EP.041
「あの、もう少しだけ、一つだけ聞いてもいいですか?今日の昼間、サラ様と話していたのは…」
今なら聞けると思った。
ただ、醜い感情がバレるのは怖くて、下を向いたまま問いかける。
「サラ様…?話してた…あぁ、昼間に庭で声をかけられた時の話か?侯爵と一緒に城に来ていて、侯爵が用事で外してる間に相手をしてただけだ」
「城に来られてたんですか?」
「あぁ…あ、昨日のこととは関係ないから大丈夫。ロゼリアは気にしなくていい」
「…というか、見てたのか?」
「え!?い、いえ、違います。声が聞こえてきただけで、決して気になって上から覗いてたとかそんなことは…!」
「全部言ってるって、別にいいけど」
けらけらと楽しそうに笑う。
「ロゼリアも、"そういうこと"思うんだな」
「なんですか、そういうこのって」
「いや?…俺だけじゃないんだなと思って」
「なんの話ですか!」
ひとしきり笑ったレオン様の表情は、和やかだった。
「本当に…サラ様とは、何もないんですか?」
「そんなに信じ難い?」
「…だって、婚約寸前くらい仲がいいって聞きました」
少しだけ大げさかもしれないが。
考え込んだレオン様だったが、諦めたように少しだけ真意を話してくれた。
「彼女に対して何も思ってないのは本当。…ただ、あまり詳しくは言えないけどフラテリーニ侯爵家の誘導に、あえて近づいてる…のは、本当」
「…そうなんですね」
でも本当に何もないから、名前も覚えてないくらいだし、と私を安心させるように話してくれるレオン様。
きっと全て本当の話なのだろう。
言えないこともある中、私を安心させるために話してくれたことが嬉しかった。
彼の気持ちに返すつもりで、私も全てを信じようと思った。
「信じてます。ちゃんと…わかりました。でも、あの…私には、本当に何もできることはないですか?」
「え?」
「みんなに迷惑をかけてしまいましたけど。でも、私もやっぱり何かできないですか?」
あっという間に表情が曇った。
「迷惑はかかってない。昨日のことだって、俺達のミスだ。ロゼリアにできることは…もちろんあるよ。でも、危ないことをさせたくない」
「それは…やっぱり、私を囮に使うほうが早いということですよね?」
「ロゼリア」
鋭い声が部屋に響く。
「お願いします!私も…私もちゃんと、自分の手でできることをやりたいんです」




