第10話
放つ。
命中。
「目標、撃破。」
侵食体の核を回収しに向かう。この侵食体は核を1つ残した。核が2つある侵食体でも、2つの核を回収できるとは限らない。侵食体の核には様々な種類があり、倒した後に消失するものもある。
今回のクエスト内容は、2つの核からなる偏性侵食体の核の回収だ。属性も数も指定されておらず、成果の数だけ報酬がもらえるという内容である。まだ、時間はあるので探索を続けよう。
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「目標、40メートル先。単独。」
今度は緑色の侵食体だ。炎属性がよく効く相手だ。今回は炎属性をイメージ。
「目標、撃破。」
やはり火力が低すぎる。侵食体に対し、撃破に必要な過不足ない火力を出すことが出来ている。これが調整してやったことであれば素晴らしいことなのだが、自分の場合は単に大きな火力を出せないというだけだ。炎属性は妹である真由の得意属性。真由の魔法は比較にならないほどすごい。流石は真由だ。
属性は無属性を含めると6つ、含めないと5つある。炎、水、地、光、闇の5属性だ。侵食体はこれらの属性を持ち、人間側にもそれに対応する属性の魔法がある。
相手の属性を見て、それに対し相性のよい魔法を使っていく感じだ。属性を複合的に持つ侵食体も存在するので単純ではないときもあるが、炎には水、水には地、地には炎、光には闇、闇には光といったように使い分けていく。
ちなみに市立学園の落ちこぼれの自分でも、5もしくは6属性の魔法を使うことができる。無属性を属性に含めるか否かは、いまだ熱く議論される内容である。0を自然数に含めるかどうかみたいな感じで色々と大変らしい。
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17時をしらせる音楽が聞こえる。あまり関所から遠くには行かないようにしていたので、町の中の放送がぎりぎり届く。念のため、自分の体がダメージを受けていないかを確認する。よし、大丈夫だ。
18時前には家に着きたいので、そろそろ引き返すか。周囲への警戒は緩めず、関所のほうへ方向転換する。
今日は珍しく、6属性すべての偏性侵食体のドロップ品を回収することができた。1属性、1つずつ。結構な確率だ。
全属性の魔法を実践で使うことができたので、よかったかもしれない。自分には得意属性と呼べるものがほぼない。だからこそせめてすべての属性の鍛錬は積んでおきたいと思っている。
関所を通り、QMCへ向かう。
ドロップ品は主に結界の維持、侵食体から受けた損傷の治療薬として使われる。他にも様々な用途があるが、あくまでも侵食体への対抗策といったかたちでのみ利用できる。例えば、機械を動かすための電力のかわりに使う、みたいなことはできない。
魔法も同様だ。魔法には侵食体から受けた傷を一部治療できるものが存在する。特に光属性は回復が得意だ。これを長時間のデスクワークによる精神疲労の回復に応用できないかという試みがあったらしいが、どうやら無理だったようだ。
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「お疲れ様です。こちらですべてでしょうか。」
「はい。これで全部です。よろしくお願いします。」
この時間帯は混むのだが、ドロップ品の回収は専用の窓口があるので、あまり待たずに済む。やはり物を物理的に運ばなくてはいけない肉体労働を伴うクエストは、人気が少ないのだ。
ロッカーに預けた自分の荷物を回収。夕焼け小焼け。さあ、家へ帰ろうか。
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