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善良に加勢した悪鬼と呼ばれた少女  作者: 山田 勝


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2/3

「お前が討伐したとの証拠はあるのか!?」


「それにしても汚い魔道師だな」

「本当に魔道師か?何か魔法を見せよ」

「この盗賊の突然死は、我らが主人、ゴールデンアルブヒレト大公令嬢を女神様のご加護に違いない!」


「別にいい・・」




 盗賊に襲われていた馬車を遠距離から狙撃した。盗賊はバタバタと倒れ逃走した。

 護衛騎士団は歓喜の表情で助太刀の魔道師を出むかえようとしたが。



 彼らは私が出た途端に態度が変わった。

 今はボロいローブを羽織っている。


「何だ。その魔法杖は?」

「不格好だな。鉄と木が混じっている魔法杖なんて見た事も聞いた事もないぞ」


 64式7.62ミリ小銃を魔法杖と誤認している。いつもの事だ。その方が都合良い。



「お前達、どうしたの一体?」

「お嬢様、流れの魔道師が我ら銀翼騎士団の手柄を横取りしようとしました」



 馬車の窓から貴族の女が顔を出した。あれを令嬢と言うのだろうか?


「討伐しますか?」

「大事の前の小事よ。見逃してあげなさい。それにしても、臭いわね」


 手で鼻の前をパタパタして臭いと表現してやがる。

 貴族ってそういう者だ。



「命拾いしたな!似非魔道師!」


 草むらに隠した馬車に乗り帰る。


「お待たせ。さあ、帰ろう」

「ヒヒン」


 遠征から7日か。


 しかし、メルディア・マイカーだっけ。あの令嬢はお礼を言ってくれた。

 だから、私も名乗ったのかも知れない・・・


 時間を調整して深夜に冒険者ギルドに帰るようにする。他の冒険者とは顔合わせをしない為だ。





 ☆☆☆メリング冒険者ギルド



「はい、これ、盗賊ガイルの首だ」



 深夜、冒険者ギルドの夜間受付にあの少女が現れた。


「ヒィ、グチャグチャじゃない!しかも腐っている。貴方、非常識よ」

「お前、研修を受けていないのか?」



 すると、奥からギルマスが出てきた。


「フワ~、メリーちゃんよ。申訳ない。彼女新人なんだ。この子がフランソワだ」


「ヒィ、そんな馬鹿な」

「受付をしてやりな。職を失いたくなければな。子爵家の家計火の車だろ?」


「メリーちゃんよ。寝ろ。湯浴みは明日にしろ」

「いい・・・銃の手入れがある」



 ・・・私はメリー、何の変哲のない名前だ。

 仕事が終わったら必ずやることがある。


 銃の手入れだ。

 銃は撃ったときの排気で動いている。


 黒いススや金属片のカスが内部にこびりつく。

 整備しても装弾不良は千発に一回か?

 整備しなければ装弾不良の確立は跳ね上がる。


 銃を分解し。

 部品ごと布で汚れを取り。軽く油を塗る。


 終わったら組み立てて。

 機能を点検する。


 まず。安全装置。「ア」にして引き金が引けなければ正解。

 次に、「タ」単発のタらしい。


 これは一回空撃ちをして、引き金は引いたままにしてコウカンを引く放つを繰り返す。撃鉄が落ちる音がしなければ正解だ。


 連射は撃鉄の落ちる音が連続で発する。


 カチャ、カチャと音がする。これで安心して寝られる。



 私はメリー、何の変哲もない猟師の娘だった。

 あのときの夢を見た。





 ☆☆☆



『貴様らは栄光ある女神様の地を土足で踏みにじる異世界人と戦う先兵になれたのだ!』

『黒髪族を討ち取ったら奴隷身分を解放し褒美もやる』



 私の村に傭兵団が徴用という名で略奪をしに来た。

 食べ物だけじゃない。人をさらった。

 拘束の首輪をつけられ奴隷兵にされた。


 戦いの最前線に連れて行かれた。

 木の柵で囲まれた陣地だ。


 バンバンと音がする。これが後に銃声だと知った。


 敵は異世界人のチート能力者、ミリタリー系だと知った。

 私達、村人は弾よけに使われた。


 ここで村人の本性が出た。


「ヒィ、やだよ。俺は一番最後だ!」


 いつも威張っていた元兵士のおっさんは泣き叫ぶ。


 また、いつも愚鈍とからかわれていた農夫は。


「メリー、お前は一番小さいのだから最後だ。私が先に行くよ」

「ノドさん・・・」


いつもからかっていた嫌な奴、ハンスは。


「メリー・・・お前は弱いから俺と変われ。最後だ。俺が異世界人を討ち取っていやるよ!そしたら、メリー・・・いや、良い。後で言うわ」


「ハンス?」



 ボロボロの槍。錆だらけの剣を渡されて強化魔法をかけられて突撃を命じられた。

 10人一組。次々と死んでいく。



「うむ・・・やはり弾ツブテは木を通さない」

「もう、100人死にました。弾が尽きる様子はありません」

「では、もう100人だ」

「はい、ドレーク隊長」



 総勢300人はいた村人達は亡くなり。

 最後、私の組に来た。


「行け!」




 ☆☆☆


「剛。フルオートやめれっていっただろう」

「だって、一発じゃ死なないよ・・」

「もう弾ないよ。召喚しなければ!」

「召喚したって!木箱で鉄の帯で封印されているよ。開けるにも時間がかかるしもう魔力ないよ」

「やだ、サバゲ途中で異世界に来たのに・・・」




 黒髪族の声が聞こえる。そろそろ弾が尽きる頃だ。

 私は死体に紛れて奴らに近づいた。


 ボウガンのような武器を持っている。狩りのように近づく。



「おい、撤退するぞ」

「馬鹿、チート能力者が逃げるなんてあり得ないのだよ」



 伏せたままゆっくりと近づいて。

 黒髪族の一人を刺した。首にナイフを突き刺した。


「ヒィ、何だ。熱いよ!」



「ヒィ、現地人のくせに!」

「剛、・・・ポーション!」

「まず。こいつをやれ」


 銃を構えられた。

 景色はゆっくりと動く。

 しかし、銃口から火は噴かなかった。


「あれ?あれ?ジャムった?」


 カチャカチャ動かしている。

 随分遅いな。あれ、強化魔法が切れたか。ここで力尽き倒れてしまった。


 銃の弾薬室から弾がこぼれ。



 ダダダダダダ!と連射の音がした。


「ヒィ、フルオートはやめとけ!と言っただろうが!ウワー!」


 銃を持った男は踊り。やがて、三人は死に絶えた。


 私は伏せていた奇跡的に助かったようだ。

 しかし、お腹が減った。


 強化魔法の副作用かもしれない。魔法が切れたら疲労感が襲ってくる。もう、立ち上がる事が出来なかった。



 しばらくして、足音が聞こえた。傭兵団の幹部達だ。


「ドレーク隊長、この女がやりましたね」

「ああ、まぐれでも武勲には違いない。首輪を外してやれ」


 私は助かるのだろうか?


「この少女はどうしますか?」

「うむ。ここで解放だ。そうだ。褒美は・・・パンでいいか」

「隊長、食いかけですよ」


 ポトと目の前に落とされた。食べかけのパン。しかも白パンだ・・・・



 それが現世での最期に聞いた言葉だと思ったが。心の中に声が響いた。



 ‘称号、メリーに『剣で銃を倒した者』を与えます’

 ’貴方には現代武器召喚能力が受け継がれます'


 何だ。噂に聞いた世界の言葉か・・・スキルが授かる時に聞こえる声・・・




 ・・・・・・・・・・・



 チュン♩チュン♩



 目が覚めた。私の表向きの身分はF級冒険者、メッセンジャーのメリーだ。

 冒険者ギルドの二階に住み着いている。


 朝食を食べに食堂に行くと噂で持ちきりだ。



「聞いたか?またフランソワが出たって言うぞ」

「一体、どんな奴だと思う?」

「さあ、孤児院にたんまり寄付をしているって言うぜ」


 私は食事をしながら今後の事を考える。

 金は貯まった・・・

 あのドレークという男を捜し出す。



「おい、メッセンジャー!仕事だ。これを届けてくれ」

「酌婦あて?自分で行け」

「何を!F級のくせに偉そうだな!」


 そういった時はギルマスが介入する。


「まあ、まあ、メリーは当ギルド専属だから・・・フランソワがらみだ」

「ヒィ!」



 始めて獲物を狩った時、深夜冒険者ギルドに訪れた。

 ギルマスは目を丸くしていたが、すぐに理解した。


『お前は秘匿扱いだ。フランソワとでも登録する』



 冒険者、対盗賊の専門家は名を隠す事が多い。何故なら報復で家族を狙われるからだ。


『分かった』


 何故だがこの名が気に入った。



 ・・・・・・・・・・・・



「ところでメリー、依頼が舞い込んでいるぞ」

「貴族は無視して」


「そういうな・・・」


「訓練に行ってくる」




 森に籠もる。ここでスキルを解放する。


「レベル陸曹教育隊・・・」


 助教を召喚出来る。


「歩のない将棋は負け将棋である!」

「はい、アカホリ助教」


 この能力は分野を選んで学ぶ事が出来る。

 今は爆破を学んでいる。


 異世界の騎士団の教育方法は、考えさせる。慌てさせる。

 そして、


「三歩以上は駆け足だ!」

「はい、助教」


「阿呆、爆破作業線内で走る馬鹿がおるか!」

「はい、アカホリ助教」


 理不尽でもある・・・・



 世の中は理不尽だからだ。

 時々、助教に私の総評を聞くが・・・



「0点だ」

「はい、0点ですね」


 それで良い。


「メリー候補生は盗賊を1000人近く殺したと言うが。そうではない」

「はい」


 いつも答えは同じだ。


「君はいつも一人だ。軍隊とは二人以上の組織を言う。当職は自衛官である。故に0点としか評価できない」


「はい、分かりました」


「では、課業終了!」

 助教は消えた。



 仲間か・・・


 村の仲間はもういない。嫌な事の方が多かったけど、村人達が仲間だったと気がついた。



ギルマスか?

最近、訓練の相手をしてくれない。


『ギルマス、訓練手伝え』

『メリー、秘匿だからこっそり部屋でやるだろう。俺とお前、噂になっているからダメだな』

『じゃあ、どうするの?』

『金いっぱいあるから雇えば良いだろう』



・・・・・・・・・・・・・・・・・



考えながら森の中を歩く。怒号が聞こえて来た。



【グヘへへへへ、獲物みっけ!】


「ヒィ、せめて、妹だけは!」

「お姉ちゃん。怖いよ!」


姉妹か?まだ、この森にも盗賊がいたのか?大人が二人で囲んでいる。

袋を持っている。声をかけた。


「人さらいか?」


「サミーの兄貴?魔道師だ」


「ギ~ヒヒヒヒヒ!人さらいでないでゴンス!我らは慈善活動家のサミー&アンドレの鉄壁の兄弟でゴンス。

俺たちについていくと綺麗なベベを着れて、素敵な旦那様に可愛がられるでゴンス!職業の紹介でゴンス!」


人さらいじゃないか?私は前に出た。



「ありゃ、やるでゴンス!いいでゴンス。このサミーの剣術で切り刻まれたくなかったら去るでゴンス!」


何だ。やせた男が刀を振り回している。


「ほら、ほら、ほら~、早いでゴンス、見えるでゴンスか?詠唱する間もなく殺されるでゴンス!」

「兄貴、スゲー!」


銃を肩まで上げて構え。弾を装填しそのまま撃った。


バン!との音と共に銃口が跳ね上がる。立ち撃ちは苦手だ。騒がしい。



「あれ?あれ、血が・・・何ででゴンス!」


「あ、兄貴!うわ~」

「兄弟、逃げないで助けるでゴンス」


鉄壁の兄弟ではないのか・・・

また、撃った。


こいつらは人さらいを職業の斡旋と言っているのか・・・



「あの・・有難うございます。冒険者様。私はフランと言います」

「メリーだ」



「私、冒険者になりたくてメンヒルの街に向かっています」


「そうか・・・」


一応、案内した。


フランは人なつこい。私に干渉する。


「エへへへ、ギルマスからメリーちゃんの友達になれって変な事をいわれたわ。既に友達なのにね」


「そうか・・・」

どうも、友達は苦手だ。


とりあえず訓練の相手を頼んだ。


「ここを引っ張ればいいのね」

「そうだ」


空撃ちの練習だ。

照準をとり。相手にコウカンを引いて撃鉄を落としてもらう。


すると実際に撃ったときの衝撃を疑似体験出来る。姿勢の制御に打って付けの訓練だ。


単発の連射を単連射と言う。

連続で狙撃できるようにするべきだ。


「終わりだ。銀貨1枚」

「ええ、そんなにもらえないよ・・・」

「仕事として依頼したつもりだが・・」

「なら、大銅貨一枚でいいわ」


「そうか・・・」


これを仲間というのだろうか?まだ、分からない。




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