第61話 知らないなら、一緒に作ればいい
初等科最初の総合実習の日、教室には朝から妙な熱気があった。
普段の授業と違って机は端へ寄せられ、中央には木材、薄い金属板、布、魔石、粘土、何種類かの容器が山のように積まれている。黒板にはアルノー先生の字で、今日の課題が大きく書かれていた。
**『魔石一個を用い、容器内の水を可能な限り長く一定の状態に保て』**
温めてもいい。冷やしてもいい。ただし使える魔石は一個。追加の魔力補給は禁止。材料も教室に置かれたものだけ。
そして今回は個人ではなく、四人一組だった。
「なんでお前と同じ班なんだよ」
開口一番、レオルが嫌そうに言った。
「俺も今思った」
「嘘つけ。ちょっと嬉しそうだぞ」
ばれた。
もう一人、当然のように同じ机へ荷物を置いたのがフィアだった。
「私は助かるけど。レンが変なこと思いついて、レオルが止めてくれるから」
「俺は止める係なのか?」
「実績あるでしょ」
否定できないレオルが黙る。
四人目は、同じ組の小柄な少年だった。名前はトーマ。工作の授業が得意で、筆記は普通、魔法はあまり得意ではない。ただ、手先がものすごく器用で、壊れた筆箱くらいなら授業中に直してしまう。
俺たちはまず課題を読む。
一定の状態。
つまり、温度を保てばいい。
俺の頭には、すぐ冷却箱が浮かんだ。
「冷やそう」
三人が俺を見る。
「もう決めたの?」
フィアが聞く。
「冷却箱でやったことあるから」
「でも、これは魔石一個だけだぞ」
レオルが指摘する。
「だから効率よく――」
そこまで言って、俺の頭の中ではすでに形ができ始めていた。
冷却板。
魔力を流す線。
熱を外へ移す術式。
この学院で習った熱移動の考え方も使える。
俺は紙を引き寄せて図を描く。
「ここを冷やして、熱をこっちへ逃がす。それで水の周りを――」
「待て」
レオルが止める。
「先に基礎術式を決めるぞ」
「後で合わせればよくない?」
「よくない。熱移動術式は普通の冷却術式より維持節が多い」
「でもこっちの方が――」
「レン」
「大丈夫。ゼクトと似たことやったから」
その言葉を口にした時点で、たぶん俺はもう人の話を聞いていなかった。
トーマに金属板を曲げてもらい、容器の外側へ沿わせる。
魔石から術式を伸ばす。
熱を外へ。
水から熱を奪う。
ここまではいい。
問題は、学院で習った術式と、俺が普段感覚で使っている魔法がうまく噛み合わなかったことだった。
「レン、そこ流しすぎ!」
レオルの声。
「分かってる!」
出力を落とす。
今度は術式の一部が不安定になる。
補う。
別の場所へ負荷が移る。
魔石が強く光った。
「止めろ!」
レオルが術式を切った。
光が消える。
教室に、ほんの少し焦げた匂いが残った。
俺たちは無言で魔石を見る。
開始から、まだそんなに経っていない。
フィアが測定用の板を確認した。
「……四割近く使ってる」
「嘘」
「嘘ついてどうするの」
周囲の班はまだ準備をしている。
俺たちだけ、もう魔石を半分近く使った。
しかも装置は完成していない。
レオルが俺を睨んだ。
「だから説明を聞けって言っただろ」
反論しようとして、口を閉じた。
言い返せることがなかった。
ゼクトとの冷却箱研究でもそうだった。
農業でもそう。
俺は完成形を知っている時ほど、そこへ一気に行こうとする。
冷蔵庫を知っている。
だから冷やす箱を作りたい。
でも、知っているのは「そういう物がある」ということだけで、中身を理解しているわけじゃない。
それなのに、今回は学院で習ったばかりの術式まで自分の感覚で押し切ろうとした。
またやった。
「……ごめん」
三人がこちらを見る。
レオルも怒鳴るのをやめた。
俺は自分で描いた図を見る。
正直に認める。
「これ以上、俺だけで組んでもたぶん失敗する。術式、ちゃんと分かってない」
少し恥ずかしい。
入学試験では、俺の方がレオルより実技は上だった。
火の制御なら、今でも負けないと思う。
でもこれは違う。
「レオル、教えて」
レオルが瞬きをした。
「……最初からそう言え」
呆れた声だった。
でも、すぐ俺の紙を引き寄せる。
そこからは早かった。
レオルが術式を整理する。
「冷却そのものは単純な方を使う。お前の熱移動まで入れたら、今の魔石じゃ維持できない」
フィアが横から計算する。
「それでも長時間使ったら高いよ。これ、店に置くなら赤字」
「誰も店の話してないだろ」
「作るなら使える方がいいでしょ」
フィアらしい。
トーマは二人の話を聞きながら、俺が雑に曲げさせた金属板を外していく。
「これ、板なくてもいいんじゃない?」
「なんで?」
「板そのものが重い。あと外側が触ると暖かい」
俺はその言葉で手を止めた。
外側が暖かい。
つまり、中へ熱が入ってきている。
冷やす。
熱が入る。
また冷やす。
また入る。
俺は村で作った冷却箱を思い出した。
二重の木箱。
間に詰めた乾燥苔と羊毛。
あの時も、外から熱が入るのを減らしたら魔石の消耗が下がった。
そして前世。
魔法瓶。
保冷バッグ。
発泡スチロール。
二重窓。
俺は全部の作り方なんて知らない。
でも、共通していることは分かる。
「……冷やすの、やめない?」
三人が俺を見る。
レオルが眉をひそめた。
「課題は温度を保つことだぞ」
「だからだよ」
俺は教室の材料置き場を見る。
藁。
羊毛。
布。
木板。
「ずっと魔法で冷やさなくても、外から熱が入りにくくすればいい」
フィアが先に反応した。
「魔力を使う時間を減らす?」
「うん」
俺は二つの木箱を指した。
「箱を二重にして、その間に羊毛とか藁を入れる。前の世界でも、壁とか服とか、熱を通しにくいものを間に入れてた」
レオルが考え込む。
「それなら魔術式は最初に水を冷やすだけでいい」
「温度が上がり始めた時だけ追加で動かす」
フィアが魔石を見る。
「それなら残り六割でもいけるかも」
トーマはもう箱を手に取っていた。
「間、どれくらい空ける?」
分からない。
だから今回は知ったふりをしない。
「試そう」
藁だけ。
羊毛だけ。
何も入れず空間だけ。
小さな試験箱を三つ作る。
同じくらい冷たい水を入れ、しばらく置く。
学院には精密な温度計はないので、第57話で使った考え方を応用し、アルノー先生から借りた簡易測定魔道具で差を見る。
羊毛。
かなり良い。
藁。
これも悪くない。
何も入れない空間も、板一枚よりはましだった。
「空気だけでも違うんだ」
トーマが驚く。
「たぶん、動かない空気は熱を伝えにくいんだと思う」
そこまでなら、前世で聞いた覚えがある。
正確な理屈は先生に聞けばいい。
俺たちは羊毛と乾燥藁を組み合わせた二重箱を作った。
レオルが最低限の冷却術式を組む。
フィアが魔石消費を確認。
トーマが蓋の隙間を布で塞ぐ。
俺は温度が上がり始めた時だけ、ほんの少し冷却魔力を流す。
四人で作った箱は、見た目だけなら地味だった。
他の班では、青く光る冷却陣や、複数の魔術線が美しく組まれた装置が並んでいる。
俺たちのは木箱だ。
しかも藁入り。
最初に見たレオルが、
「……本当にこれで出すのか?」
と心配したくらいだ。
結果測定が始まった。
一刻。
まだ安定。
二刻。
魔石消費は少ない。
三刻。
他の班のいくつかが維持限界を迎える。
俺たちの箱は、まだ冷たい。
フィアが何度も消費量を確認している。
「おかしい」
「悪い意味?」
「逆。全然減ってない」
四刻を越えた頃、教室の空気が変わった。
先生たちがこちらへ集まり始める。
アルノー先生が箱を見る。
「冷却術式はどこだ」
レオルが見せる。
「これだけです」
「これだけ?」
「はい。常時起動ではありません」
「では、なぜ温度が上がらない」
今度は俺が答えた。
「上がらないんじゃなくて、上がりにくくしてるんです」
先生が俺を見る。
俺は箱の蓋を少し開け、二重構造を見せる。
「外から熱が入るのを減らしてます。だから、入ってきた分だけたまに魔法で追い出せばいい」
アルノー先生が黙った。
後ろにいた別の教師が箱へ手を当てる。
「魔法による維持ではない?」
「ほとんどは箱です」
その言葉の後、数秒だけ誰も話さなかった。
この瞬間は、ちょっと気持ちよかった。
入学試験で五つの火を出した時とは違う。
派手な魔法は何もしていない。
むしろ逆だ。
**魔法を使わない方法を考えた。**
アルノー先生がゆっくり笑った。
「なるほど」
そして、教室全体へ聞こえる声で言った。
「本実習の最高評価は、この班とする」
一瞬静まり返る。
次の瞬間、あちこちから声が上がった。
「ええ!?」
「あの木箱が?」
「うちの方が術式複雑なのに!」
レオルの顔が少し緩む。
フィアは堂々と胸を張っている。
トーマは自分の作った蓋を何度も確認していた。
俺も嬉しかった。
かなり。
先生は続ける。
「勘違いするな。最も高度な魔法を使ったからではない。最も少ない魔法で、課題を達成したからだ」
教室が静まる。
「魔術師は、魔法で解決することばかり考えがちだ。しかし必要なのは目的を達成することであって、魔力を多く使うことではない」
アルノー先生が俺たちの箱を指す。
「魔法を使わなくていい場所を見つける。それもまた、魔術を理解することだ」
その言葉は、俺にも刺さった。
最初の俺は、完全に逆だった。
冷やしたい。
なら魔法。
もっと冷やす。
もっと複雑な術式。
それで魔石を半分近く無駄にした。
一人だったら、たぶん最後までそっちへ走っていた。
授業が終わった後、レオルが俺の肩を軽く叩いた。
「お前、実技だけなら本当に化け物なのにな」
「褒めてないよな、それ」
「半分は」
どこかで聞いた言い方だ。
俺も笑う。
「レオルは口悪いけど、教えるの上手いな」
「それも褒めてないだろ」
「半分は」
フィアが吹き出した。
トーマまで笑う。
入学したばかりの頃には、こんなふうに四人で笑うとは思っていなかった。
俺には前世の知識がある。
レオルには理論がある。
フィアには金と実用を見る目がある。
トーマには、それを実際の形へする手がある。
一人なら失敗した。
四人なら、学院で一番になった。
それが妙に嬉しかった。
その日の夕方。
寮へ戻ろうとしていた俺を、一人の上級生が呼び止めた。
「レン・ガルド?」
「はい」
「大図書館から伝言」
差し出された紙には、メリナさんの名前があった。
**『先日の東方意匠について、地理研究室にて関連資料を確認。閲覧可能な複写あり』**
一瞬で疲れが消えた。
走った。
廊下を。
階段を。
途中で先生に「走るな!」と怒鳴られたので、そこから早歩きにした。
地理研究室では、メリナさんが一枚の古びた紙を待っていた。
原本ではない。
百年以上前の航海記録から写された地図。
「これが?」
「東方第七航路。百二十六年前の記録です」
俺は地図を覗き込む。
海岸線。
島。
方角。
古い文字。
今の地図と比べるため、隣にも現代地図が置かれている。
見比べる。
そして気づいた。
「……ここ」
現在の地図では海しかない。
でも古い地図には、その場所へ何かが描かれている。
細長い陸地。
一つではない。
複数の島が、南北に連なっているように見える。
喉が乾いた。
形は正確じゃない。
地図も粗い。
でも。
俺が知っている。
いや、知っていたはずの場所に近い。
「この印は?」
島の近くに、小さな鳥の絵がある。
脚は三本。
サヨの紙と同じ。
八咫烏。
さらに、その横。
古い記録の題名。
ほとんどはこの世界の古文字で、俺には読めない。
でも一文字だけ。
絶対に間違えない文字があった。
**日。**
指先が震えた。
百二十六年前。
この世界の誰かが。
今は何もない海へ行き。
そこに何かを見て。
その記録へ、この文字を残した。
日本という名前は、どの本にもなかった。
それでも。
消しきれなかったものがある。
俺は地図から目を離せなかった。
学院へ来て、俺は色々なことを知った。
自分の知らない魔法。
自分より頭のいい友達。
前世では当たり前だった知識が、この世界では新しい発想になること。
そして今日、もう一つ分かった。
知らないことは、怖いだけじゃない。
誰かと一緒なら、知らない場所へ進むこともできる。
俺は地図の上に残された「日」の字を見つめた。
その先に何があるのか。
まだ分からない。
だからこそ。
もっと知りたくなった。
## 第六章あとがき
第六章「学都アウルム――八歳、学校へ行く」、ここまでお読みいただきありがとうございました。
第五章までは、レンが村やベルクで「料理を広げること」を学んできました。
そして第六章では、その舞台を一気に学都アウルムへ移し、今度はレン自身が**「学ぶ側」に入る章**として描いています。
これまでのレンには、前世の記憶があります。
料理の経験があります。
魔法の細かな制御もできます。
だから、村やベルクではかなり珍しい存在でした。
でもアウルムには、レンより魔術理論を知っている子供がいる。
レンより歴史や地理に詳しい人がいる。
研究者がいる。
教師がいる。
巨大な図書館がある。
つまり、初めてレンが、
**「自分の知らないことの方が多い場所」**
へ入ったわけです。
入学試験では、その違いをかなり分かりやすくしました。
火魔法の実技では、料理を通じて身につけた制御能力で周囲を驚かせる。
一方で筆記試験では散々。
この、
**「すごいところは本当にすごい。でも何でもできるわけではない」**
というレンの立ち位置は、これからの学園編でも大切にしていきたいと思っています。
そして第六章から、意識的に増やしたものがあります。
それが、**現代知識がこの世界で刺さる瞬間**です。
火と熱を分けて考える。
卵を使って金属板の温度差を見る。
手洗いや器具の加熱を、実験によって確かめる。
一つだけ条件を変えて比較する。
大量調理の工程を整理する。
魔法で冷やし続けるのではなく、そもそも熱を入りにくくする。
レンにとっては、前世で生活していればどこかで触れたことのある考え方です。
それでも、この世界では新しい。
ただし、レン自身は研究者でも技術者でもありません。
冷蔵庫の構造を一から説明することはできない。
細菌を顕微鏡で観察する方法も知らない。
断熱材の設計もできない。
だからこそ、
**「そういう考え方がある」**
という入口をレンが持ち込み、
そこから先を、この世界の教師や研究者や仲間たちが形にしていく。
この関係を今後も大切にします。
第57話の卵も、第58話の手洗いも、レン一人が突然世界の科学を完成させたわけではありません。
でも、
**「測れないなら、別の変化を見ればいい」**
**「原因を知りたいなら、一つずつ条件を変えて比べればいい」**
という考え方そのものが、この世界では大きな意味を持つ。
学都編では、こういう爽快感をこれからもどんどん入れていく予定です。
そして、新しく登場した仲間たち。
まずレオル。
レンとはかなり違うタイプです。
レンが感覚と経験から魔法を使うなら、レオルは理論と努力から積み上げてきた人間です。
だからこそ、最初はレンの存在が面白くない。
何年も勉強してきた自分ができないことを、「料理してたらできた」と言う子供が目の前にいる。
それは腹も立つと思います。
ただ、レンにも積み重ねがあります。
レオルにも積み重ねがある。
どちらかだけを「本当の努力」にしないつもりです。
この二人は、これから何年も一緒に成長する友人でありライバルになります。
フィアは、また違う方向からレンを見る存在です。
レンが、
「美味しい」
「便利」
「面白い」
と考える時、
フィアは、
**「それ、いくらかかるの?」**
**「誰が使えるの?」**
**「続けられるの?」**
と聞く。
第五章でレンが学び始めた「仕組み」を、もっと現実的な視点から考えてくれる人物です。
そしてトーマ。
魔法も筆記も飛び抜けてはいません。
でも、実際に物を作ることが上手い。
第61話では、レンの発想、レオルの理論、フィアの計算、トーマの工作が揃って、初めて一つの成果になりました。
ここは第六章で特に大切にしたかった場面です。
レンは第61話の最初で、また先走りました。
冷蔵庫を知っている。
だから自分なら答えへ近づける。
そう思って、一人で進めようとして失敗する。
でも今のレンは、そこで以前とは違う選択ができるようになっています。
**「分からない。教えて」**
と言える。
そして最後に最高評価を取ったのは、最も強い魔法を使った班ではありませんでした。
**最も魔法を使わなくても済む方法を考えた班。**
この発想は、今後のレンの魔法観にもかなり影響していきます。
強い魔法を使えることと、賢く魔法を使えることは違う。
料理も同じです。
高級食材を大量に使えば美味しくなるとは限らない。
必要なものを、必要なだけ使う。
レンが前世からずっと料理でやってきた考え方が、少しずつ魔法の方にも入り始めました。
そして最後。
大図書館で、日本へつながる可能性のある航海記録が見つかりました。
この章では、日本の真相そのものはまだほとんど進めていません。
これは意図的です。
学都へ来た瞬間に全部の答えが本棚から出てきてしまうと、学園で過ごす意味が薄くなってしまいます。
なので今回は、
**「日本という名前では何も残っていない」**
という事実をまず描きました。
でも、名前がないから存在しないとは限らない。
意味を失った模様。
別の分類に入れられた記録。
読めなくなった文字。
そういうものの中には、まだ消されきらなかった痕跡が残っているかもしれません。
そして百二十六年前の航海記録には、
今では海しかない場所に島のようなものが描かれ、
三本足の鳥が記され、
さらに、
**「日」**
という文字が残っていた。
日本は、本当に完全に消されたのか。
百二十六年前には何があったのか。
もしそこに島があったのなら、なぜ今は海しかないのか。
そして、誰がその記録を残したのか。
この謎は、学園生活と並行して少しずつ追っていきます。
ただし次の章でも、謎ばかりにはしません。
ここから学園生活は長く続きます。
レンは八歳で入学しました。
そして、この学園編を終える頃には十六歳になります。
今はまだ小さな子供たちです。
授業で競い合う。
先生に怒られる。
一緒に飯を食う。
研究で失敗する。
少しずつ背が伸びる。
考え方も変わる。
友情の形も変わる。
やがて、今はまだ名前のつかない感情も生まれていく。
この八年間を、全部同じ密度で描くわけではありません。
季節を飛ばし、年月を進めながら、それでも「いつの間にか大人になっていた」ではなく、読者が彼らの成長を感じられるように描いていきたいと思います。
そしてもちろん。
学園編ではこれからも、
**「それ、前の世界では普通だったんだけど……」**
とレンが言い、
周囲の研究者たちが、
**「普通とは何だ」**
となる展開をしっかり入れていきます。
料理。
魔法。
保存。
衛生。
熱。
道具。
大量調理。
実験。
レンが持ち込んだ小さな発想が、学都という知識の集まる場所で、どこまで大きくなっていくのか。
第六章までお付き合いいただき、ありがとうございました。
次章からは、学院生活も少しずつ時間が進みます。
レンたちは学び、失敗し、競い合いながら成長していきます。
そして――。
あの航海記録に残されていた「日」の一文字も、少しずつ次の手がかりへつながっていきます。
次章、
**第七章 魔法で料理を、料理で魔法を**
へ続きます。




