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善良に加勢した悪鬼と呼ばれた少女  作者: 山田 勝


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3/3

「メリー、大変だ。ゴールデンアルブヒレト大公令嬢一行が来ている。フランソワに助力を願いたいとの事だ」



 ゴールデンアルブヒレト?どこかで聞いたような。


 鼻をつまみながら、真っ赤なドレスの令嬢が騎士と魔道師を引き連れて来ている。

 メリングの冒険者ギルドは大騒ぎ状態だ。


「ヒィ、都の魔道師だ。服は・・あれは絹じゃねえ?」

「何だ。俺か?」

「なわけない。フランソワだよ。メリング所属だからな」



 応接室に通された。私はギルマスの後ろに立つ。


「フランソワを特別に家臣にしていいわ。条件は年に金貨300枚を提示できるわ」


 ギルマスはもみ手でヘラヘラしている。相当な高位貴族委だろう。


「いや、それが、フランソワは秘匿冒険者扱いでして盗賊専門です」


「連絡をしなさい。国を盗む泥棒猫を討伐するのよ」


 聞けば、人魔大戦で出征した王子が戦死、病死や、他国への亡命が相次ぎ。

 第六王子が王太子に指定される。

 第六皇子には伯爵令嬢が婚約者だった。



「彼女を暗殺して欲しいわ」

「お嬢様、当方は闇ギルドではございません」

「あら、フランソワは貴族も討伐したと聞いたわ」

「それは盗賊貴族です。盗賊をする貴族です」


 一度、私を見たはずなのに気づいていない。

 そういうものだろう貴族は。

 なのにあの令嬢メルディアの顔が想い浮かぶ。



「まあ、私が出向いたのよ」

「後日連絡をいたします」


 令嬢たちは帰った。


「フウ、メリー、どうする?」

「断る」

「だよな」


 また、連日来る。業務にならない。

 だから・・・・



「フラン、仕事、あの巻き髪だらけの女の行動を洗って金貨一枚」

「はい、もちろんよ」


 フランに頼んだ。森で助けたお姉さんだ。



「あの巻き髪、ホテルのバルコニーで三時にお茶をするわ!それと、狙撃しやすい場所も見つけたわ」


「分かった・・・」


 だが、街一番のホテルだ。人が多い。

 だから、匿名で依頼をした。


「何々?騒乱師募集?明日の15時に大通りで騒ぎを起せ?この騒乱師のジミー様の出番だ!」



 冒険者、生き残りをかけて職種が分かれている。騒乱師なんてものもある。



 ジミーはきっかり15時に騒乱を起した。

 裸で通りを走ったらしい。


「また、ジミーか?」

「イケメンなのに・・・どうせ仕事だろうけど残念だな」



 建物の上からバルコニーが視認できる場所に陣取った。あの巻き髪はメイドを従え。お茶を飲んでいる。

 一発で決めなければならない。

 毛布を床に引き。


 照門をのぞき。照星を合わせる。

 ああ、目がグルグル回る・・・



『いいか・・・照準はきっちり合うことはあり得ない。呼吸を止めても、心臓の鼓動、血流、地面の震動、わずかな揺れが銃に伝播する。

 この銃口の先についている突起物は照星という。的の周りを照星はグルグルまわる。

 正しいゆらぎは的の周りを回る。それは目がグルグル回る感覚になる・・・』


 助教の教えを思い出した。



 そして。


『呼吸は、吸う。吐く。止める。引き金は?』

『闇夜に霜が降りるがごとし、ゆっくりと引く』



 バン!銃声がする。

 弾は?・・・命中した。


 ☆☆☆


 パリン!と大公令嬢が掴んでいたカップが割れた。

 7.62ミリ弾が貫通したのだ。



「ヒィ、な、何故、カップが割れたの?風魔法?」

「お、お嬢様!」

「わ、私を守りなさい。お前達、盾になりなさい!」


「お嬢様、鉄礫が飛んで来たようです!」

「馬鹿!お前達役立たずね。護衛はどうしたの?!」


「「「きっちりしてました」」」

「とにかく私の周りを囲みなさい」

「そんな・・・」



 ・・・・・・・・・・・



 その後、令嬢は去った。ちょっと脅かしただけだ。




 その後、冒険者に多量募集のクエストが舞い込んだ。領地争いが起きるときに発生する現象だ。


「大変だ。紛争だ。大公令嬢と伯爵令嬢が王子の取り合いだってさ」

「大公家は、一日銀貨3枚!食事付、たいして伯爵令嬢の方は銀貨1枚、食事は従軍商人から買って下さいとさ」


「どっちに行く?」


「「「大公家だ!」」」



 あのメルディアと巻き髪の争いか・・・


「大公家は家門総出で一万人集まった」

「伯爵家は一千、しかも農民兵だ」



 ・・・そうか、私には関係ない。



 といいつつも新しい武器を召喚した。

 高純度の魔石を使い。


 ボン!


 鉄竜を出した。

 60式106ミリ自走無反動だ。

 荷馬車ぐらいある。


「おい、おい、これをどこに置くんだよ!目立つだろ」

「ギルマス、これダンジョンで見つかったとでも言って」


 練習した。これなら戦場に出ても矢は通さない。

 爆裂魔法でも平気だろう。


「このレバーを引けば右・・・このキュタピラの動きを止めて方向転換をするのか?」


 森で練習をしていたらフランが来た。


「乗せて、私もメリーちゃんのお役に立つ」

「これは遊びじゃない」

「・・・メリーちゃん。本当は伯爵令嬢の方に味方したいんでしょう」

「何故、そう思う・・」


「私ね。マイカー家の炊き出しで助かったのだよ・・」



 メルディア様がね。流民の私達姉妹に炊き出しをしてくれて、旅費まで用立ててくれたの。


『申訳ございません。流民をこれ以上受け入れる事はできないわ。都市に行き。職を探して下さい』


『お姫様』



 ・・・・・・・・・・・


「だから、メリーちゃんが味方してくれたら素敵かなと思って、私はマイカー家の募兵に応募するつもりだよ。この俊足を生かしてメッセンジャーになる」



「妹はどうする?」

「酒場の夫婦善い人だから預けるわ」



 それからもマイカー家からは依頼が来ない・・・

 状況は日々伯爵家側にとって悪くなる。



「王家は勝った方の令嬢を正式に王太子妃にするってよ」

「大公家側には傭兵団が参加、数万に膨れ上がっている」


「令嬢側は農民兵が主体だ。二千は超えていない」



 何故か。私は自然と情報ギルドに足が向かった。

 私をフランソワの側近と思っているから情報ギルドのマスターはもみ手で出むかえた。



「これは、これは、メリー様、珍しい。フランソワ様がらみの伝令でございましょうか?」


「・・・フランソワが伯爵家側に付くと情報を流して欲しい」

「ありゃ。・・・らしくないですね。本当にフランソワ様の命令ですか?」


「そもそも、フランソワは私だ」

「ア~ハハ、今日は嘘をついていい日では・・・えっ」


 机の上に金貨の詰まった袋を置いたら目が変わった。


「このメンヒル情報ギルドの名にかけて流します!」



 それから事態は一変した。


 大公家の募兵に応じようとした冒険者は軒並みやめた。


「・・・フランソワが?」

「やめとこう。生きて帰れる気がしない」



 そして、このギルドにお別れをした。

 送るのはギルマスだけだ。



「おい、メリー、帰ったら部屋を掃除しろよな。油がこびりついている」

「ああ、分かった」

「それとな。馬、名前つけてやれよ」

「トニーだ」

「ありきたりだな」


 生きて帰るのが前提の話をしやがる。




「それとな・・・ここでだけの話だ。ドレーク傭兵団が、大公家側についたぞ。

 何でも、フランソワが付くから対異世界兵器のスペシャリストだと言うからな」


「ギルマス・・・ありがとう」

「おう」


 ギルドは中立のはずなのに教えてくれた。


 私はバイクに乗り。

 そのまま旅だった。





 ☆☆☆ゴールデンアルベスト本陣



「私の誘いを断り。情報ギルドからフランソワがあの泥棒猫に付いたって情報を流しているわ。!嘘に決まっているわ!」



「お嬢様、情報ギルドは嘘流しません。信用に関わりますからな。ですから、このドレークをお呼びになったのでしょう」


「うむ。ドレーク殿の施策を行えば鉄礫など恐れるに足らずだ!」


「説明しましょう・・・」



 人魔大戦で数々の異世界人が現れました。

 女神圏、魔族、それぞれ両陣営につき混沌を極めました・・・


 最初は銃は脅威でした。

 しかし、対策が取られ決して対抗できない物ではないと分かったのです。

 異世界から来る銃を持つのは訓練を受けていない平民学校の学徒。


 近接戦闘一辺倒、すぐにジャムる現象を起します。訓練を受けた整備を行わなければ作動しないようです。


「そして、何よりも鉄礫は木の幹、水を通さないのです。

 このレンガで作った陣地に籠もれば安全です。もし、前線で出たら、奴隷兵を突撃させて弾が尽きるまで突貫させれば良いです。冒険者は肉の盾にします」


「まあ、ドレーク殿、成功したら家臣に取り立ててあげても良いわ」

「はい、王太子妃様」

「まだ、早いわ」

「うむ。今日の夕方には王太子妃の誕生だ」


「あら、外の兵が騒がしいわね」

「喧嘩でしょうか?敵の騎兵はわずかです。ここまで来られる戦力では・・・」



 ドレークが外の様子を伺おうとした瞬間。

 陣地は爆音と共に半壊した。



「うわ。何だ!」

「爆裂魔法?陣を敷かずに、反応はなかったぞ」


 次の瞬間、自衛隊の迷彩服に身を包んだメリーが現れた。片手には使い捨ての無反動を持っている。一発で終わりだが、これで十分だった。無造作にすて背中に背負っていた64式7.62ミリ小銃を構えた。



「馬鹿な。フランソワは遠距離からの狙撃一辺倒ではないのか?何故だ?」


 メリーは銃を構え見下ろした。


「フランソワ、男ではないのか?まさか・・・女」



 メリーに特に感慨はなかったハズである。ただ仕事として任務を遂行したのに熱い想いがこみ上げた。


 この男も私を覚えていない。



 メリーは雑嚢からパンを取り出し。一口食べた。


 そして、伏せているドレークの口に無理矢理詰め込んだ。



「・・・まさか、ウグ、生き残りの・・・少女・・・まさか、スキルが乗り移ったのか?」

「そうだ。異世界の武器は銃だけではない・・・」


「私と組もう。大公家に付けば国は豊かになる。マイカー伯爵令嬢と王子は善良なだけの凡人だ。国は・・・」


 少女はドレークの言う事を無視して、床に何かを置いた。


「何だ!」

「これはTNT爆破役雷管付だ・・・後30秒で爆裂を起す」


 導火線の先端になすりつけるようにマッチで着火した。


「後、お前達の命は三十秒後だ」



 そのままメリーは表に止めてあるバイクに乗り離脱をした。



「はあ、はあ、馬鹿め。私でもウォーターボールぐらいだせる・・・大公と令嬢を助け出して。戦局を立て直して見せる。何、数は圧倒的だ。大公殿下と令嬢は・・・気絶しているだけか」


【ウォーターボール!】


 しかし、導火線にいくら水をかけても消えない。


「馬鹿な。これは魔道の火か?」


 知らないのも無理はない。導火線には酸素が練り込まれていて水の中でも消えない。



「ここで終わりか!私は大将軍に・・・」


 それがドレークの最期の言葉だった。




 ☆☆☆



 レンガの陣地が爆音と共に崩れ落ちた。

 奴らは死んだか・・・

 でも、戦争は終わっていない。


 バイクの前を重装歩兵が塞ぐ。弾は後何発か?手榴弾は?もう、数えられないくらい疲弊した。

 大公死亡の報が流れていないか・・・



「うわ。悪鬼だ!」

「止めろ!」


 カチャ!カチャ!もう、弾が尽きたか。

 甘かった。後2弾倉ほどあるが、バイクの上では交換がままならない。

 ツッコムか?どこに・・


「おい、鉄馬がこけたぞ!」

「囲め!囲め!」

「手柄は一番乗りだ!」


 フフフ、もうおしまいだ。手榴弾が残っている。自爆しよう。最後に仲間の仇をとれたか?


 ドカーン!と爆音が戦場に響いた。




 ・・・おかしい。私はまだ手榴弾のピンを抜いていない。

 何よりも、目の前の重装歩兵が吹き飛んだ。


 ゴトゴトと音がする・・・騎兵のいななきも聞こえる。



「ヒィ、鉄地竜だ!」

「逃げろ!」

「おい、司令部は崩壊したってさ」



 ギルドに置いてきた60式自走無反動だ・・・



「メリーちゃん!助けに来たよ!」


「フラン・・・」


「鉄竜に続け!我らマイカー領防衛騎士団の奮起する場所はここにあり!」

「「「「ウラー!ウラー!ウラー!」」」



「エへへへへ、メリーちゃん。ごめん」

「フラン」


「私、マイカー騎士団長ゼノンであります!お嬢様の元までご案内します」



 聞けば、貴重な騎兵戦力をさいてここまで来てくれたらしい・・・

 至る所で、大公家敗北の報が戦場を駆け回っている。明らかに扇動する者がいる。

 あれはジミー、令嬢側に付いたのか?


「メリー様、ご無事で何よりです」


 令嬢に抱擁された。


「臭いよ」

「武勲の匂いですわ」




「君がメルディアの言っていた英雄か。私は第六王子のハラルトだ。よろしく」

「メリー・・・だ」



 これが仲間か?今、助教に聞いたら何点だろうか?




 ☆☆☆王宮



「・・・あれが戦力10倍差をひっくり返したマイカー家?」

「王子、いや王太子殿下は終始メルディア様を熱愛していたと聞くぞ」

「ドラゴンの背中に乗ったら逆らうな・・・か」



 それから数ヶ月後、王子は即位したらしい。


 私は相変わらず秘匿冒険者扱いだが。



「おい、メリーよ。陛下と王妃殿下が・・・この街にお忍びで来るって言うぞ!お前のせいか?」

「ギルマス、それいちゃ、警備はおしまいだ。今は訓練中だから後にしてくれるか?」



「これから、陣地構築の演練をする!これは異世界の方式だがこの世界でも有効だ」


「「「はい、メリー先生!」」」


 私は孤児や駆け出しの見習いの子達を集めてチームを作っている。

 これが良い事なのか分からないが進むしかないだろう。



最後までお読み頂き有難うございました。

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