↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

85/114

第四十三話(前編) : 王女として

今日は。


エリシアにとって。


いつもの旅とは。


少し違う一日です。


第三王女として。


ガルリィア王国の国王と向き合う。


果たして。


エリシアは。


王女として。


どんな言葉を交わすのでしょうか。


それでは。


第四十三話(前編)です。

翌朝。


王族用の別館。


朝早くから。


エリシアの部屋には。


何人もの侍女が集まっていた。


鏡の前に座るエリシア。


髪を整え。


衣装を整える。


普段よりも。


少しだけ時間をかけて。


化粧も整えられていく。


エリシアは。


鏡に映る自分を見つめていた。


「……。」


いつもより。


表情が硬い。


その様子に。


長年仕えているベテランの侍女が気づく。


「殿下。」


「はい?」


「少し緊張なさっていますか?」


エリシアは。


一瞬だけ黙る。


「……分かりますか?」


「長くお仕えしておりますから。」


侍女は。


小さく笑った。


「ですが。」


「それくらいで丁度よろしいかと。」


「え?」


「緊張するということは。」


「それだけ、今回の謁見を大切に思っていらっしゃるということです。」


エリシアは。


鏡の中の自分を見る。


「……そうですね。」


侍女は。


最後に髪を整える。


「それに。」


「殿下はいつも通りでよろしいのです。」


「いつも通り……。」


「はい。」


「王女らしく。」


「ですが、王女であることを忘れず。」


「相手のお話をよくお聞きになれば。」


エリシアは。


少しだけ笑った。


「ありがとうございます。」


「それと。」


侍女が。


衣装の裾を整える。


「ガルリィアは。」


「贈り物で心を動かす国ではございません。」


エリシアが。


頷く。


「聞いています。」


「ですから。」


「今日は、誠意を持ってお話しくださいませ。」


「はい。」


エリシアは。


ゆっくり立ち上がった。


先ほどまでの緊張した表情が。


少しだけ和らいでいる。


「行ってきます。」


「はい。」


侍女は。


深く頭を下げた。


エリシアは。


部屋を出た。


廊下には。


すでに外交官や文官。


そして数名の従者が。


待っていた。


その中に。


レイナの姿もある。


「お待たせしました。」


エリシアが。


声をかける。


「とんでもございません。」


外交官が。


静かに頭を下げる。


「では。」


「参りましょう。」


一行は。


歩き始めた。


王族用の別館から。


王城へ続く長い廊下。


高い天井。


磨き上げられた石床。


大きな窓から。


朝の光が差し込んでいる。


コツ。


コツ。


コツ。


エリシアの靴音。


その後ろを。


レイナ。


さらにその後ろを。


外交官や文官。


従者たちが続く。


誰も。


大きな声では話さない。


エリシアは。


前を見つめて歩いていた。


先ほどまでの緊張は。


まだ少し残っている。


それでも。


足取りは。


しっかりとしていた。


やがて。


廊下の先に。


大きな扉が見えてくる。


近づくにつれて。


その大きさが分かる。


重厚な木製の扉。


表面には。


ガルリィア王家の紋章が刻まれていた。


扉の両脇には。


完全武装した衛兵。


エリシアが。


一度だけ立ち止まる。


レイナを見る。


レイナは。


小さく頷いた。


エリシアも。


小さく息を吸う。


そして。


背筋を伸ばした。


「……行きましょう。」


「はい。」


外交官が。


答える。


衛兵が。


扉の前へ進み出る。


「王国第三王女、エリシア・ルミナス殿下。」


その声が。


静かな廊下に響く。


一拍。


そして。


重い扉が。


ゆっくりと開かれていく。


ギィィ……。


広い謁見の間。


正面には。


高い位置に設けられた玉座。


そこに。


一人のドワーフが座っていた。


ガルリィア王国国王。


ドルガン・ガルリィア。


その隣には。


王妃。


エルガナ・ガルリィア。


さらに。


少し離れた場所に。


昨日会った第一王子。


ヴァルド・ガルリィア。


その隣には。


エリシアと同じくらいの年齢に見える。


第二王女。


ミルダ・ガルリィア。


王の傍らには。


もう一人。


白髪のドワーフが立っていた。


真っ白な髪。


そして。


胸元まで届くほど長い白髭。


物腰の静かな男だった。


その後ろには。


数名の護衛。


そして。


ガルリィア側の外交官たち。


エリシアは。


謁見の間へ入る。


レイナたちも。


その後ろに続く。


エリシアは。


王の前まで進むと。


ゆっくりと足を止めた。


そして。


姿勢を正す。


「ガルリィア王国国王陛下。」


「王国第三王女。」


「エリシア・ルミナス。」


「本日は。」


「このような機会をいただき、ありがとうございます。」


静かな声が。


広い謁見の間に響いた。


ドルガン王が。


ゆっくりと頷いた。


「こちらこそ。」


「遠路、よく参られた。」


低く。


落ち着いた声だった。


エリシアは。


もう一度。


小さく頭を下げる。


「ありがとうございます。」


その隣で。


エルガナ王妃が。


穏やかな笑みを浮かべた。


「長旅でお疲れでしょう。」


「どうぞ、楽になさってください。」


「お気遣いありがとうございます。」


エリシアが。


微笑む。


王妃は。


エリシアをしばらく見つめる。


そして。


「王国の第三王女と伺っております。」


「はい。」


「まだお若いのに。」


「こうして遠くまで来られるとは。」


「大変だったでしょう。」


エリシアは。


少しだけ姿勢を正す。


「皆様のお力添えがあったからこそです。」


エルガナが。


小さく頷いた。


「立派ですね。」


その後ろ。


第一王子が。


一歩前へ出る。


「ガルリィア王国第一王子。」


「ヴァルド・ガルリィアです。」


エリシアは。


一瞬だけ。


その顔を見る。


「……。」


昨夜。


二人だけで交わした会話が。


一瞬だけ脳裏をよぎる。


しかし。


エリシアは何も表情に出さない。


「王国第三王女。」


「エリシア・ルミナスです。」


「お会いできて光栄です。」


ヴァルドも。


穏やかに微笑む。


「こちらこそ。」


ヴァルドは。


軽く頭を下げた。


その隣。


第二王女が。


一歩前へ出る。


「初めまして。」


「ガルリィア王国第二王女です。」


「ミルダ・ガルリィアです。」


エリシアも。


礼を返す。


「王国第三王女。」


「エリシア・ルミナスです。」


「お会いできて光栄です。」


第二王女は。


にこりと笑った。


「こちらこそ。」


そして。


少しだけ。


エリシアの後ろを見る。


そこには。


レイナが立っている。


「そちらの方は?」


エリシアが。


振り返る。


「私の護衛です。」


「レイナ・ヴェルクス。」


レイナが。


一歩前へ出る。


「よろしくお願いします。」


第二王女が。


興味深そうに。


レイナを見る。


「……強そうですね。」


「ありがとうございます。」


レイナは。


短く答えた。


そのやり取りを。


王の傍らに立つ。


白髪のドワーフが。


静かに見ていた。


真っ白な髪。


胸元まで届く。


長い白髭。


やがて。


その男が。


一歩前へ出る。


「申し遅れました。」


「国王陛下に仕える者でございます。」


深く。


一礼する。


「遠路はるばる。」


「よくお越しくださいました。」


エリシアも。


頭を下げる。


「ありがとうございます。」


男は。


エリシアの様子を見て。


ふと。


穏やかに声をかけた。


「長旅で。」


「お疲れではありませんか?」


「今日は。」


「少々暑うございますからな。」


そう言って。


懐から。


白いハンカチを取り出す。


「よろしければ。」


エリシアは。


少し驚いた。


「……ありがとうございます。」


ハンカチを受け取る。


「お気遣いなく。」


男は。


穏やかに微笑んだ。


そして。


それ以上は何も言わず。


元の位置へ戻った。


エリシアは。


その背中を。


一度だけ見た。


物腰の柔らかな。


老練な側近だった。


玉座から。


ゆっくりと身を乗り出した。


「では。」


「王国とガルリィア。」


「両国について。」


「話を始めよう。」


エリシアが。


小さく頷く。


「はい。」


正式な外交が。


始まった。


――その頃。


王都の別の場所では。


エリックたちも。


動き始めていた。

エリシアにとって。


今日は。


第三王女としての大切な一日でした。


そして。


正式な外交も。


ここから始まります。


その一方で。


エリックたちも。


別の場所で動き始めました。


ガルフィを探すために。


それぞれが。


それぞれの方法で。


手掛かりを探していきます。


次回。


エリックたちは。


何を見つけるのでしょうか。


次回もよろしくお願いします。


よろしければ、★評価やブックマークで応援していただけると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。