第20話
「キーンコーンカーンコーン。」
起立、礼、着席。
「今日はまずはホームルームからだね。早速だけど、これから復興祈念公園に移動して全体写真の撮影を行います。今から職員室に言ってお花を持ってくるので、今のうちにトイレ行きたい人は行っておいてね~。」
復興祈念公園、正式名称守矢市復興祈念公園は王立学園と市立学園の間にある。もっと具体的言うと、朝の登校のときに真由と別れるT字路付近だ。
両校の学園生の交流の場になっているだけでなく、地域の住民の憩いの場となっている。噴水や花壇がある綺麗な公園だ。遊具もあり、子どもからお年寄りまで、多くの人が訪れる。守矢市立桜ヶ丘学園では、この公園で毎年全体写真を撮るのが恒例となっている。
ちなみに、守矢市立の学園は他にもあるのだが、「市立学園」と言えば守矢市立桜ヶ丘学園を指すことが多い。これには割と浅い理由があって、この学園は特に桜の要素が強いわけでもなく、丘の上にあるわけでもない。つまり、ほぼ名が体を表していないのである。
「では、廊下に整列してくださいね。2列でID通りに並んでね。すぐそこまでだけど、一応確認しなきゃいけないので。」
***
「はい、着きました。全員いる?迷子になった人とかいないよね。」
まだ学級委員が決まっていないので、先生が確認する。
「よし、大丈夫だね。」
流石にこの時間帯は人が少ない。学生はみんな学校だし、共働きが多い今、親子の姿もほとんど見当たらない。あれ、でもあそこで高校生くらいの女の子と小さな子供が遊んでいる。珍しいな。
「ではまずは慰霊碑前に行きましょう。一般の方の邪魔にならないように移動してくださいね。」
そう、この公園は復興祈念公園という名が示す通り、9年前の大侵食からの復興を祈った公園で、中心近くには慰霊碑がある。この地で亡くなった人、この地で亡くなったと思われる人、5000名余りの名が大きな石碑に刻まれている。
近くにはもう一つ石碑があり、そこには人々を守るため戦った者たちの名がある。ここに、英雄と呼ばれる白鷺誠一、白鷺澪の名が大きく刻まれている。
「ではお花を供えますか。学級委員、は決まってないか。」
烏丸先生はそこで深く目を瞑ると、少し間を置いてから口を開いた。
「いや、ここは私がお花を供えますか。」
慰霊碑の近くには献花台があり、そこにお花をお供えすることができる。先生は神妙な顔つきで献花台の前に立ち、何かに思いをはせるかのようにお花をそっと置いた。
「では、お祈りしましょう。」
皆で手を合わせる。
目を開けると、そこには普段通りの明るい顔の烏丸先生がいた。
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軽微な修正を行いました。(2026年5月13日)




