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経営難な料亭を立て直すため、料亭で修行することに。だがなぜかラブコメ展開に!?  作者: 彼方夢
京都料亭は波乱万丈⁉

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7/14

体験良し

 やはり無邪気な娘だな。

 にひひと笑う純真無垢な様子は、晶のなかには無い陽の部分を体現しているようで。

 とても眩しかった……

 陽菜は小さめのリュックを背負い、ぴょこぴょこと寝癖を揺らす。

「髪型は直さなくてもいいのか?」

「え? なに?」

「……いや。行こうか」


 鴨川へと目指していく。閑々照りのアスファルトを踏みながら。

「店での仕事は大変?」

 少し、舌足らずな声で言われる。

 晶は脳裏で記憶を巡らせながら、


「ほんのちょっと仕事にも慣れてきた」

「そっか。私には到底できない仕事だもん。なんか、料理人ってストイックな感じやし」

「言うほどストイックではないぞ」

「そうかな? 自覚がないだけじゃない?」

 陽菜のことを見る。……素直に、この子の言うことを認めるべきだな。

 経験の記憶を、巡り巡らす。実家の定食屋でも、ここ料亭での修行でも、自己研鑽に妥協はしなかった。そのことがとても重要だと理解していたから。

「……そう言ってもらえると光栄だな」

「うんっ! どういたしまして!」

 

 鴨川に到着する。川辺では少しの涼みを感じることが出来た。肌にひゅるりと風が当たり、水の波打ち。それらすべてが涼流であった。


 納涼床は基本、料亭・旅館の群衆。そのひとつへと目指す。

 料亭「浜内」に入る。出汁巻きの匂いが暖簾越しに香ったからだ。これはひとつの考え方だが、出汁巻きが美味い店に、外れ無し。

 店で蕎麦と出汁巻きを頼んだ。陽菜も同様に。注文した品が届き、まずは蕎麦をずずっと啜る。驚く。鼻から抜ける爽やかな風味。これは予想だが、石臼で挽いたものだろう。良いものを食べられた。今度は出汁巻きを口に入れる。甘いし、なおかつ蕎麦のときに感じられた出汁と同じだろう。統一感があって尚良し。


 仄暗くなってライトアップされる。

「良い雰囲気だね」

「あぁ。来れて良かったな」

「 うん!」

 光に反射する鴨川。

 すべてが良い体験だった。

 




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