EP.033
その日は、なんてことのない普通の日に突然訪れた。
レオン様達は変わらず忙しい日々が続いており、滞りなく朝の準備を終えた頃、少し用事があるから、とアンが部屋を離れてから間もなくのことだった。
コンコン、と控えめに扉を叩く音が響いた。
普段、私の部屋にはアンやマリアンヌ、アルバートなど、顔を知った人物しか訪れない。
そして彼らはあまりノックをしないため(それはそれでどうなのか)、不思議に思いながら扉を開けると、そこには見知らぬ騎士が立っていた。
「え?あ、えっと…何かありましたか?」
「突然申し訳ありません。実は、ロゼリア様に至急面会したいという方がいらしておりまして」
「面会?えっと、ごめんなさい。侍女が戻ってきてからでも──」
「いえ、先方が大至急と申しておりますので、今すぐお越しいただけますか」
「いやでも、すぐに戻ってくる予定ですし…」
有無を言わせぬ口調に戸惑っていると、その騎士は私の腕を掴み半ば強引に歩き出した。
「ちょ、ちょっと……!」
抵抗するも、毎日鍛錬をしている騎士と引きこもりに近い私では力の差は歴然で。引っ張られるように連れて行かれた先は、少し奥まった場所にある面会用の客室。
騎士が扉を開いた瞬間、視界に入ってきた人物に、かすかに息をするのを忘れてしまった。
そこには、約一月ぶりに見る、義父母の姿があった。




