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第四十七話(前編):禁書庫の鍵

ガルフィから語られる。


過去の出来事。


そして。


エリシアは。


もう一つの疑問に辿り着きます。


果たして。


その答えとは――。


今回も楽しんでいただければ嬉しいです。

「……。」


エリシアは。


しばらく。


ガルフィを見つめていた。


そして。


ゆっくりと。


口を開く。


「貴方は……こう思ったはずです」


「……?」


「この子なら」


一拍。


「もしかしたら――」


エリシアの目が。


まっすぐにガルフィを捉える。


「魔王現象を止めることができる、唯一の人物なのではないか、と」


「……。」


ガルフィの表情が。


わずかに変わる。


「そこで……ふと思い出したのではありませんか?」


エリシアは。


懐から紙を取り出す。


ちらり。


一瞬だけ。


そこへ目を落とす。


「昔、前王が見せてくれた……禁書庫の魔法書を」


「……。」


ガルフィは。


何も言わない。


「かつて勇者ですら、止めることができなかった」


エリシアは。


静かに続ける。


「そんな言い伝えが残る魔王現象」


そして。


「貴方の技術」


一拍。


「そして――」


「エリックさん」


ガルフィの眉が。


わずかに動く。


「魔法石を通すことなく、魔法を使う少年」


「……。」


「その二つの力を合わせれば」


エリシアは。


確信するように。


言葉を続けた。


「止めることができる」


「……。」


「そう確信したのではありませんか?」


ガルフィは。


黙ったまま。


エリシアを見ている。


「ただ指を咥えて待つよりも」


エリシアが。


ほんの少しだけ。


笑う。


「この少年に賭ける方が――」


一拍。


「よほど勝機がある」


「……。」


エリシアは。


紙を胸元へ戻す。


そして。


最後に。


問いかけた。


「どうでしょう?」


「これが――」


「貴方が改革派になった動機なのではありませんか?」


「……参りました」


ガルフィが。


小さく笑う。


「ここまでお分かりとは」


エリシアは。


少しだけ胸を張る。


「では――」


ガルフィが。


椅子に深く座り直す。


「もう一つ」


「……?」


「暇つぶしに、お聞きしたいことがあるのですが」


「なんでしょう?」


「私は、以前見た禁書庫の魔法書の内容を、すべて覚えているわけではありません」


ガルフィは。


静かにエリシアを見る。


「もう一度、実物を見て読み解く必要がある」


「……。」


「では」


一拍。


「私は、どうやってその魔法書を手に入れればいいのでしょう?」


「……。」


エリシアは。


少し考える。


そして。


「ああ……」


懐の紙へ。


ちらり。


目を落とす。


「なるほど」


顔を上げる。


「そのことですか」


「ええ」


「確かに……大問題ですね」


エリシアは。


少しだけ困ったように笑う。


「実は、酒場で情報を得たのです」


「酒場?」


「第一王子が、貴方に魔法書を渡したという話がありました」


「……。」


ガルフィの表情が。


止まる。


「あり得ません」


即答だった。


「……そう」


エリシアも頷く。


「そうなのです」


「禁書庫の魔法書を、第一王子が城の外へ持ち出し、それを私に渡す?」


ガルフィは。


首を横に振る。


「考えにくいでしょう」


「はい」


エリシアは。


静かに答える。


「私も、そう思います」


そして。


少しだけ。


真剣な顔になる。


「確信のない話に賭けるにしては――」


一拍。


「リスクが大きすぎます」


「……。」


「なんせ」


エリシアは。


ガルフィを見る。


「禁書庫から魔法書を勝手に持ち出すのは――」


「大罪ですからね」


「はい、もちろんです」


エリシアは。


静かに頷く。


「その商人の話によれば――」


一拍。


「王家の家紋の印を、はっきりと見たそうです」


「……。」


ガルフィは。


黙って聞いている。


「しかし」


エリシアが。


少し考える。


「問題は――」


「どうやって、城から持ち出したのか」


「……。」


「最初は」


エリシアは。


ガルフィを見る。


「貴方が第一王子を焚きつけて、厳重に管理されている禁書庫の鍵を開けさせたのではないかと考えました」


「なるほど」


「ですが」


エリシアは。


首を横に振る。


「先程も言った通りです」


「第一王子にとって、あまりにもリスクが大きすぎる」


「……。」


「なら――」


エリシアの目が。


細くなる。


「第一王子に、禁書庫まで連れて来てもらった」


「……。」


「これならどうでしょう?」


エリシアは。


静かに問いかける。


「第一王子は、罪に問われるでしょうか?」


「いいえ」


ガルフィが。


即答する。


「なりません」


「魔法書を手に入れた筋書きは――」


エリシアが。


静かに口を開く。


「こうです」


「……。」


「おそらく第一王子は――」


一拍。


「改革派だった」


ガルフィの目が。


わずかに細くなる。


「そして」


エリシアは。


続ける。


「貴方が第一王子を焚きつけた」


「そこまでは、間違いないでしょう」


「……。」


「第一王子は」


エリシアが。


ゆっくりと言葉を選ぶ。


「禁書庫の前で、貴方から目を離した」


「……。」


「そう」


エリシアは。


小さく頷く。


「目を離したのです」


そして。


ガルフィを見つめる。


「この世界で――」


一拍。


「鍵師として、右に出る者はいないとまで言われたガルフィさんから」


「……。」


「時間にして」


エリシアが。


指を一本立てる。


「数分程度でしょうね」


「……。」


ガルフィは。


しばらく黙っていた。


そして。


ゆっくりと。


口元を緩めた。


「さてと……」


エリシアは。


少しだけ考える。


「第一王子は――」


ゆっくりと。


言葉を続けた。


「気づかなかったことにすれば、誰も罪に問われることはない」


「……。」


「知らない間に魔法書は持ち出され」


一拍。


「知らない間に、返却される」


「そうすれば――」


エリシアは。


ガルフィを見る。


「誰も罪に問われることはないはずだった」


「……。」


ガルフィは。


何も言わない。


「ですが」


エリシアが。


少しだけ目を細める。


「ここで――」


一拍。


「大きな誤算があったのではありませんか?」


「……。」


ガルフィの口元から。


笑みが消えた。


「……。」


ガルフィは答えない。


「……。」


エリシアは。


しばらく考えていた。


そして――


「……あ」


懐に手を入れる。


チャラッ。


紙を取り出す。


「……。」


一枚目。


二枚目。


エリシアは。


二枚目の紙を開いた。


「……はぁ?」

思わず。


声が漏れる。


「どうしました?」


ガルフィが。


不思議そうに尋ねる。


「いえ……」


エリシアは。


紙から目を離さない。


「続けましょう」

エリシアの推理。


少しずつ。


ガルフィが改革派になった理由と、過去の出来事が繋がってきました。


そして。


最後にエリシアが見つけたもの。


果たして。


そこには何が書かれていたのでしょうか。


次回も楽しんでいただければ嬉しいです。


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