第47章 ⑦
最近、みんなが私に何か隠している。
別に隠し事くらいあっていい。カイルもミラもとっくに家庭を持っているし、ルークもサラもニコも大人になった。
何でもおばさんに話さなければいけない年ではない。
ただ、私の家で隠し事をするなら、もう少し上手くやってほしい。
この前、サラが町で買った糸を使って何か作っていた。
何を作っているのか聞いたら、まだ内緒だと言われたので、そのままにしておいた。
ところが昨日、ミラが来た途端、作りかけの何かを持って二人で部屋へ行った。
今日はカイルが来た。
子供は連れていない。
「今日は一人?」
「うん。ちょっと寄っただけ」
そう言いながら、小さな包みを持っている。
「それ何?」
「仕事のもの」
「家に持ってきたの?」
「ついで」
何のついでだろう。
聞こうかと思ったけど、カイルはそのままサラのところへ行った。
しばらくすると、二人で何か話している声が聞こえた。
内容までは聞こえない。
聞く気もない。
夕方になるとルークが帰ってきた。
今日は泊まりの依頼ではなかったらしい。
「おかえり。夕飯食べる?」
「食べる。ダンたちは帰ったよ」
「分かった。今日は魚だけどいい?」
「何でもいいよ」
荷物を置きに行ったルークが、少しして戻ってきた。
手には何か持っている。
まただ。
「それ何?」
「これ?」
「それ」
ルークは一度手元を見てから、普通の顔で答えた。
「拾ったもの」
「何を拾ったの?」
「石」
「石?」
「うん」
石を拾って帰ってくる二十三歳。
まあ、冒険者なので、珍しい石でもあったのかもしれない。
「捨てるなら外に捨ててね」
「捨てないよ」
「じゃあいいけど」
ルークはその石らしきものを持って、サラのところへ行った。
全員グルだな。
そこまで分かっても、何をしているのかは分からない。
夕飯の頃にはニコも帰ってきた。
「おかえり。今日は遅かったね」
「少し仕事が残ったから。遅くなるって伝言、来た?」
「来たよ。だからご飯ある」
「よかった」
連絡がなければ、ない。
大人なので、自分で何とかすればいい。
ニコは着替えてから食卓へ来た。
今日は全員いるので、少し多めに作ってある。
食べ始めてしばらくすると、カイルがニコに小さな包みを渡した。
堂々と。
私の目の前で。
「これ、頼まれてたやつ」
「ありがとう。思ったより早かったね」
「急がせたからな。確認してみて」
ニコが包みを開けようとした。
サラが止めた。
「ここで開けるの?」
「あ」
二人が私を見る。
私も二人を見る。
「何?」
「何でもない」
ニコは包みを閉じた。
カイルが笑っている。
「何がおかしいの?」
「いや、別に」
怪しい。
かなり怪しい。
でも、ここまで隠したいなら、無理に聞く必要もないだろう。
そのうち分かる。
食後、カイルは帰り、ルークとニコはなぜかサラの部屋へ行った。
少し遅れてミラまで来た。
今日はもう来ないと思っていた。
「子供は?」
「旦那にお願いしてきた。ちょっとだけだから」
「そう。夕飯は?」
「食べてきたよ」
なら問題ない。
ミラもそのままサラのところへ行った。
しばらくして笑い声が聞こえてきた。
何をしているのかは知らない。
楽しそうなので放っておく。
私は居間で編み物の続きをした。
何段か進んだ頃、サラが顔を出した。
「おばさん、明日どこか行く?」
「今のところ行かないよ。買い物も済んでるし」
「じゃあ、明日は家にいてね」
「いいけど、何かあるの?」
サラは少し考えてから笑った。
「明日になったら分かるよ」
またそれか。
「分かった。じゃあ明日は出掛けない」
「うん」
サラは嬉しそうに部屋へ戻っていった。
何をしているのか知らないけど、明日には分かるらしい。
なら、今日聞く必要はない。
私はまた編み物に戻った。




