノアとの距離が開かないよう、ときどき振り返りながら進んだ。
途中で低い枝が右手の布へ引っ掛かった。
傷そのものに強い痛みはなかったが、布の端がずれたため、レオンは足を止める。
「手?」
「布が引っ掛かっただけ。痛みは二くらい」
「見せて」
「村へ戻ってからでいいだろ」
「血が出てないかだけ見るから」
言い争うほどのことでもないため、レオンは右手を差し出した。
ノアは布を少し外して傷を確認すると、新しい出血がないことを確かめてから巻き直した。三日前なら「大丈夫だ」と言ってそのまま歩いていただろうが、今日は母からも傷の状態を悪化させないよう言われている。
「こういうときは素直なんだね」
「治療所へ連れていかれるより早いからな」
「おばさんには?」
「見つかると思う」
「それは私もそう思う」
二人は顔を見合わせて笑った。
丘陵を一つ越えると、《エルダ村》の屋根が見えてくる。
家々の煙突から夕食の支度をする煙が上がり、風向きが変わるたびに焼いた根菜と煮込み料理の匂いが丘まで届いた。畑では作業を終えた村人が農具を荷車へ積み、村外れの家畜小屋からは餌を求める鳴き声が聞こえている。
レオンにとっては、何年も繰り返してきた夕方だった。
遺跡を探しているときには古い時代のことばかり考えているが、腹が減れば家へ戻り、汚れた服を脱ぎ、翌日の仕事があれば手伝う。村の誰かが怪我をすれば治療できる者を呼び、壊れた農具があれば父のところへ持ち込まれ、収穫が多ければ近所へ分ける。
ソウルストーンも、その暮らしから切り離された特別なものではなかった。
村の入口近くでは、畑仕事を終えた男が腰に付けた小さな契約石へ触れ、荷車の補助具に残った魂力を止めている。通り沿いの店では軒先の魂晶灯が点き始め、まだ夕日の残る道へ淡い光を落としていた。
レオン自身は正式な契約石を持っていない。
同年代には簡単な魂力補助へ使える石を持つ者もいるため、幼い頃には羨ましいと思ったこともある。しかし、契約石を持たなければ畑を耕せないわけでも、村の外へ出られないわけでもなく、少なくとも現在の生活で困ることはほとんどなかった。
村の入口へ差しかかったところで、前方から声が飛んできた。
「レオン!」
橙色の髪を後ろでまとめた少女が、道の反対側から駆けてくる。
ユナ・ベルだった。
幼い頃からレオンやノアと一緒に村中を走り回ってきた相手で、最近は家の仕事が増えたため三人で遠出する機会こそ減ったものの、顔を合わせれば昔と同じ調子で話しかけてくる。
「また北へ行ってたの?」
「またって言うなよ」
「三日前も行って怪我してたじゃん」
「もうほとんど治ってる」
ユナはレオンの右手を見た。
「布巻いてるのに?」
「傷が開かないようにしてるだけだ」
「ノアまで一緒だったんだ」
「今日は監視役なんだって」
レオンが答えると、ユナはノアへ同情するような視線を向けた。
「大変だったね」
「本当に」
「本人の前で意気投合するなよ」
二人が笑う。
ユナはそのままレオンの腰にある記録帳へ目を向けた。
「何か見つけた?」
「加工されたみたいな石と、金属っぽいもの」
「金属っぽいものって何?」
「近づいてないから分からない。斜面が崩れてたんだよ」
「レオンが近づかなかったの?」
驚かれたことの方が腹立たしい。
「俺だって危なかったら止まる」
「ノアに止められたんでしょう?」
「……最初はな」
「やっぱり」
ユナまで納得したように頷いたため、レオンは明日の話へ切り替えることにした。
「昼過ぎにもう一回行くつもりだ。明るいうちなら別の道が見つかるかもしれない」
「私も行こうかな」
「家の手伝いは?」
「昼は無理だなあ。夕方なら終わるけど」
「夕方じゃ今日と同じになるから駄目だ」
「じゃあ今回は諦める。何か面白いものだったら教えてよ」
「分かった」
「高く売れそうなものなら私にも教えてね」
「何でだよ」
「村の外へ売りに行く係やってあげる」
「勝手に役割作るな」
笑いながらユナと別れ、レオンとノアは村の中へ入った。
家々の間を抜けていく途中、ノアの家へ続く分かれ道へ着く。
「じゃあ明日、昼過ぎ?」
「そのつもり。父さんに今日の場所を見せてから決める」
「ちゃんと見せるんだ」
「危ないって言われたら、どこが危ないのか聞く。それで駄目なら別の方法を考える」
「勝手に行かない?」
「行かないよ」
ノアは少し疑うようにレオンを見ていたが、最後には頷いた。
「じゃあ、また明日」
「ああ」
ノアが自宅の方へ歩いていく。
レオンもアークレイア家へ向かった。
玄関へ着くより先に扉が開いた。
母のミレアが立っている。
「ただいま」
レオンは先手を取った。
「おかえり。二回目の鐘には間に合ったわね」
「今日はちゃんと戻っただろ」
「それは偉いけど、右手を見せて」
やはり見つかった。
「何で分かるんだよ」
「布の巻き方が朝と違うもの」
レオンは自分の右手を見た。
本人にはほとんど違いが分からない。
「ノアが巻き直した」
「何があったの?」
「枝に引っ掛けただけ。傷は開いてないし、痛みも二くらいだった」
「今は?」
「一」
ミレアは玄関先で済ませず、レオンを室内へ入れて椅子へ座らせた。
布を外して傷を確認し、腫れや出血が増えていないことを確かめる。消毒用の薬を薄く塗り直している間、レオンは今日見つけたものについて話した。
「それで、金属みたいなものが見えたんだけど、途中の斜面が崩れてたから今日は近づかなかった」
ミレアの手が一瞬止まる。
「あなたが?」
「母さんまでそれ言うのかよ」
「三日前のことがあるから確認しただけよ」
「ノアにも止められたけど、自分でも危ないと思ったから戻った。明日、明るい時間に別の道がないか見るつもりなんだけど」
「一人では行かないのね?」
「ノアと行く」
「それだけ?」
レオンは母の言いたいことを察した。
今日見つけた場所は、単に森を歩くのとは違う。崩落跡があり、その向こうには用途不明の人工物らしきものまで見えている以上、十七歳の二人だけで安全を判断するには限界がある。
「父さんにも話す」
「そうして。見ること自体を止めるつもりはないけど、危ない場所へ入るかどうかは別の話だから」
「分かってる」
「本当に分かってるなら、今日はそれでいいわ」
新しい布を巻き終えると、ミレアは夕食までに服を替えるよう言って台所へ戻った。
レオンは自室へ行く前に、家の裏側へある父の作業場へ向かった。
扉を開けると、木材を削った粉と研磨油の匂いが混ざった空気が流れてくる。エドガーは作業台の前に座り、農具の柄へ金属部品を固定しているところだった。
「父さん、少しいい?」
「手なら母さんに見てもらったんだろ」
「そっちじゃない」
レオンは記録帳を差し出した。
エドガーは工具を置き、手に付いた油を布で拭ってから受け取った。
「第七採掘場か?」
「ああ。北側の斜面でこれを見つけた」
父は描かれた線を眺める。
「幅は?」
「正確には測ってない。明日、紐を持っていって測ろうと思ってる」
「定規よりその方がいい。足場が悪いところで両手を使わずに済む」
「それと、ここ」
レオンは記録帳の端へ描いた崩落斜面を指した。
「この辺で金属みたいなものが光った。近づこうとしたんだけど、途中が崩れてたから今日はやめた」
エドガーはそこで顔を上げた。
「やめたのか?」
「父さんまで驚くなよ」
「三日前のお前を知ってるからだ」
「今日は戻った」
「それならいい判断だ」
怒られると思っていたため、素直に認められると少し落ち着かなかった。
エドガーは記録帳を作業台へ置き、崩落斜面の図を指でなぞった。
「明日ここへ行くなら、正面からは入るな。乾いて見えても、上だけ固まって下が緩んでることがある」
「横から回れないか探すつもり」
「岩盤が出ている側ならまだましだが、歩けるかどうかは現場を見ないと分からん。無理なら戻れ」
「一緒に来られる?」
「昼は仕事がある」
予想していた答えだった。
エドガーは少し考えたあと、壁へ掛けてある古い縄を取った。
「これを持っていけ。ただし、危ない場所へ入るための縄じゃない。安全なところから距離を測るために使え」
「分かってる」
「それと、何か見つけても持ち帰るな」
「何で?」
「古い遺物なら、土地の管理や届け出が絡む。誰も使っていない場所だからといって、見つけた人間が勝手に持って帰っていいとは限らん」
「見るだけなら?」
「外から見られるものを見るだけなら止めない。ただ、閉じた場所が出てきたら中へ入る前に戻ってこい」
「閉じた場所?」
「昔の坑道でも、空気が悪ければ倒れる。古い設備なら何が残っているか分からんし、お前が知らないものを見つけたなら、知らないまま安全だと決めるな」
その言葉が少し引っ掛かった。
レオンは知らないものを見つけることが好きだった。
けれど、知らないから面白いという感覚と、知らないものを安全だと考えることは別なのだろう。
「分かった。入口みたいなものがあったら、その場では入らない」
「それでいい」
記録帳を受け取る。
作業場を出ようとしたところで、エドガーがもう一度レオンを呼んだ。
「レオン」
「何?」
「見たいと思うことまで止める必要はない」
父は再び農具へ手を伸ばしながら続けた。
「ただ、見たいと思った瞬間に進む必要もない。明日でも見られるなら、明日に回せばいい」
「明日なくなってたら?」
「なくなる理由があるなら、それも記録だろ」
思っていなかった答えだった。
レオンは少しだけ笑った。
「父さん、たまにドル爺みたいなこと言うな」
「一緒にするな」
「褒めたつもりなんだけど」
「なお悪い」
今度こそ作業場を出ると、廊下の壁へ妹のルナが寄り掛かっていた。
「また遺跡?」
「聞いてたのか」
「聞こえた。明日も行くんでしょう?」
「行く予定」
「怪我しないでよ。母さんが兄ちゃんの治療してる間、夕飯遅くなるから」
「心配するところそこなのか?」
「怪我しない方がいいのは同じだからいいでしょ」
そう言って笑いながら自室へ戻っていく妹を見送り、レオンは肩を竦めた。
◇
夕食には根菜と干し肉を煮込んだスープが出た。
外で冷えた身体には温かい汁がありがたく、レオンは最初の一杯を普段より早く食べ終えた。食卓では母から今日の斜面についてもう一度確認され、父からは明日の天候が急変した場合は予定を取りやめるよう言われたが、探索そのものを禁止されることはなかった。
食後には翌日の薪を室内へ運び、父が修理を終えた農具を持ち主の家へ届けた。
普段なら面倒に思う仕事だったが、今日に限っては村の中を歩くたび、丘陵の向こうに残してきた光のことを思い出した。
夜になり、自室へ戻る。
机の上に小型の魂晶灯を置き、昼間の記録を清書する。
加工された石材。
規則的な溝。
西日を反射した金属状の物体。
崩落した斜面。
明日は正面から近づかず、岩盤側の経路を確認する。
安全な経路が見つからなければ、その場で戻る。
閉鎖された空間や坑道らしきものが見つかった場合も、内部へは入らず村へ報告する。
書き終えてから、レオンは記録帳の最後の行をしばらく眺めた。
三日前の自分なら、ここまで細かく決めなかっただろう。
見つけたものへ近づき、危なければそのとき戻ればいいと考えていた。しかし今日、ノアに止められて斜面を見直したことで、自分が危険を判断するより先に「見たい」という気持ちを理由にしていたことに気づいた。
だからといって、遺跡へ行くことをやめたいとは思わない。
むしろ、あの光が何だったのか知りたい気持ちは昨日より強くなっている。
レオンは記録帳を閉じ、右手の指をゆっくり握った。
傷はほとんど痛まない。
それでも布が巻かれている間は、三日前の判断が完全に何も残さなかったわけではないと分かる。
窓の外では、村の魂晶灯が道沿いに点々と灯っている。
その向こうには暗い丘陵があり、さらに先に旧第七採掘場がある。
歩けば一時間ほどの距離だった。
レオンはそこで育ち、十七年間、あの丘が村の北側にあることを知っていた。それでも、その地面の下に何があるのかはほとんど知らない。
ドルガから昔話を聞かなければ、探そうとも思わなかっただろう。
昨日の雨で土が崩れなければ、加工された石にも気づかなかったかもしれない。
今日、西日があの角度から差し込まなければ、金属らしき反射も見落としていた可能性がある。
偶然が重なっただけなのかもしれない。
だからこそ、レオンはそれを運命だとは考えなかった。
見つけたことと、進まなければならないことは同じではない。
明日、自分で確かめる。
危険なら戻る。
安全な道があるなら、そこから見る。
それだけ決めて、レオンは魂晶灯を消した。
翌日、昼を過ぎる頃には、昨夜の冷気が嘘のように気温が上がっていた。
レオンは朝のうちに右手を母へ見せ、新しい出血も腫れもないことを確認してから、父に借りた縄と記録帳、水筒を布袋へ入れた。探索へ使う道具は昨日とほとんど変わらないが、今日は小さな携帯灯も追加している。
ただし、それは内部へ入るためではなかった。
岩陰や窪みを外側から確認する際、昼でも光が届かない場所があるためである。
昼食を終える頃、ノアがやってきた。
「手は?」
「痛み一。傷も開いてない」
「許可は?」
「取った。父さんから条件付きだけど」
「どんな条件?」
「崩れてる正面は通らない。安全な経路がなかったら戻る。閉じた場所が出たら入らず報告する」
ノアは少し目を見開いた。
「ちゃんと聞いたんだ」
「俺だって同じ失敗を繰り返したいわけじゃない」
「それなら今日は安心できそう」
「昨日も安心してくれ」
「昨日は五歩だけって言ってた人が何か言ってる」
痛いところを突かれ、レオンは返事を諦めた。
二人は村を出る。
昼の丘陵は昨日の夕方とは違って見えた。
風は弱く、草の表面には日差しが広がっている。レオンの右手には包帯が残っているものの、昨日より身体は軽く、歩く速度も自然と上がりそうになった。
しかしノアを置いていくほど急ぐ必要はない。
途中で一度水を飲み、旧第七採掘場へ着く。
昨日調べた石材はそのまま残っていた。
レオンは最初に正面の崩落跡を確認した。
表面は乾いている。
だが、父から言われた通り、乾いているから固いとは限らない。
近づかずに横へ回る。
岩盤が露出している側には、昨日の夕方には影になって見えなかった狭い足場が続いていた。
「ここなら行けそう」
ノアも覗き込む。
「一人ずつ?」
「横に並ぶのは無理だな。俺が先に行って、危なかったら戻る」
「私を置いて先へ行かない?」
「道が続いてるか見るだけだよ。五歩先までじゃなくて、戻れる場所を確認しながら進む」
ノアは少し考えたあと、頷いた。
レオンは岩盤へ足を置いた。
最初の数歩は十分な幅がある。
その先で少し狭くなる。
右側には岩壁があり、左側は崩れた土の斜面へ続いているため、身体を壁側へ寄せて進む。
一度足を止め、後ろを見る。
ノアが同じ場所まで来られる幅はある。
「大丈夫?」
「ここまでは。次が少し狭い」
「無理なら戻って」
「ああ」
レオンは足を置く前に岩の表面を確かめた。
動かない。
体重を少しずつ掛ける。
問題ない。
そこを越えると、昨日光った場所が正面に見えた。
レオンは思わず息を止めた。
金属だった。
岩の隙間から露出しているのは、自然にできた鉱石の面ではない。
灰色に近い黒色の金属板が縦方向へ伸びており、昨日調べた石材と似た細い溝が表面へ刻まれている。長い間地中にあったはずなのに目立った赤錆はなく、土を被っている部分を除けば形もほとんど崩れていない。
「ノア、見えるか?」
「見える。あれ、本当に金属?」
「たぶん」
さらに近づこうとして、レオンは足を止めた。
父との約束を思い出したからではない。
金属板の横に、黒い隙間が見えたからだった。
岩が割れただけの隙間にしては縁が直線的すぎる。
レオンは携帯灯を取り出した。
内部へ入らず、現在いる位置から光だけを向ける。
暗闇の奥へ細い光が伸びた。
数歩先に、平らな床らしき面が見える。
さらに壁。
自然の洞穴ではない。
少なくとも、そう見えた。
ノアが後ろから声を掛けた。
「レオン?」
「ああ。聞こえてる」
「入らないよね?」
レオンはすぐに答えなかった。
目の前にある。
何年も探していたものが、本当にここへ続いているかもしれない。
ドルガから聞いた、鉱山より古い何か。
昨日までなら昔話でしかなかったものが、いま自分の手が届きそうな距離にある。
胸の奥が熱くなった。
中を見たいという気持ちは、危険を考えるより先に身体を前へ動かそうとするほど強かったが、レオンはそこで足を止めたまま、携帯灯の光が届く範囲だけを確かめた。内部の床がどこまで続いているのか、空気が安全なのか、天井が崩れないのか、そのどれも判断できない以上、入口らしきものを発見したことだけを理由に踏み込むべきではない。
「今日は入らない」
ようやく答えると、ノアの肩から僅かに力が抜けた。
「本当に?」
「父さんとも約束した。それに、ここは俺たちだけじゃ安全か分からない」
「じゃあ戻る?」
「入口の外側だけ記録してから戻る。触らなくても見えるところは残しておきたい」
「それなら手伝う」
二人は無理に近づかず、現在いる岩盤の上から観察できる範囲を記録した。
金属面は人が通れるほどの高さがある。
表面には昨日見つけた石材と似た溝が刻まれている。
隙間からは弱い空気の流れがある。
内部には平らな床らしき面が見える。
採掘場の既知の坑道とは位置が合わない。
それらを単語だけで並べるのではなく、レオンは自分が後から読み返したときに状況を再現できるよう、位置関係と判断の理由を文章で書き込んでいった。
「これ、採掘場より古いのかな」
ノアが尋ねる。
「まだ分からない。でも、今の採掘場の作業面より下にあるし、昨日の石材ともつながってるように見える」
「ドル爺の話、本当だった?」
「それもまだ分からない。古い施設なのはたぶん間違いないと思うけど、何の施設なのかは何も分かってないから」
レオンは自分で言いながら、その違いを意識した。
何かを見つけた。
しかし、意味はまだ分からない。
古いものらしい。
だからといって、ドルガの昔話がすべて正しかったことにはならない。
入口らしきものがある。
だからといって、安全に入れるわけでもない。
分からないものを、分かったことにしない。
それは昨日までの自分があまり意識していなかったことだった。
記録を終える。
レオンはもう一度だけ隙間の奥を見た。
携帯灯の光が届くのは僅かな範囲だけで、その先は暗闇へ沈んでいる。
中へ入りたい気持ちは消えていない。
むしろ入口を見つけたことで、昨日より強くなっている。
それでも今日は戻る。
見たいという気持ちを捨てるのではなく、次に安全を確認するために必要なものを持って戻ってくる。
その方が、自分が本当に見たいものを最後まで見られる可能性は高い。
「ノア、戻ろう」
「うん」
二人は来た道を引き返した。
狭い岩盤を抜け、昨日調査した石材のところまで戻ると、レオンはようやく大きく息を吐いた。
振り返れば、入口は岩陰に隠れてほとんど見えない。
昨日、西日が偶然反射しなければ気づかなかっただろう。
ノアが隣へ立つ。
「入ると思った」
「俺も少し思った」
「そこは否定しないんだ」
「入りたかったのは本当だからな。でも、入って何かあったら、次から来ること自体を止められる」
「理由それだけ?」
レオンは少し考えた。
「それだけじゃない。中が危ないかどうか分からないのに、自分が見たいから安全だってことにするのは違うと思った」
ノアはすぐには返事をしなかった。
やがて小さく笑う。
「やっぱり昨日より少し賢くなってる」
「少しなのか?」
「一日だからね」
「明日はもっと賢くなる予定」
「それなら明日はもっと安全そう」
二人は村へ向かって歩き始めた。
帰り道では、レオンは昨日ほど急がなかった。
入口を見つけた以上、次に何をすべきかはある程度決まっている。
父へ見せる。
ドルガにも聞く。
必要なら自警団へ相談する。
内部へ入るなら、少なくとも灯りだけでは足りない。
空気。
足場。
崩落。
帰路。
誰かが怪我をした場合のことまで考えなければならない。
そのすべてを自分一人で判断する必要もない。
村が見えてきた頃、ノアが尋ねた。
「明日も行く?」
「たぶん。でも、今度は父さんたちに入口を見てもらってからだな」
「もし危ないから入るなって言われたら?」
「何が危ないのか聞く」
「それで納得したら?」
「入らない。危険を減らす方法があるなら、それを準備してからにする」
「前だったら勝手に行ってた?」
レオンは三日前の自分を思い出した。
否定できなかった。
「たぶんな」
「じゃあ、本当に少し変わったんだ」
「怪我した分くらいはな」
右手を軽く上げる。
包帯はまだ白い。
傷そのものは小さい。
けれど、その小さな傷がなければ、今日もノアを置いて斜面へ入っていたかもしれない。
村の入口へ近づくと、仕事を終えた人々の声が聞こえ始めた。
荷車の車輪が石へ当たる音。
家畜を小屋へ戻す声。
夕食の支度を始める家々から漂う煙。
昨日と同じ日常だった。
レオンはその中へ戻っていく。
古い入口を見つけたからといって、村の暮らしが突然変わったわけではない。
誰もレオンを待っていたわけでもない。
世界が何かを告げたわけでもない。
ただ、村の北にある使われなくなった採掘場で、十七歳の青年が今まで知らなかった入口を見つけただけだった。
その入口の向こうに何があるのかは、まだ誰にも分からない。
レオン自身も知らない。
だから、確かめる。
ただし、自分が知りたいという理由だけで、他人まで危険へ連れていくつもりはなかった。
ノアが隣を歩いている。
父と母が家にいる。
村にはドルガも、自警団の者たちもいる。
自分だけで決めなくても、先へ進む方法はある。
そのことを考えながら村の道へ入ったとき、レオンは右手に残る僅かな痛みを確かめるように指を動かした。
三日前に負った傷は、明日になればさらに薄くなるだろう。
しかし、今日止まった場所は覚えておきたいと思った。
見つけたから進むのではない。
知りたいから無理をするのでもない。
分からないなら、分かるところまで確かめてから次を選べばいい。
家の前まで戻ると、レオンは父の作業場へ向かう前に、記録帳を取り出して入口の位置をもう一度確認した。
明日、自分一人の判断で中へ入るつもりはない。
その代わり、今日見つけたものをなかったことにするつもりもなかった。
レオンは記録帳を閉じると、父へ見せるために作業場の扉へ手を掛けた。
「まず父さんたちに入口を見てもらって、安全を確かめてから、その先へ進む。」
●評価●ブックマーク●アクション●感想●
待ってます!
①文字数が何文字が良いななど
②もっと更新してなど
読者様が応援してくれると嬉しいです!




