第36章 ①
家へ戻ると、私は籠を床へ置き、赤ちゃんを抱き上げた。
泣き声は大きい。
元気はありそうだった。
抱き直して確かめる。
首は座っている。
手にも力があり、痩せてはいない。顔色も悪くなかった。
「五か月か、六か月くらい?」
息子の時は毎日見ていたから分かった。
急に拾った赤ちゃんは難しい。
赤ちゃんは私の服を掴み、胸元へ口を寄せてくる。
「お腹?」
さらに泣いた。
服の下を確かめると、巻かれた布が濡れている。
「両方か」
それなら泣く。
私はみんなを見る。
「カイル、お湯を沸かして。桶の水に入れて、ぬるくして」
「分かった」
「ミラはパン粥。柔らかい中身を細かくして、水を多めに入れて煮て」
二人がすぐに動く。
私は赤ちゃんを抱いたまま、オムツに使えそうな物を探した。
紙オムツが欲しい。
でも、ない。
代わりに見つけたのは、何度か使ったさらしだった。
新しい物より柔らかい。
これなら大丈夫そうだった。
「ルーク、これを切って」
赤ちゃんに巻かれていた布を見せる。
「同じくらい?」
「うん」
ルークがさらしを切っている間に、カイルが桶を運んできた。
湯へ指を入れる。
熱くない。
ちょうどいい。
敷物の上へ赤ちゃんを寝かせ、濡れた布を外す。
お尻が少し赤くなっていた。
「待ってね」
ぬるま湯で優しく洗う。
赤ちゃんは泣きながら足を動かした。
元気なのは良い。
洗いにくいけど。
水気を押さえ、ルークが切ったさらしを折って当てる。
これで一つ終わった。
でも、赤ちゃんは泣き止まない。
抱き上げると、また胸元へ口を寄せてきた。
「ご飯だね」
ちょうどミラが、小さな器へパン粥を入れた。
粒が残らないくらい、とろとろになっている。
「上手」
まだ熱いので、匙で混ぜながら冷ます。
人肌くらいになったところで、匙の先へほんの少しだけ載せた。
赤ちゃんの唇へ触れさせる。
泣き声が止まった。
口が動く。
舌で押し出さず、きちんと飲み込んだ。
「食べた」
サラが嬉しそうに言う。
赤ちゃんは、もう一度口を開けた。
「食べたことあるね」
誰かが、この子へ離乳食を与えていた。
私は飲み込むのを確認しながら、少しずつ食べさせる。
一口。
もう一口。
やがて赤ちゃんの手から力が抜け、泣き声も消えた。
お腹が落ち着いたらしい。
良かった。
ひとまず。
今は、それでいい。




