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流星群  作者: こでまり


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流星群の夜 前編


鍋島と今西はホテル星華を出て、隣町まで来ていた。

今西が以前、見たという人物を確認するためだ。

「自分の記憶が不確かなので本当に高樹紀行のか自信がないのです。たしか、高樹も街を出て行ったと聞いたはずなので、こんなに近くに住んでいたのかと疑問があります」

今西の言葉に鍋島も納得する。

今西が運転する車に乗り、このあいだのマンションまで行く。

窓から外の景色を見ていた鍋島は急に振り返る。

「今西!止まってくれ」

鍋島は思わず叫んでいた。

今西が道の端に車を停めた。

「どうしましたか?」

「今、拓人の被害者がいた気がした」

鍋島はドアを開けて車を降りる。

周囲を見渡すが、先程見た人物はいなかった。

今西も車を降りてきた。

今西が先程、鍋島が叫んでいた場所まで歩いて戻る。

「鍋島さん!」

今西が呼ぶ。

鍋島は走って今西のところまで行くと、今西は道の先を指差した。

道の奥を歩いている女性がいた。

その女性は近くのマンションに入っていく。

鍋島と今西はその女性を追いかけて、そのマンションまで行く。

オートロックのマンションだった為、中に入ることは出来なかった。

「あの女性は拓人の被害者の一人だったと記憶しています」

今西が言う。

鍋島も記憶があるが、その後、あの被害者がどうなったのか暫く考えたがわからなかったので、諦めて目的のマンションまで行く。

マンションの近くのコインパーキングに車を停めて目的のマンションまで行くと、マンションに入っていく男性がいた。

鍋島と今西は驚いた。

その男性も拓人の被害者だ。

こんな偶然があるだろうか。

こちらはオートロックではなかったのでマンションの中まで入って行く。

マンションまで行く途中、今西と打ち合わせをした。

今西が男性と一緒にエレベーターに乗り込む。

その間に鍋島は階段を探して今西からの情報を待った。

男性と一緒にエレベーターに乗った今西が男性の行き先の情報を確認して、鍋島にメールで教えてくれる。

メールを受け取った鍋島は階段で目的のフロアまで行くと、ちょうど先程の男性は部屋に入るところだった。

それを見て鍋島は今西を待つ。今西は怪しまれないように一旦別のフロアーまで行き、目的のフロアーに戻ってくる手筈だ。

今西が戻ってきて、先程の男性が入った部屋を見る。

表札はない。

だが、確かに拓人の被害者のはずだ。

あの男性は拓人とその友人たちから恐喝されていたと噂があった。

半年くらい前の話だ。

ただ、鍋島はある疑問を感じていた。

本当は拓人の当て逃げだったはずだ。それもその事故は一年以上前の話だったはずだ。

その示談で洋平からお金を受け取ったと聞いたことを思い出す。

更に、澤谷の話も思い出した。

稲田家の顧問弁護士が雇ったチンピラたちに被害者を襲わせ、示談金を奪い取っていたと。

拓人が変わったと言う話を信じるなら、拓人はそんなことをするだろうか。

鍋島が部屋の前で考えていると女性がやって来て各部屋の新聞受けにチラシを入れていた。

「あっ!良かったらどうぞ」

その女性は鍋島に気づいて渡されたのはこの近所にある商店街のイベントのチラシだった。

今西を見ると、今西も渡されたみたいで手にしていた。

鍋島も受け取ったチラシを見る。

この街の商店街も春のイベントをするようでいろいろ載っていた。

鍋島は次のイベントの参考になりそうだと一通り目を通してチラシを鞄に仕舞う。

今西を見るとチラシを配っていた女性と話し込んでいた。

「鍋島さん!」

今西に呼ばれて行くと先程の女性を紹介された。

その女性はこの街の商店街の会長を務めている高松真理子と言った。

今西の説明によると、以前今西が見かけた深屋智子と同じ電車に上田京子と田中昌大が乗っていたという。

「それって…」

鍋島が言うと今西は頷く。

「確かですか?」

今西が確認する。

「友人が確かに見たと言っていました。田中昌大はこの街でも何度も問題を起こしていますから顔は知っています。間違いないです。

それに、先日ニュースで深屋智子が亡くなったとやっていて思い出しました」

高松真理子はこれからその田中たちを見たと言う友人を呼んでくれると言ってくれたので鍋島たちもマンションの下まで行く。

マンションの下で暫く待っていると、高松の友人がやって来た。

その友人は笹本早百合と名乗り、地元のラジオ局に勤務していると言っていた。

「昨夜の流星群、とてもキレイでした」

笹本早百合は鍋島と今西を見ると、目を輝かせて言ってくる。

今西は自分が提案して進めた企画が高評価なのでご機嫌だ。

早百合の話は流星群だけにとどまらずそれ以外の情報番組にも話が広がる。

流石に話が脱線しかかっていて鍋島が困っていると高松が助け船を出してくれた。

「早百合、この間聞かせてくれた話、二人に説明して」

「あ、ごめん、ごめん。昨日の夜は興奮して眠れなかったからつい」

笹本早百合は先程までの表情から急に真面目な顔になって話始めた。

「半年前に仕事で東京に行ったのですがそのとき、田中昌大と深屋智子が同じ電車に乗っていたの。しかし、そのすぐ近くに上田京子もいたわ。その電車に今西さんも乗っていたのでご存知だと思うのですが…」

笹本早百合は今西を見ながら言った。

「自分は深屋智子しかわからなかったですが、三人が一緒の電車に乗っていたのですか?」

今西が聞くと笹本は本当よ」と言う。

「この駅が始発の電車で乗り換えると、東京まで行く電車です。今西さんが一号車の前の方に乗っていて、その三つくらい後ろに田中昌大と深屋智子が乗っていました。真ん中くらいには上田京子も乗っていました」

鍋島は笹本がどうして深屋と上田のことを知っているのか疑問に思う。

それを聞くと笹本は二人は同級生だと言ってきた。

「どうして、その時声をかけなかったのですか?」

鍋島は同級生なら声をかけてもおかしくないと思った。

今西も疑問に思ったのか、笹本に聞いていた。

「上田京子は既婚者ですが、田中昌大と恋人だと言っていました。それが、田中昌大と深屋智子は一緒にいて、隠れるように二人の様子を見ていたから声をかけれないから私も隠れて三人の様子を見ていたの」

鍋島は笹本早百合の話に信ぴょう性を考えた。

「田中昌大の恋人が上田京子ですか?」

鍋島は深屋智子が田中昌大の家に深屋がいたことを思い出し聞いた。

「そうよ。上田京子は既婚者だけど、田中昌大と付き合っていると言っていたから、電車で声をかけるのを躊躇ったのよ」

鍋島が今西を見ると今西は頷く。

「上田京子が既婚者?」

鍋島が聞くと上田京子の家族はこのマンションに住んでいると言った。

鍋島と今西はすぐに答えを見つけられない。とりあえず、三人の行動を聞いた。

「三人は東京のどこに行ったかわかりますか?」

鍋島は何か手がかりでもあればと思い、聞いてみた。

「三人は新宿駅で待ち合わせをしていたようだったわ。それも待ち合わせの相手が、望月病院の瑠美さんだったから。何かあると思ってつけてみたんだけど、何もなかったの。ただ、気になることがあったわ。瑠美さんと待ち合わせたのは上田京子だけだったの」

笹本は何かあると期待したようだが、望月瑠美は上田京子と二人で駅の近くの喫茶店に入って上田と話してすぐに店を出てきたと言う。

その間、田中昌大と深屋智子は別の店で待っていたようだ。

以前、上田京子が計画して田中昌大と深屋智子は言われたことをやっていただけと話を聞いた記憶がある。

それにしてもまたしても望月瑠美か…と思う。望月瑠美は上田京子に楠木智恵子殺害の依頼をしていた。

その話をするために会っていたと考えるのがいいだろう。

そして、新宿。

ここに何か理由があるのか?

「田中昌大たちはそのあとどうしたのかわかる?」

鍋島は駄目もとで聞いてみた。

「あるマンションに入っていったけど、そのあとのことはわからないわ」

鍋島は室田なら知っているかもと思う。

それに新宿か……。

鍋島は室田にあとで聞いてみようと思った。

それに、松本が深屋智子を見かけたのも新宿だ。

この場所に何かあるに違いない。

鍋島はお礼を言って帰ろうとしたが高松が笹本にあの話もしたらと言っていた。

鍋島はなんのことだろうと思って笹本を見る。

「実は昨日の夜、上田京子を見かけたの」

笹本の話に鍋島は驚いた。

「どこで見かけたのですか?」

鍋島は驚く。

上田京子は深屋智子が遺体で見つかってから行方不明になっている。

警察も行方を追っていると先日、望月病院で吉村と佐竹が話していた。

「流星群の映像をラジオ局で見ていて、そのあと自宅に帰るため、駅に行ってバスに乗っていたら、駅に入って行く京子を見たの」

笹本が不安そうに言う。

「上田京子を昨夜、駅で見かけたのですね」

鍋島が確認のため聞くと笹本は、たぶんそうだと言ってきた。

「マスクをして帽子を目深にかぶっていたけど京子だと思う」

「一人でしたか?」

鍋島が聞いた。

「隣に男の人がいた」

笹本は少し考えて言った。

「その男性は何歳くらいでしたか?」

鍋島はこの事件の関係者を思い出しながら聞いた。

「五十代くらいだと思います」

笹本の話に鍋島は栗元と洋平を思い出す。

五十代ならまだ関係者の中には他にもいるが上田京子との関係を考えるとこの二人だと思った。

鍋島はお礼を言って帰る。

今西と車に乗り、今西が運転をしてコインパーキングを出る。

「どうしますか?」

今西の問いに鍋島は稲田洋平に会ってみたいと考えて稲田家と言おうとした時、今西が声を上げた。

「鍋島さん、あれ!」

先程までいたマンションから出てきた人物は以前、室田が送ってきた写真の男だった。

「追いかけます」

鍋島が何かを言う前に今西はあの男を追いかける。

マンションから出てきた男はちょうど通りかかったタクシーをつかまえて乗り込んだ。

今西はタクシーの跡をつける。

その間に鍋島は室田にメールで望月瑠美が新宿で上田京子たちと会っていたと告げると室田からすぐに返信がきた。

(警察はまだ掴んでいないようだが、田中が整形した病院が新宿にあって、望月瑠美と正嗣が以前住んでいた家が新宿にあった)と返信が来た。

鍋島は望月瑠美と上田京子が半年前に新宿で会っていたと告げると室田はどの店かと聞いてきたので、鍋島は笹本から聞いた店を伝えるとすぐに確認すると返事が帰ってきた。

鍋島はその時、望月瑠美は望月病院から金品を貰っていないことを思い出した。

それなら、どうして、新宿で住めるだけのお金があったのか?それに上田京子に渡したと思われるお金はどこから出てきたのか?

鍋島は室田にその疑問を聞くと瑠美は以前、投資をしていた時のお金だと言ってきた。

「それって望月病院の金を使ってやっていた投資だろ。望月病院に返さなかったのか?」

鍋島は驚き声をあげた。

「利益は出なかったと言っていたらしい。それにその金は望月正嗣の大学病院での活動資金になっていたようだ」

「活動資金?」

鍋島が聞き返す。

「医療事故をもみ消すための資金に使われたところまでつかんだ」

鍋島は望月瑠美が東京での生活費をどうしていたのか、やっと分かった。と、同時に木崎敏行はこのことを知っていたのかと疑問に思った。

今西は前を走るタクシーを追いかけていたが、途中でタクシーと今西の運転する車の間にトラックが入ってきてタクシーを見失ってしまった。

その時、若林から電話が入った。

「今、どこにいる?」

「隣町の商店街付近です」

鍋島が伝えると、今すぐ望月病院へ行ってこい!と言われた。

今西に伝えると今西はすぐに望月病院へ車を走らせた。

望月病院の駐車場に車を停め、病棟に向かう途中、先程、追っていた男性が病棟に入って行くのが見えた。

「鍋島さん!あの男!」

今西も気がついたようで足早に病棟に向かう。

鍋島たちが病棟に入ろうとした時、ガードマンに止められた。

「どんな御用ですか?」

「お見舞いに来ました」

鍋島が若林の友人の名前を告げようとした時、佐竹がやってきた。

「鍋島さん、今日はご遠慮ください」

佐竹の言葉に鍋島は何かあると確信する。

「どうしてですか?」

鍋島も引き下がらない。

「今は明かせません」

佐竹も引かない。

「昨夜、上田京子を見かけたと言う人がいます」

鍋島は交渉になるかと言ってみたが反応は薄い。

「上田京子はこちらで調べていますので大丈夫です」

鍋島は佐竹の言葉にどこまで操作が進んでいるのか気になった。

「今日は通院患者以外、お断りしています。お見舞いは別の日にお願いします」

佐竹が言って鍋島たちを病棟の外へと促し、病棟のドアは閉められた。

鍋島は若林に電話をすると、仕方がないと言って帰ってくるように言われた。





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