第17話
少しでも、数値が改善されているといいな。
結果を見る。ほんの少しだけ数値が上昇していた。しかし、この機械の誤差範囲を考えると有意じゃない。多分、身体測定で髪が伸びてちょっと身長が嵩増しされた感じに近いかもしれない。そういえば髪伸びたな。戦闘の邪魔になる前に切らないと。
結論、変化なし。
「はあ。」思わずため息が漏れる。これではB圏実習はお留守番だ。
しかし、ここで落ち込んで立ち止まってしまっては意味がない。朝練の時間には限りがある。残りのメニューを済ませよう。
***
「なあ、なあ、なあ、聞いたか結人。」
朝練を済ませた後、教室に戻り自習をしていると、恒一が勢いよく声をかけてきた。
「おはよう。恒一。どうしたの?」
なあが3つあるあたり、なあなあでは済ませられない事情がありそうだ。
「中央の話聞いたか?」
中央というのは中央守護学園の俗称の一つだ。王立学園と呼ぶ人と中央と略す人がそれぞれいる。
「何の?」
「アイドルよ、アイドル。星宮小雪。」
「あー、知ってる。そのことね。」
自分が既に知っていることを告げると、恒一は意外そうな顔をしていた。
「珍しいな、お前がそういうことチェックしてるって。」
「昨日、妹が教えてくれたんだ。」
「あー、なるほど。昨日会ったあの子が。てかお前の妹もアイドル級にかわいいよな。」
「あ、そういえば席も近かったらしい。あと優秀らしいよ。」
「控えめに言って超有名アイドルが近くの学校にいるってやばくないか?」
「確かに。」
いままで気付かなかったが、周囲もその話題で持ちきりのようだ。
(現実感ないよね~。えー。うち来ればよかったのに~。)
(いいなー。中央。いいなー。うわー。いいなー。まじかー。いいなー。うわー。)
(進学したのか、俺のところ以外の学校に。)
(テレビ出てたときと同じ髪型?えー、まじじゃん。)
やはり影響力がすごい。趣味や興味が多極化した今、みんなが共通して知っていて、話題に上がる存在はかなり珍しい。流石はボーカル、ダンス、ヴィジュアルの3拍子が完璧に揃った、アイドルをマスターしているスーパースターだ。
「でも何で守矢市にいるんだろう。しかも王立に。恒一の弟さんも王立学園だったよな。何か知ってる?」
「あ、裕二のことね。いや、特に何も言ってなかったな。」
「そっか。ありがとう。」
その後も雑談していると、時計の針が真下に近づいていた。
「って。もう九時半だな。そろそろ席戻るか。」
「んじゃ、また。」
今日は係決めがある。まだ授業は本格的には始まらないが、何事も最初が肝心かもしれない。いい流れを作れるよう、1つ1つ丁寧にこなしていこう。
お読みくださりありがとうございます。
レイアウトを一部修正しました。(2026年5月3日)
文章を一部調整しました。(2026年5月5日)




