第19話
すると、自分の席付近に数人の女子生徒が集まっていた。
「白石さんありがとね。絆創膏、めっちゃ助かったよ~。」
「いえいえ。痛みは引きましたか?」
「うん。もう大丈夫。消毒までしてくれてありがとう~。頭が上がらないよ~。」
「そんなに感謝されることではー。痛みが引いたならよかったです。」
盗み聞きするつもりはなかったが、どうやら朝に白石さんはクラスメイトのけがを手当てしていたらしい。
「うちの友達をありがとね。白石さん、であってるよね?飛び級生だよね?」
白石さんに治療された方の友達が話しかける。
「はい。あってます。」
「もしよかったら友達になってくれない?せっかくだし。」
「あ、私もできれば友達になりたい。今日は助けてもらったし、今度は何か白石さんの役に立ちたいな。」
「是非、私でよければっ。あ、あと今日のことは気にしないでくださいね。」
白石さんが笑顔でこたえる。
「やった~。ありがとう。白石さん、これからよろしくね。」
「うちもよろしくー。」
その後、ケガをした方の仲良しグループの他のみんなとも友達になったようだ。
「皆さん、これからどうぞよろしくお願いしますね。」
「そんなにかしこまらなくてもいいのに~。クラスメイトだし友達なんだから敬語じゃなくていいよ~。」
「そうだよ。うちにも敬語使わなくていいからね。」
「でも、皆さん年上ですし。先輩方にため口で話しかけるわけには……。」
「もう同じ学年なんだから気にしなくいいよ~。というか年下に助けられちゃって年上失格だ、私。」
「いえいえ、そんなっ。今日のことは本当に気にしないでください。」
白石さんが慌てて否定する。
「まあゆっくり慣れていけばいいんじゃない。うちらみたいに魔法系の学園にいると特に年齢を意識しちゃうし、ちょっとやりにくいよね。」
「あ、ありがとうございます。では徐々にということで、これからよろしくですっ。」
次の授業の時間が近くなり、集まっていた女子生徒が散り散りになっていく。
よし、席に戻るか。
なんでこんなに会話の中身をちゃっかり聞いているのか、という突っ込みがありそうなので一応弁明しておく。そろそろ授業の時間になりそうなので、できるだけ自分の席の近くにいつつ、何かをしている風を装っていたのだ。
実際に何をしていたかというと、去年度からその役割を全うしているだろう画びょうたちを眺めていた。まだ掲示物がないのにただ壁に刺さっている、目的にもないのに何かに刺さるという役割を遂行している画びょうたちだ。
中には少し斜めに曲がってしまったものもいる。過酷な役目を果たし続けるなかで負傷してしまったものもいるようだ。
「結人、何してんの?」
近くに来ていた恒一に声をかけられる。
「あ、画びょう眺めてた。」
「お前、裏で「最後にピンを置く男」って呼ばれてるから気を付けたほうがいいぞ。」
「え、なに、そのあだ名。こわ。それで何に気を付ければいいの?」
「いや、俺も知らんが。お前、画びょう好きなのか?」
「致死量」に加え「最後にピンを置く男」という変なあだ名が追加されてしまっていたようだ。がびょーん。……。
「キーンコーンカーンコーン。」
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