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流星群  作者: こでまり


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15/18

流星群の夜 中編

鍋島たちが事務所に帰ると若林と橋本が昨夜の画像を見ていた。

「ただいま戻りました」

鍋島たちが事務所に入ると若林と橋本が振り返る。

「帰って来たか。とりあえずこれを見てみろ」

若林が言うと橋本が昨夜の画像を映す。

鍋島と今西が見ると望月病院の中庭の映像が映し出された。

鍋島が周辺の映像を撮ったものだ。

あの時には気がつかなったが、稲田貴子が車椅子に座り、そのそばには先程追いかけていた男と稲田洋平。望月病院の医師で望月病院の院長の娘の望月和美と木崎敏行がいた。

そのすぐ後ろには吉村と佐竹が立っていた。

「どういうことですか?」

鍋島が若林に聞く。

「詳しいことは、わからないが稲田拓人の別荘火災は仕組まれたことらしいと粕谷から連絡があった」

「仕組まれた?」

鍋島が聞いた。

「昨日の午後に貴子の病室が慌ただしくなったそうだ。粕谷の話だとその後、吉村と佐竹がやって来ていたらしい。その時の会話がさっき言った言葉だ」

「何を仕組んだのですか?」

鍋島は混乱してきた。

「そこまでは聞き取れなかったそうだが、今朝になって貴子の病室周辺で警察の警護が厳重になって近付けなくなったらしい」

若林の話に納得する。

「先程も病棟に入ろうとしたら警備員に止められ、更に佐竹さんからも止められました」

鍋島が伝えると若林から衝撃な言葉が出る。

「どうやら、稲田貴子の容体が悪化したようだ。それと稲田拓人は死んでいないのではないかと粕谷が言っていた」

若林の言葉に鍋島は理解が追いつかない。

「どういうことですか?」

「それがわからない」

若林も粕谷から聞いただけで詳しい話まで聞いていないと言ってきた。

鍋島たちが話していると事務所に来た人物がいた。

隣町の商店街の会長の高松真理子とラジオ局勤務の笹本早百合だった。

二人は鞄の中からUSBメモリを大量に出してきた。

「これは?」

鍋島が聞くと笹本早百合が言った。

「駅周辺の駐車場とラジオ局の駐車場に停めてある車のドライブレコーダーの映像です。先程話していた内容で役に立つかと思って集めてきました」

鍋島と今西は手に取ってみる。

橋本も手を伸ばす。

「何が映っているのですか?」

橋本が興味深くUSBメモリを見る。

「上田京子が昨夜、隣町の駅にいた」

鍋島が伝えると橋本は早速パソコンを操作しだした。

鍋島と今西もパソコンを開きデータを見る。

鍋島がいくつ目かのUSBメモリを見ていると昨夜の望月病院の中庭にいた男が映っていた。

その男は稲田拓人がネックレスにしていたチェーンを持っていた男だ。

更に別の日には違うマンションに入って行く。

「あっ!」

橋本が声を上げた。

「若林さんこの人、拓人の被害者ではないですか?」

橋本が聞いている。

鍋島と今西が橋本のパソコンを覗く。

「そうだ、この男は一年くらいまえに拓人と思われる人物に貴重品を盗まれたと言っていたが、警察が拓人の犯行だと断言出来なかった。それは事件のあった時間、拓人は駅前の店で飲んでいたのを近所の人に目撃されていたからだ」

若林が言う。

「この男は森野大貴よ。田中昌大とよくつるんでいた人」

高松真理子が言う。

「えっ?田中昌大と一緒にいた。もしかして、稲田拓人と同級生の男ですか?」

鍋島が聞く。

「そうよ。実家が以前、家具屋をやっていたけど父親が銀行をやめさせられたとかで奥さんが暫く家具屋をやっていたけど、廃めちゃったわ。その旦那さんも半年前に酔って海に転落したとかで亡くなったと聞いているわ」

鍋島は澤谷が言っていた話を思い出す。

今西がその当時の新聞のデータをタブレットに出して見せてくれる。

落ちた場所はヨットハーバーに近い海だった。

稲田拓人周辺の動きが怪しい。鍋島はもう少し情報が欲しいと思った。

それに森野大貴の父親は確か、稲田洋平の元同僚だったはずだ。

「このデータは過去、いつくらいまでありますか?」

鍋島はふと思い立って聞いてみる。

「半年前から一年前くらいまで集まっていると思うけど、足りなかったらまた、集めてくるわ」

笹本早百合が言ってくれる。

鍋島は今西を見ると今西も鍋島の意図に気付いたようで急いでデータを確認した。

鍋島が確認していると、さっき追いかけていた男が半年前くらい前から駅周辺によく出没していた。

「この人、知っていますか?」

鍋島は笹本と高松に聞いてみる。

「この人、駅前のマンションの管理会社の人だと思う。確か、カネコ?カネマツだったかしら」

高松が言った。

鍋島は手帳を読み返す。

あのマンションの部屋の表札に兼松とあったのを思い出した。

その男に怪しい動きは無かった。定期的に駅周辺に現れては周辺のマンションに入って行く。

高松が言っていた管理会社の社員だろう。

鍋島は更にデータを見て行く。

「鍋島さん、これって」

今西が見ていたデータに上田京子と栗元悟志が映っていた。

「知り合いだったんだ」

鍋島が呟く。

「どういう繋がりでしょうか?」

今西もここで繋がるとは思っていなかったようで驚いていた。

鍋島は画面をみる。日付は半年前。

「確か楠木智恵子が亡くなったのもこのくらいだよな」

鍋島が聞くと今西も確かにと言ってきた。

更に見ていくと約一年くらい前に稲田拓人が駅前を歩いている映像があった。

その後、暫く稲田拓人は出てきていない。

しかし、半年くらい前から稲田拓人が再び映っていた。

鍋島は室田の話を思い出す。

上田京子と望月瑠美が東京で会っていた時期と一致する。

室田は田中昌大が整形した病院が新宿にあると言っていた。

今、ここに写っているのが、田中昌大だろう。

そして、その頃から頻発して噂があった稲田拓人のことはやはり、田中昌大のはずだ。

うん?待てよ。

この頃から田中昌大が稲田拓人になっていたら、研究所の忍び込んだのは、本物の稲田拓人ではなく、田中昌大が稲田拓人に整形した人物のはずだ。

あれ?

研究所に忍び込んだのは三人だと噂があった。

一人は拓人の親友で亡くなった。

残りの二人はもしかして、稲田拓人に扮した田中昌大と森野大貴じゃないか。

それなら別荘で死んだのはやはり、本物の稲田拓人なのか?

鍋島はふと、高松真理子と目が合った。

「森野大貴の顔は分かりますか?」

鍋島は一応、確認しておこうと思て聞いた。

「分かりますよ」

高松真理子は鍋島のパソコンを覗き込んだ。

暫く映像を見ていた。

すると、ここ!と言って映し出された男を指差し言った。

「この男が森野大貴よ」

高松に言われて鍋島は画面を食い入るように見る。

隣で今西も森野大貴の顔を見ていた。

その画面を見ていた鍋島は驚く。

森野大貴の指にはあの指輪があった。

鍋島は考えが追いつかず画面を見たまま動けなくなった。

森野大貴の指には稲田家の当主だけが持つことが許されると貴子が言っていたとされる、例の指輪をしていた。

本物の稲田拓人は森野大貴になりすましていたのか?

鍋島は混乱してきた。

今西も驚いたようで無言で画面を見ていた。

鍋島は再度、映像を見ながら、今度は森野大貴の情報を洗い出した。

橋本と若林は映像を見ながら何かを書き出している。

側には笹本早百合が若林に話している。

今西も自分のパソコンで映像を見ながら何かを書き出している。

何があったのか?

鍋島が隣で作業をしている今西に声をかける。

 「何してる?」

「あっ、上田京子と森野大貴がよく出てきています。しかし、2ヶ月くらい前を境に森野大貴は姿を見せていません。それと入れ違いに稲田拓人と上田京子が一緒にいることが増えています」

今西の言葉に鍋島は確信した。

「森野大貴が偽稲田拓人だ」

鍋島が言うと今西も頷く。

更に映像を見て行くと、昨夜、上田京子が栗元悟志と歩いている映像が出てきた。

「鍋島さん、これは!」

今西が驚いて声を上げる。

「二人とも生きていたんだな」

鍋島は呟いた。

「鍋島さん!ここ」

今西が映像を指差した。

そこには望月瑠美が映っていた。

「望月瑠美は捕まったんじゃないのか?」

鍋島が言うと今西はすぐにタブレットで検索して望月正嗣のニュースを出してきた。

「鍋島さん、このニュースを読むと正嗣は捕まったけど、瑠美のことは書かれていません」

「と、言うことは楠木智恵子の殺害容疑はまだ、解決していないと言うことだな」

「そういうことになりますね」

今西が言う。

「前から思っていたが、楠木智恵子殺害を誰が稲田拓人に依頼したんだ?」

鍋島が言うと今西も考えだした。

「楠木智恵子殺害が田中昌大なら、上田京子しかないでしょうね。実際、あの二人には接点がありますから」

今西の話に鍋島はその前を考えた。

「上田京子が望月瑠美と会うようになったきっかけはどうだろう」

鍋島が言うと今西もあっそうかと呟いた。

「上田京子と瑠美さんは親戚よ」

高松が言ってきた。

「えっ!」

鍋島と今西は振り返る。

「上田京子の母親は瑠美さんの妹だから」

鍋島は繋がったと思った。

あとはどちらが先か?

しかし、どう考えても第三者が介入しないと難しい。

「上田はどうして楠木智恵子のことを知ったのか?」

鍋島が言うと今西もそうですねと呟く。

「この頃、医療事故のことはまだ公表されていないはずだ」

鍋島が言うと今西はタブレットで検索を始めた。

「医療事故の話題が出てきたのは三か月前くらいからですね」

今西の言葉を聞いて鍋島は上田京子が楠木智恵子のことを知った次期が気になった。

それと同時に望月瑠美が稲田拓人に目を付けたのも気になる。

「望月瑠美たちがこの街に戻って来たのは半年前だったか?」

「そうです。

望月瑠美たちがこの街に戻っている間に楠木智恵子を殺害するように仕向けるには……。

望月瑠美しかいないだろう。

望月瑠美と上田京子、どちらから声をかけたのか?

堂々巡りになってしまう。

「上田京子と望月瑠美は仲が良かったのか?」

鍋島はそばにいた高松に聞く。

「うーん。特別に良かったとは見えなかったけど、上田京子が望月病院の看護師になったのは瑠美さんのおかげだと以前、上田から聞いたわ」

誰かが望月瑠美に稲田拓人の事を話したら。

いや、そもそも稲田拓人に罪を着せることを考えることが疑問だ。

何か意図があったに違いない。

誰かが何の目的のために動いているのか?

鍋島は手帳を眺めながら考えていた。

「そっちはどうだった?」

若林の声に鍋島は我に返った。

「半年前から稲田拓人の動きが妙です」

鍋島が言うと今西も森野大貴の姿が半年くらい前からいなくなっていますと言ってきた。

「こっちは稲田拓人の被害者たちを見つけた」

若林が言うと橋本が先程まで記入していたノートを見せてきた。

そこには稲田拓人の被害者で大金を示談金として受け取ったとされる人物の5人の名前が書かれていた。

「自分も見かけました」

今西もそう言って先程記入していた紙を見せてきた。

そこには2人の名前が書かれていた。

鍋島はその7人の名前を見ていて気がついた。

その7人の元の家はあの研究所が買った土地だ。

そして、その7人が現在住んでいる家はあの管理会社の男が出入りしていたマンションだ。

こんな偶然があるだろうか。






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