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神々のいない食卓~日本の消えた異世界で、料理好きの俺は和食を作る~  作者: ちゃむたろう
第一章 日本のない世界で、妹に料理を

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第3話 魔法は料理道具です

俺の煮込み事件から三日。


家ではちょっとした革命が起きていた。


「レン、今日の肉も柔らかくできる?」


父さんが期待に満ちた顔で聞いてくる。


「できるけど」


「じゃあ頼む!」


父親が七歳の息子に夕飯を頼むな。


……まあ、嫌じゃないけど。


問題は道具だった。


この世界の包丁はひどい。


正確には、うちの包丁がひどい。


鉄は高級品。


我が家にあるのは何度も研ぎ直され、刃が波打った古い小刀だ。


野菜を刻むだけで疲れる。


そして最大の問題は火。


魔法で調整できるとはいえ、ずっと集中するのは面倒だ。


「コンロが欲しい……」


「こんろ?」


リナが首を傾げる。


「神の道具だ」


「かみさま!」


違うけど。


俺は庭の土に絵を描いた。


台。


鍋を置く場所。


下から炎。


空気穴。


前世のガスコンロなんて作れない。


でも簡易かまどならいける。


土魔法が使えればなおさらだ。


翌日。


俺は村外れで土魔法の練習を始めた。


この世界の土魔法は、石礫を飛ばしたり、壁を作ったりするために使われる。


先生役の村人は言った。


「土を固めろ! 敵の足を止めるんだ!」


俺は考えた。


固められるなら、形も作れるんじゃないか?


魔力を流す。


土が盛り上がる。


押す。


へこませる。


穴を開ける。


「……レン?」


先生が変な顔をしている。


数分後。


地面には小さな土製かまどが完成していた。


「何だ、それは」


「調理器具」


「魔法で?」


「はい」


「何で?」


知らん。


俺にも分からん。


でも火を扱うなら、炎の通り道が必要だ。


空気が入らなきゃ燃えにくい。


煙も逃がしたい。


そんな現代人なら当然知っていることを形にしただけ。


試してみる。


薪を入れる。


火魔法で着火。


空気穴から風が入る。


炎が安定する。


「おお……」


俺は感動した。


地味だ。


とてつもなく地味だ。


でも最高だ。


これで毎回魔法を維持しなくていい。


しかも火力調整も、薪の量と空気穴である程度できる。


「レン!」


振り返る。


父さんがいた。


「お前、これ……売れるんじゃないか?」


「え?」


「こんな少ない薪で火が安定するなら、村のみんな欲しがるぞ」


そこまで考えてなかった。


俺はただ料理がしたかっただけだ。


しかし父さんは興奮している。


薪は貴重だ。


特に冬。


燃料効率が上がるなら、それだけで生活が楽になる。


翌週。


村の鍛冶屋――というより何でも修理する職人のバルクおじさんが、うちへ来た。


「小僧。あの変な炉、お前が考えたんだって?」


「炉じゃなくて、かまど」


「かまど?」


「料理用の炉」


「同じじゃねえか」


違う。


だが説明が面倒だ。


バルクさんは実物を見ると、顎髭を触った。


「これ、土じゃ割れるな」


「やっぱり?」


「石を組んで、鉄板を一枚置けばもっと持つ」


俺の目が輝く。


「鉄板、作れる?」


「金があればな」


金。


やはりそこか。


俺は腕を組んだ。


鉄板が欲しい。


ちゃんとした包丁も欲しい。


鍋も欲しい。


調味料も欲しい。


つまり。


「……稼ぐか」


「七歳が何を言ってんだ」


父さんが頭を抱えた。


でも俺は本気だった。


料理をするには金がいる。


前世でもそうだった。


そして俺には、この世界でまだ誰も知らない料理がある。


なら。


料理で稼げばいい。


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