EP.043
──────数日後。
時刻は昼食時。
私も、アンが昼食を取りに行っている時間、中庭で花を眺めながら待っていたときだった。
不意に、後ろから声をかけられ、振り向いたそこには、彼女が立っていた。
「ロゼリア様」
高く可愛いらしい彼女の声は、どこか、いつもよりも暗い音声が含まれている気がした。
「えっと…サラ様。お久しぶりです」
「お久しぶりです!お城にいらっしゃったんですね、お会い出来て嬉しいです」
「少し、お世話になっていて。私も会えて嬉しいです」
うまく笑えていただろうか。
よく見ると、やはり、サラ様の顔も見せかけの笑顔が張り付いた様子だった。
「あの日、商会で会ったあの日から、ずっともう一度会いたかったんです。…私、ロゼリア様とお話したいことが沢山あるんですよ」
その声色は、やはり以前よりも冷たい。
私を、敵として認識しているような声。
「そうなんですか?私達、あまり面識もなかったように思いますが…何か、お話がありましたか?」
「はい、たくさん!でも、ここでは話せない内容なので…少し、場所を移動しませんか?」
その言葉が合図だったのだろうか。
誰かに背後から素早く腕を取られ、口元に布を押し当てられる。何かが塗られていたであろう布を思わず吸ってしまい、重たく甘い香りと共に、私の意識も深くまで落ちていった。
意識がなくなる前、最後に写ったサラ様の瞳は、とても冷たかった。




