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私とストーカーと魔法の学校  作者: WLCノベル
第3章 中等部
59/59

58 疑惑

プライベートで忙しくて月曜の更新忘れてました。すいません><

さらに来月いっぱいくらいはあれこれありそうなので、次の更新は10月となります。どうぞよろしくお願いします。

 ユウシャが倒れた。


 その報が学園にもたらされたのは、平穏な昼休みのことだった。

 ユウシャが魔物討伐中に重症にあい、しばらく療養するため、その期間の休学する、という話だった。


 道理で、母親のミラを見かけないわけである。


 前世の世界であれば電話も一本もくれるところなのだろうが、この世界での通信手段は、……なくはないが、高価で面倒だ。

 なにより、こんな大事であれば、どこからともなく情報は入るであろうから、わざわざ連絡する必要性を感じなかったのだろう。


「つまり鬼の居ぬ間になんとやらってこと、今がチャンスじゃね?」


 お昼休み、一緒に食事をとって移動した部室で、ボアが提案した。


「七つの魔具のひとつ、と・り・に・い・こ・う・ぜ」


 なんだそのイントネーション。

 って、それはいいとして、


「どこから突っ込めばいいかわからないけど、まずどの魔具を?」


 位置のわかってるものは所有者やセキュリティの問題で迂闊に手を出せないし、わからない物については、……本当にわからないのであれば、調べることから始めなきゃいけない、わけだけど。


「実は『運命の硬貨』についてはアテがあるんだよね」


 やっぱりそういう話か。

 なんとなくそういうことだとは思ってたけど、うん、あれだな。


「ボアはミラが嫌いなの?」


 あの、七つの魔具を調べていた時にその情報を出さなかったことを思うと、ボアがミラを警戒しているとしか思えない。単純に好き嫌いとも思えないけど……。


「嫌いっつーか、うさん臭い? ミラがこれまでやってきたこと振り返ってみ? 『ユウシャは幼い頃魔界に行って破壊の剣を手に入れた』母親のアイツになんで阻止できなかった? 本人がひどすぎる? 父親に問題が? いろいろあるだろーけど、歴史書で見るミラの偉業は相当だし、本気で止めたければ止められたんじゃね? って思わねー?」


「それは……あまりに暴論じゃない? 歴史書なんて、偉人の業績を誇張するのがデフォだし、ミラだって、家族の面倒ばかり見てらんないと思うし、相手が幼児なら油断するだろうし」


「んじゃ、エルスの件は? あいつを魔界に送るって、自殺行為じゃね? 考えなしのリオナならともかく、ミラはもうちょい考えてると思うんだけど?」


「それは……」


 考えなしとか失礼極まりないが、言っていることはわかる。

 あの時は平穏に学園に入学することしか考えなかったけど、今考えるとエルスの魔界送りは完全な悪手だ。普通の人間ならともかく、エルスは必ず帰ってくる気がするし、そうなると魔界送りは、あいつを強化する結果にしかならない。


「さらに七つの魔具の件がある。あれを俺たちに教える理由って何? あの召喚装置が七つの魔具のひとつである疑いがあるのはいいとして、七つの魔具について調べる必要なくね?」


「いや、それはボアがアホな仮説を立てたせいで……」


「エルスを召喚するのに魔具が必要ってヤツ? 本気でとるような話か? 馬鹿馬鹿しくね?」


 自分で言うか。

 いや、その通りなんだけれども。


「何か裏があるんじゃね? って思わね? 召喚装置もあいつの管理下に置かれて、当然保険くらいはかけてるけど、何か思惑があるなら把握しないと怖くね?」


 保険……ああそういえば、収納する前いくつか部品抜いてたな。

 にしても……、


「それで魔具に関わろうとする意味がわからない。私たちに魔具の存在を知らせたことに何らかの意図があるなら、魔具に関わることは相手の思うつぼって言うか……」


「それでも中心にあるのが魔具なら、逃げてちゃ真相には近づけねーよ。じゃね? ちっと妄想ったのは、ユウシャを魔界に行かせたのは魔具を手に入れるため、エルスを魔界に行かせたのは、自分が魔具を集める前に他の誰かが魔具を集めるのを阻止するため、ってヤツだけど……」


 なんてこと想像してんだ。まったくの妄想でしかないし、根拠も薄いのに、刷り込まれてしまいそうだ。


 これは危ない。


「ボアの言いたいことはわかった。とりあえず七つの魔具には私も興味あるし、エルスの召喚の役に立つ可能性も高いと思うから、手に入れようと動くのも問題ない。けど……」


 これだけは言っておこう。


「危険があるなら巻き込まれる気はないから」


「えー、ケチ」


「ケチじゃない! 私は長い物には巻かれる派閥にいるんだよ。ミラに裏があっても、自分に危険がないなら、知らないまま乗ってた方がいいでしょ」


「うーわー」


 なんだよう。


「リオナに危険はないけど、オレだけ危険だったりする時は?」


 無言だ。こんな答えが決まりきってる質問に答える必要はない。


「あー、これだから姫は姫なんだよなぁー」


 なによ。私のどこが、自分だけ安全圏にいて勇者を死地に送り出す毒婦よ。

 誹謗中傷にしてもひどすぎる。


「そんなことより本題、『運命の硬貨』について話してよ」


 それから、ボアの知っている『運命の硬貨』についての情報をいろいろ聞き出した所、どうやらそれっぽいものが秘境に住んでいるとある部族の儀式に使われている、っぽい、という話だった。


 王都から転移装置を利用しても1週間。

 ミラについての判断は保留中ではあるが、今すぐ休学して、ミラに気付かれる前に行動するということで話はまとまった。 

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