第13話
「アイドルいたの。本物っ。超かわいかった!」
「ふぁっ!?どういう意味―ん?(What do you mean?)」
いけるか……。
「……。」
先ほどまでの真由の会話の勢いが霧散してしまった。
あれ、俺、また何かやっちゃいました?
「ごめん。」
「やっぱ、お兄ちゃん疲れてるね。」
ごめんなさい。片付けは終わったので、リビングに場所を移して話を続ける。
「アイドルってどういうこと?入学式のゲスト的な?」
真由は首を横に振る。
「いやいや、アイドルが普通に入学してたの。」
「つまり同級生?」
「うん。同じクラス。しかも席近かったよ。超、めっちゃ、可愛かった!」
それはすごい。
「すごいね。アイドルが王立学園に進学するなんて。」
「ってかお兄ちゃんも多分知ってると思う。めっちゃ有名な子。星宮小雪ちゃん。」
「ごめん。見たことはあるのかもしれないけど、顔と名前が一致してないかも。」
「あー。んとねー。シエルのリーダー。青?どっちかっていうと水色かな?ポニーテール。とにかく青系統の髪の子。あ、そうだ。この前お母さんが見てた再放送のドラマあったでしょ?そのヒロイン。」
今はもう解散してしまったが、シエルというのは期間限定の少女5人のアイドルグループだ。やることなすことすべてがニュースになるようなトップアイドルグループだ。純粋に音楽だけでも評価が高く、実力派アイドルとしても評判だ。
こういった方面に疎い自分が知っているくらいの影響力を持っている。その中でも星宮小雪はとりわけ有名で、もはやシエルの一員というよりも、個人の動きがフォーカスされるくらいには多才だった。
「あー。あの水色の髪の。子役もやってたっけ。」
ちなみに色んな髪色がある中でも水色はちょっと珍しい。最近になって人類の髪色と魔法の発生には関係があるのではという説が有力視されるようになってきた。
そもそもいつ人類が魔法を使い出したのかは明らかになっていないが、魔法が発現する以前はもっと髪の色はシンプルだったらしい。自分と同じ髪色である黒が多かったとか。
「そうそう!すっごいキラキラしてたっ。流石アイドルって感じ。まあマルチすぎてアイドルがメインなのかわかんないけどね。ちょっと前に活動休止してたから、まさかこんなとこで会えるとは思わなかったよ。」
真由が早口で言う。そういえば確かに、ある時を境に急に見かけなくなった。活動休止していたのか。
「でも、珍しいね。アイドルが守矢市にいるなんて。」
守矢市は学園都市化が進んでいるとはいえ、もともとは僻地の過疎地域だ。人口規模も十万人程度だし、そんなところにスーパーアイドルがいるのは不自然な気もする。
「あっ。たしかにっ。活動拠点首都圏だったしね。てかなんでわたしそんなことも思いつかなかったんだろ。」
「中央守護学園に進学できるってことは魔法も優秀なの?」
「うん、多分すごい優秀だと思う。今日の最後の魔法の検査、すぐ終わってたし。」
「すごいね。オールラウンダーだ。」
それはすごいな。
「だねー。お兄ちゃん、先お風呂入る?」
「いや、後にするかな。お先どうぞ。さっき風呂自動押したからそろそろ湧くと思う。」
「あ、お風呂掃除ありがとね。パジャマ持ってこよっと。」
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