第24話
「結人。これ一緒に受けないか?」
恒一が指で示したのは、学園難易度指標Ⅰの討伐クエストだった。
「これならA圏だし一緒に受けれるよな?」
成績に追われて無理をする生徒を出さないために、学園のクエストは厳しく管理されている。学園はA圏を除く危険度のエリアの立ち入りには制限を課している。
確かに、A圏のクエストなら自分も一緒に行ける。B圏以上は立ち入りに学園側の許可が必要で自分はまだ認可してもらえていない。「まだ」というか、そもそも今のところ実力的に許可を得られる見込みもない。
「あ、まあ、うん。」
「んじゃ、放課後行こうぜ。」
でも……。
「ん、なんかに気になることあるか?あ、流石に昨日の今日どころか、今日の今日で行くのは無理だよな。」
間を開けてしまった自分のせいで、恒一を少し心配させてしまったみたいだ。
「あ、ごめん。これさ、恒一にとって難易度低すぎない?」
「ああ、まあいつもはADI-ⅢかⅣ辺りを受けてる。でもたまには結人と一緒に受けてもいいかなって。」
ADIというは学園難易度指標、Academy Difficulty Indexのことだ。学園では日常的に聞く言葉だ。恒一は学園の中でも優秀でⅢやⅣを受けていることが多い。
この難易度の指標によって、成績に関わるポイントのようなものが付与される。自分みたいな底辺の生徒にはあまり関係ない制度だが、上のほうの優秀な生徒には大きくかかわるものだ。
「これじゃ、あんまりポイントもらえないんじゃない?」
恒一は優しい人間だ。Iでも苦労する自分を手伝ってくれるつもりなのだろう。
ADIは一般的な難易度区分とは違っていて、Iでも少し難易度が高い。ただ難易度の上限も同時に抑えられていて、ADIがVのクエストの難易度は学園外の評価区分では大体3.5位に相当する。Iが1.5、Ⅱが2、Ⅲが2.5、Ⅳが3に対応する感じで、どちらも5段階だが扱っているレンジが違う。
そして何より、学園のクエストは基本的に複数人で受けることが前提だ。こんな落ちこぼれを誘ってくれるような人は他にはいない。しかも、三年生で成績が大事な時期だ。それでも、一緒に行くと言ってくれている。
つまるところ、恒一は自分の大切な時間やポイント評価を犠牲にして、自分を助けてくれると言っているようなものだ。しかも、こちらに気を遣わせないように、嫌味に聞こえないように、いつもより真剣な顔で誘ってくれている。
「確かにな、でもたまには――」
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