表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
経営難な料亭を立て直すため、料亭で修行することに。だがなぜかラブコメ展開に!?  作者: 彼方夢
京都料亭は波乱万丈⁉

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

3/17

お代わり。

「ふぅ。疲れた……」

 自室の壁に沿って腰掛け、キャップを開けたペットボトルを飲む。

 仕込みに三時間ほどかかり、現在七時。しかし二時間後には営業開始時刻だ。

 地獄だ……

 すると扉が小刻みに震える。ノックされたのだ。


「はい」

 出迎えに行ける体力は残っていない。

 扉が開く。立っていたのは青髪の少女、確か名前は――


「朝食、持ってきた」


 お盆に茶椀とお椀、秋刀魚、沢庵が乗っている。


「ありがとう……」

「一応聞くけど、私の名前、覚えてる?」

「えっと……はは。あっ、美人の子で、名前は智菜さん」


 そうだった、そうだった。美人の子だ。

 その子は困り眉をして、「間違っているって言いにくい……」とか言いだす。

 そのお盆をテーブルの上に乗せて、


「じゃあゆっくり食べて」

「いただくよ」

 去っていく後ろ背を見終えてから、ふと息を吐く。


 沢庵に手を伸ばし口に入れる。ポリポリと音を立てながら咀嚼する。

「うまいなぁ。この沢庵」

 次は味噌汁を啜る。どうやらこの味噌汁は茄子らしい。

 茄子のほのかな甘みと青臭さが咀嚼するたびに口全体に広がる、

「これもうまい。秋刀魚や茄子。やっぱり夏の特産物だな」

 夢中で食べているとあっという間に無くなった。


「お代わりしたいな……」

「持ってきた」

「え⁉」

 また、智菜が同じメニューが乗ったお盆を持って扉の外に立っている。

「さっき通りかかったら物凄くがっついていたから」

「お恥ずかしい……」

 空になった茶碗らと今度は大盛の飯を交換してくれる。

 しかも秋刀魚は二尾だ。嬉しい……


「ご飯、おいしい?」

「うん」

「そっか……」

 どことなく悲しそうな顔をしている。そんな表情は、美人だから余計際立った。

「食事、辛いのか?」

「うん。料亭の娘としてはあるまじきことなんだけど……軽い拒食症みたいなもので」

「分かった。いつか、俺がここで腕を磨いて食べやすい料理を作ってやる」

「……どうして? どうしてそこまでしてくれるの?」


 晶は親指を立てて言ってやった。


「お代わり持ってきてくれたお礼だよ」


 智菜は目を見開き、それから笑顔を見せた。



 営業開始時刻。仕込みと似たような作業――料理の下ごしらえを延々と行った。

 疲れる。腰死ぬ。

「団体客の予約時刻まであと三十分だぞ。急げ、急げ!」

 伊勢海老の仕込みをしていた料理人にぶつかられ、舌打ちされる。

「邪魔」

「すいません」

 もう嫌だ。やめたい。

 こうした地獄の修練が夜九時の営業終了まで続いた。



「全身筋肉痛だ……痛ぇ」

 部屋で寝転がりながら筋肉をもみほぐしていく。

 あといつまで続くのだろうか……

「お体……マッサージしましょうか?」

「あ?」

 金髪少女……希来里が微笑みながら近づいてくる。

「いや……結構だ」

「そう言わず。硬くなっているでしょ」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ