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流星群  作者: こでまり


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16/18

流星群の夜 後編

望月病院の中庭で貴子は夜空を見上げて泣いていた。

「キレイね。本当に綺麗」

貴子は涙が溢れて止まらない。

その様子を拓人は少し離れたところから見ていた。

一年前、貴子の体調が悪く病院に行くことになるといつもは洋平が連れて行くのだが何故か貴子は拓人に頼んだ。

拓人はどうして俺なんだといいながらも母親を望月病院へ連れていった。

待合室で診察の順番を待っていると貴子は喉が渇いたと言い出し、拓人にミネラルウォーターを買いに行かせた。

拓人は自販機コーナーを探してミネラルウォーターを買っているとイナダタクトと言う声が聞こえた。

拓人が耳を澄ませて聞いているとイナダタクトが誰かの家に押し入りお金を奪ったと言う話が聞こえてきた。

更に話を聞いていると、奪われたお金は拓人が悪さをした示談金だと言っていた。

更に示談金の話は一件ではなく他にも示談金が払われているようだが、それもすべて誰かに奪われていることがわかった。

拓人は疑問に思う。

ここ最近は母親につきっきりで出歩くこともなく、ましてや誰かの家に押し入りお金を奪ったこともなかった。

疑問に思いながらも拓人はミネラルウォーターを持って貴子の元に戻った。

その後も貴子を病院に連れて行くと拓人の話が聞こえてくる。

拓人はその話を静かに聞いていた。

ある日、貴子の検査結果が判るというので拓人は洋平と一緒に望月病院を訪れていた。

検査結果を拓人と洋平が聞いた。

望月病院の医師、望月一美から伝えられた病名はガンだった。

そして余命は一年だと言われた。

拓人はこれをどう伝えようかと悩んでいると洋平は本人に直接伝えてほしいと言っていた。

その後、洋平は貴子の入院手続きをしている間に貴子は医師から病名と余命を告げられた。

拓人は母親の様子を見ていたが取り乱すことなく医師の説明を淡々と聞いていた。

拓人はその様子に驚いた。

その後、洋平と看護師が貴子を迎えに来て病室まで行く。

その間も貴子と洋平の様子は変わらなかった。

病室のベッドに横になると、貴子は鞄から封筒を洋平に渡してほしいと拓人に言ってきた。

拓人は言われるまま、貴子が持ってきた鞄から封筒をだして洋平に渡した。

「貴子さん、これは?」

洋平が封筒の中を見て貴子に聞いていた。

「遅くなってごめんなさい。それを出してください」

貴子がそれだけを言うと目を瞑った。

「貴子さん、どれだけの時間が経っているかご存知ですか」

珍しく洋平が声を上げる。

拓人は洋平と貴子を交互に見る。

洋平がため息をついた。

「貴子さん来年、流星群が見られるようです。今度は3人で見ましょう」

洋平が言うと貴子はごめんなさいと言って泣いていた。

洋平は帰り際手にしていた封筒をベッドのサイドテーブルの上に置いた。

拓人は洋平が帰った後、その封筒の中を見ると離婚届だった。

拓人は母親にどうしてこんなことをしたのかと聞いた。

「気づいていると思うけど、洋平さんはあなたの本当の父親じゃないの」

拓人はあまり驚いていなかった。

祖父や貴子の態度で薄々わかっていた。

しかし、実際に言葉にされると思いのほか自分が動揺しているのがわかった。

「本当の父親は何処にいる?」

拓人は洋平が父親になった理由が気になったが本当の父親が何処で何をしているのか気になり聞いた。

「坂井理人と言ってあなたが産まれる前に死んだわ」

「病気かなにか?」

「ヨットハーバーの従業員の栗元悟志に殺されたみたい」

貴子はどこか他人事のように言う。

「もしかして、その報酬がヨットハーバーなのか?それってじいさんのせいか?」

拓人は呆れて声を上げる。

「おそらくそうだと思う。そのためにあなたの父親にとされたのが洋平さんよ。洋平さんはお父様に騙されて借金と土地を押し付けられたの。それに私と結婚させるために離婚させられるたの」

拓人はやっと洋平が祖父の言いなりだったのかわかった。

「その洋平の前の妻はどうしているんだ?」

「洋平さんよ」

貴子に言われて拓人は言い直す。

「洋平さんの妻は?」

「離婚してすぐの頃はこの街に住んでいたけど、別の所に移り住んだわ。娘さんがいたけど今は結婚して子供もいるみたい」

「そうか……」

拓人は複雑な気持ちになった。

「稲田家にはもう、お金は残っていないの。拓人、これ以上洋平さんに迷惑をかけないで」

母親の言葉に驚く。

「稲田家は大地主だろ。どうして残っていないんだ?」

拓人は祖父から何時も聞かされていた話を思い出す。

「拓人、あなたが事故や人に怪我を負わせたからよ。私もあなたのことを思って示談にするように洋平さんに頼んだのが良くなかったわ」

「オレはそんなに事故を起こしてもいないし、怪我を負わせてもいない」

拓人は自分が大怪我を負った事故くらいしか記憶がない。しかし、貴子は更に衝撃な話をした。

「示談金を渡した人達からお金を盗んでいた人がいたわ。顧問弁護士が洋平さんが渡したお金を人を使って取り返していたの。お父様の命令で。でも、お父様が亡くなったあとも示談金は顧問弁護士が人を使って取り返していたのよ」

貴子は拓人を睨みながら言った。

「母さんは顧問弁護士を責めなかったのか?」

拓人が言うと貴子は出来る訳がないと言ってきた。

「どうして?」

「あなたがやっていると言われたから」

「オレはそんなことしていない」

拓人は怒鳴っていた。

「そうよね。洋平さんも言っていた。拓人の名を騙っている人物がいると」

母親はため息をついて言った。

「もう、何もかも終わらせたいわ」

拓人は何が起こっているのか心配になってきた。

その後、自宅に帰って洋平に話を聞くと稲田家の土地は駅前の駐車場だけが残っていると言われた。

貴子の治療費の心配をしていると駐車場の代金が入ってくるのと保険に加入しているので大丈夫だと言われた。

その流れでその駐車場の管理をしてみるかと言われた。

拓人はやりたいことがあると言うと洋平は何がしたいかと聞いてきた。

拓人は母親が終わらせたいと思っていることだと言うと強力出来ると言ってきた。

翌日、拓人は貴子の着替えを持って望月病院に行く。

貴子の病室に拓人の被害者とされる、怪我を負った娘を持つ父親が来ていた。

拓人はその事故もその娘を知らなかった。

その時、初めて拓人の名前を使って悪行を繰り返していた人物がいることを知った。

貴子を問い詰めると拓人の名を騙り事件を起こしている人物がいること、その仲間が拓人の恋人の上田京子ではないかと言われた。

そこへ洋平と木崎敏行と望月和美がやってきた。

木崎敏行の話でその人物は拓人の恋人の上田京子が拓人に隠れて付き合っていた男、田中昌大だとわかった。

洋平も調べていたようで、拓人の名を騙り悪さをしていた人物がいた。

森野大貴だ。

森野大貴は田中昌大と上田京子、深屋智子と共に拓人の名を騙り事件を起こしては示談金を盗むことを繰り返していたこがわかった。

更に、示談金を盗むように手引きしていたのは稲田家の顧問弁護士だった。

その弁護士は病気が悪化して既に死んでいた。

しかし、顧問弁護士が亡くなった後も被害が出ていた。

洋平はまだ関係している人物はいないか調べている途中で望月病院の事務員の木崎利行に行き当たったと言った。

木崎の話によると拓人の名を騙って悪事を働いてた田中昌大は上田京子に言われてやっていたようだと。そして上田京子の叔母が望月瑠美だと言われた。

拓人はすぐに田中昌大や上田京子に復讐をしようと思ったが洋平に言われて母親の貴子に話をすると私が復讐すると言って聞かない。

洋平と拓人が宥めて何とか落ち着きを取り戻すが、自分も手伝うといい出した。

なんとか宥めて落ち着かせてから木崎敏行はある提案をした。

洋平も拓人も貴子もそれぞれの役割りに没頭してきた。

流星群が終わりに近づいてきたとき、後ろにいた刑事の吉村が言ってきた。

「確認できたそうです」

拓人はそれを聞いて空を見上げた。

ほぼ全部終わったかのように思えるが最後にもう一つ残っている。

その時、貴子が急に咳き込んでいた。

洋平と望月和美先生が対応に追われている。

その間に木崎敏行が病棟のドアを開ける。

そこにはベッドと看護師が待機している。

洋平に抱えられ貴子が病棟に入っていく。

望月和美先生と拓人も後をついて行く。

刑事たちは病室までの道のりを確認して行く。

望月和美先生と木崎敏行、看護師がある部屋に貴子を入れた。

「これから警備にあたります」

先程の吉村が告げにきた。

拓人は気を引き締める。





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