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ずっとあなたを想ってます〜両親を亡くした公爵令嬢は幼馴染の第二王子に溺愛されます〜  作者: 千翔りさ
4章 近づく手と絡まる糸

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EP.035

次に目が覚めたときは、自分のベッドの上だった。


(なんか…つい最近も、こんなことがあったような)


そんな風に呑気に考えられる程度には気持ちが落ち着いているのか。それとも、そう考えるしかないくらいに動揺しているのか。


そんなことを考えなが、まずは起き上がろうと体を動かした瞬間に、全身からきしんだ音がした。


「いっ……」


思わず小さく声が漏れる。

すると、今まで気づかなかったが、ベットの横に座っていた人物が慌てて立ち上がりこちらに駆け寄ってきた。


「起きたのか!?まて、急に動かないほうがいい。今支えるから…」


慌てた口ぶりを感じられないような落ち着いた手つき。


かつて、騎士団にいたこともあったはずだからだろうか。介助に慣れているのか、痛みが起きないように体を手で支え、私をゆっくりと慎重に起こしてくれた。


「レオン様…」


彼は、私よりも悲しいような、痛々しい表情をしていた。


「どうしてあなたが、そんな顔をしているんですか」

「…どうしてだろうな。そんな資格もないのに」

「そういうことじゃないですよ」


あなたは悪くないのに。

そんな顔をしてほしくないのに。


二人の間に沈黙が落ちる。私の容態に問題がないと判断したのか、やがて、彼は医者を呼んでくると言い残し部屋を出ていった。


(結局、迷惑かけてばっかり…)


───レオン様の連れてきた宮廷医師の診察によると、頭の打撲とその衝撃による全身の打ち身で、幸い、他に大きな怪我などはなさそうとのことだった。


打ち身自体が大きな怪我だろうと兄は怒っていたが、跡が残るような傷もないらしい。

ただ念のため、しばらくは安静にしているように、とのことだった。


お兄様とアンも大変心配していたようで、医師と一緒に慌てて飛んできてくれた。


「とにかく無事で、何もなくて本当に良かった……。

詳しい話は明日にするから、今日はゆっくり休んで」

「本当にっ……ご無事で何よりです……!」


アンは大泣きしていた。

自分の責任でこうなったと言っていたが、全くそんなことはない。


私が、勝手にドアを開けてしまったことが全てだ。

責任なんてものは考えても仕方がない、誰も悪くないからひとまず引きずらずに休めと兄が言い、二人と医師は早々に部屋をあとにした。


ただ、皆が去ったあともレオン様だけは一人動かなかった。


「あの、私ならもう大丈夫ですよ?ほら、医師の方ももそう言っていましたし…」

「一人で居されない。もしまた何かあったらどうするんだ」

「そんな、もう大丈夫ですよ。流石に、私ももう知らない人にはドアを開けないですし、鍵をかけておきますし」

「それでも、何があるかわからないだろ。…俺のせいだよ。全部、俺の責任だ。こんなことになって…」


低い声が落ちる。


「いえ、これは別に、レオン様のせいでは」

「俺の責任なんだよ!」


荒くなった声に、私は反射的に肩を揺らしてしまった。その瞬間、私の動きに気づいたレオン様の表情が一瞬で凍りついた。


近づきかけた足を止め、それ以上は何も言わず、しばらく椅子に腰を掛けてから、そのまま静かに部屋を出ていった。


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