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四十一話(前編) : トーン足りない

第41話(前編)です。


今回から舞台は、鉱山都市タグルムへ。


大きな街。

たくさんの職人。

そして――ボルグが挑む、謎の扉。


そんな中。


エリックの漫画家脳が。


またしても動き出します。


「トーン足りない」


一体、何を始めるのでしょうか。


それでは、第41話(前編)をお楽しみください。

一行は。


一号車へ乗り込んだ。


馬車が。


丘を下りていく。


しばらくして。


エリックが。


窓の外を見る。


「タグルムって。」


「どんな街?」


エリシアが。


少し考える。


「私も詳しくはありませんが。」


「大きな街だと聞いています。」


ボルグが。


口を挟む。


「鉱山都市は。」


「その名の通りじゃ。」


「鉱山が多く。」


「そこから採れる鉱石を扱う職人も多い。」


「鍛冶屋も多いぞ。」


レイナが。


少しだけ身を乗り出す。


「鍛冶屋が?」


「うむ。」


「武器や防具を作る職人も多い。」


レイナが。


黙る。


「……。」


ボルグが。


続ける。


「街の外れには。」


「小さいがダンジョンもある。」


「冒険者も多い。」


「なるほど。」


エリシアが。


頷く。


「商人も集まりそうですね。」


「そうじゃな。」


ボルグが。


頷く。


「職人と商人。」


「冒険者。」


「いろんな者が集まる街じゃ。」


エリックは。


しばらく黙っていた。


「……。」


そして。


ぽつり。


「ベッド。」


レイナが。


振り返る。


「……。」


「久しぶり。」


エリシアが。


小さく笑う。


「そうですね。」


「久しぶりに。」


「ちゃんと眠れそうです。」


ボルグも。


頷く。


「大使館なら。」


「それなりの部屋は用意されておるじゃろう。」


エリックが。


頷く。


「楽しみ。」


馬車は。


そのまま。


タグルムへ向かって進んでいった。


しばらくして。


街道の先に。


巨大な山が見えてきた。


「……。」


エリックが。


窓の外を見る。


山は。


あまりにも大きかった。


その山肌には。


無数の建物が。


張り付くように建っている。


一軒。


また一軒。


さらにその上にも。


家や工房が続いていた。


「……あれ。」


エリックが。


呟く。


「街?」


「うむ。」


ボルグが。


頷く。


「鉱山都市タグルムじゃ。」


山の麓から。


斜面に沿って。


街が広がっている。


数百軒はあるだろう。


ところどころに。


大きな煙突が立ち。


白い煙を吐いている。


山へ向かう道も。


何本も伸びていた。


その先には。


鉱山へ続いているのだろう。


「……。」


エリックは。


しばらく山を見ていた。


やがて。


八台の馬車が。


街の門へ近づいていく。


門の前には。


数人の門番が立っていた。


先頭の馬車が。


ゆっくりと止まる。


門番の一人が。


近づいてくる。


「お待ちしておりました。」


「王国からの一行ですね。」


「はい。」


エリシアが。


答える。


門番は。


手元の書類を確認する。


「八台。」


「間違いありません。」


続いて。


馬車の紋章を確認する。


人数も。


事前に伝えられていたものと照らし合わせる。


「問題ありません。」


門番が。


一礼する。


「タグルムへの入街を許可します。」


門番が。


手を上げる。


門が。


ゆっくりと開いていく。


ギギギギ……。


その瞬間。


門の外にいた人々が。


一斉に八台の馬車を見る。


「……。」


「なんだ?」


「ずいぶん立派な馬車だな。」


「王国から来たらしいぞ。」


小さなどよめきが。


広がっていく。


誰も。


歓迎するために近づいてくるわけではない。


ただ。


珍しそうに。


馬車を見ている。


八台の馬車が。


一台ずつ。


門をくぐっていく。


エリックも。


窓から外を見る。


門を抜けると。


目の前には。


さらに大きな街が広がっていた。


山肌に沿って。


家々が続いている。


鍛冶場から。


金属を叩く音が聞こえる。


カン。


カン。


カン。


冒険者らしき者たちも。


武器を背負って。


行き交っている。


「……。」


エリックは。


街を見渡す。


「大きい。」


ボルグが。


小さく笑う。


「じゃろう?」


馬車は。


タグルムの街中へ。


ゆっくりと進んでいった。


八台の馬車が。


活気ある街を進んでいく。


やがて。


大通りから少し離れた場所に。


大きな建物が見えてきた。


「……あれは?」


エリックが。


窓の外を見る。


ボルグが。


答える。


「大使館じゃ。」


馬車が。


ゆっくりと門をくぐる。


敷地内には。


広い庭と。


立派な建物があった。


やがて。


建物の前で。


馬車が止まる。


扉が開く。


大使館の職員たちが。


一行を出迎える。


「お待ちしておりました。」


「エリシア殿下。」


エリシアが。


馬車から降りる。


「ありがとうございます。」


続いて。


エリック。


レイナ。


ボルグたちも。


馬車から降りていく。


エリックが。


建物を見上げる。


「……。」


「ここで寝る?」


エリシアが。


小さく笑う。


「はい。」


「二日ほど。」


エリックが。


頷く。


「ベッド。」


「楽しみ。」


レイナが。


苦笑する。


「そこなのか……。」


一行は。


大使館の中へ。


案内されていった。


廊下を進み。


それぞれの部屋へ。


荷物を置いていく。


エリックは。


部屋へ入ると。


ベッドを見る。


「……。」


ゆっくり近づく。


そして。


手で触れる。


「柔らかい。」


レイナが。


後ろから覗き込む。


「当たり前だろ。」


エリックは。


そのまま。


ベッドへ倒れ込む。


「……。」


「寝る。」


「まだ昼だぞ。」


「……。」


返事がない。


レイナが。


呆れたように。


ため息をついた。


「本当に寝たのか……。」


エリシアが。


小さく笑う。


「よほど疲れていたのでしょうね。」


その日の夜。


一行は。


久しぶりに。


まともなベッドで眠った。


そして。


翌朝。


「さて。」


ボルグが。


部屋を出る。


エリックが。


廊下で。


それを見つける。


「どこ行くの?」


「仕事じゃ。」


「仕事?」


「うむ。」


ボルグは。


妙に機嫌がいい。


ミーナとルチアが。


顔を見合わせる。


「……。」


「やっぱり怪しいですね。」


「ですね。」


ルチアも。


ボルグを見る。


「何の仕事だ?」


「鍵開けじゃ。」


「鍵開け?」


「うむ。」


ボルグは。


それだけ言うと。


さっさと歩き出した。


しばらくして。


一行は。


タグルムの街を歩いていた。


やがて。


一軒の店の前で。


ボルグが。


足を止める。


「ここじゃ。」


「……。」


店の中から。


ドワーフの声が聞こえる。


「おや。」


「誰かと思えば。」


店の奥から。


一人の女ドワーフ。


グレナが。


煙管をクルクル回しながら。


顔を出した。


ボルグを見る。


そして。


小さく笑う。


「また来たのかい。」


「うむ。」


ボルグも。


笑う。


「三回目じゃ。」


「……。」


ミーナとルチアが。


顔を見合わせる。


「やっぱり女ですね。」


「ですね。」


「しかも。」


ミーナが。


グレナを見る。


「とびきり美人です。」


「ですね。」


「……。」


ボルグが。


振り返る。


「お主ら。」


「何を言っとる。」


「別に。」


「何でもありません。」


二人は。


何事もなかったように。


グレナを見る。


「……。」


ボルグは。

深いため息をついた。


店の奥。


そこには。


一枚の扉があった。


扉には。


見たことのない文字が。


幾重にも刻まれている。


そして。


その中央には。


二つの鍵穴。


「……。」


ミーナとルチアが。

扉を見る。


グレナが。

胸を張る。


「この扉。」


「今まで誰も開けられてないんだよ。」


「魔法は禁止。」


「制限時間もある。」


「二つの鍵を。」


「両方とも開けること。」


ボルグが。


頷く。


「知っとる。」


グレナが。

ニヤリと笑う。


「それでもやるのかい?」


「当然じゃ。」


ボルグが。


腰の道具を取り出す。


「ワシは鍵師じゃからな。」


店の中にいたドワーフたちが。


ざわめき始める。


「ボルグだ。」


「また来たぞ。」


「三回目だ。」


「今度こそ開くか?」


次々と。


人が集まってくる。


グレナが。

扉を見る。


「それじゃ。」


「始めようか。」


ボルグが。


扉の前に立つ。


「……。」


静かに。


一つ目の鍵穴へ。


道具を差し込んだ。


カチ。


小さな音が。


店内に響いた。


誰も。


喋らない。


ボルグの顔から。


笑みが消える。


鍵師の顔になった。


「……。」


三回目の挑戦が。


始まった。


一方その頃。


エリシアたちは。


タグルムの鉱山を視察していた。


案内役のドワーフが。


先頭を歩く。


「こちらが現在の採掘区画です。」


ガンッ!

ガンッ!

ガンッ!


坑道には。


何十人ものドワーフがいた。


ツルハシを振る者。


鉱石を台車へ積む者。


汗を拭いながら岩盤と向き合う者。


ガラガラガラ……。


鉱石を積んだ台車が。


目の前を通り過ぎていく。


エリシアは。


周囲を見渡した。


「すごい活気ですね。」


「ええ。」


案内役が。

胸を張る。


「タグルム自慢の鉱山です。」


一行は。


さらに奥へ進む。


ガン!

ガン!

ガン!


音は大きくなり。


空気も熱を帯びていく。


「……暑い。」


レイナが。


額の汗を拭った。


エリシアも。


首元を軽く扇ぐ。


エリックだけは。


黙って坑道を見ていた。


壁。


支柱。


線路。


鉱石。


天井。


「……。」


しばらく見回した後。


ぽつりと呟く。


「トーン足りない。」


「……。」


レイナが。

嫌な顔をした。


「また始まった。」


「何が?」


「お前が背景とかトーンとか言い出した時は。」


「ろくなことにならない。」


エリックは。


暑そうに杖を見る。


少し振る。


「……。」


反応が悪い。


レイナを見る。


「なぁ。」


「駄目だ。」


「まだ何も言ってない。」


「どうせ剣貸せだろ。」


「……。」


エリックは。


諦めて周囲を見る。


休憩していたドワーフの横。


ツルハシが立て掛けてあった。


「これ。」


「貸して。」


「はぁ?」


ドワーフが。


目を丸くする。


「何に使うんだ?」


「魔法陣。」


「……。」


レイナが。


頭を抱えた。


「ほらな。」


エリックは。


ツルハシで地面を削る。


ガリッ。


円。


線。


術式。


黙々と描き続ける。


エリシアが。


しゃがみ込む。


「風魔法ですか?」


「うん。」


「ここ。」


エリックが一部を指す。


「冷風追加。」


「あと。」


「石。」


足元の小石を拾い。


魔法陣の中央へ置く。


「これで。」


魔力を流す。


――ブゥン。


魔法陣が淡く光った。

ここまで読んでいただき、ありがとうございます!


ついに鉱山都市タグルムへ到着しました。


ボルグは念願の鍵開けへ。


そしてエリックは――。


やっぱり、何か始めました。


果たして、鉱山でエリックが作った魔法陣は何を起こすのか。


次回もタグルムでのお話が続きます。


面白かった、続きが気になると思っていただけましたら、

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次回もよろしくお願いします。

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