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第六十六話(後編):姫様のお仕事は宝探し

風車作りが始まった魔境の森。


エリシアは現場監督となり、レイナたちは朝食の準備へ。


それぞれが自分にできる仕事を進めていきます。


そんな中、フィオネ姫に任された仕事は……まさかの宝探し?

自分にできる仕事を見つけていく。


「……よし」


エリックは。


残った図面をまとめた。


これなら。


風車作りも。


順調に進みそうだった。


――その頃。


露天風呂から上がった。


エリシアたちは。


身支度を済ませると。


ため池の近くにある広場へ。


向かっていた。


フィオネ姫。


レイナ。


ミーナとルチア。


そして。


それぞれの側使いたち。


みんなで。


魔境の森を見て回っていた。


「……あら?」


エリシアが。


広場の様子に気づく。


そこでは。


エリックが。


何枚もの図面を手に。


ドワーフたちと話していた。


少し離れた場所では。


若いドワーフたちが。


何やら相談しながら。


森の方へ歩いていく。


「エリックさん?」


エリシアが。


不思議そうに。


首を傾げる。


「何をしているのでしょう?」


「……さあ」


レイナも。


広場を見渡す。


「また何か始めたようですね」


その時。


エリックが。


こちらに気づいた。


「ああ」


片手を上げる。


「風呂、上がったのか」


「はい」


エリシアが。


頷く。


そして。


エリックの手元を見る。


「それは……?」


「設計図」


「設計図ですか?」


「うん」


エリックが。


図面を広げる。


そこには。


大きな羽根を持つ風車と。


それを支える高いやぐら。


そして。


石臼へとつながる仕組みが。


描かれていた。


「……風車?」


エリシアが。


目を丸くする。


フィオネ姫も。


図面を覗き込んだ。


「これは……」


「風の力で、石臼を動かすんだ」


エリックが。


淡々と説明する。


「小麦粉を作るのが楽になる」


「まあ……!」


フィオネ姫が。


驚いたように。


図面を見る。


「そんなことができるのですね」


「まだ作ってないけどな」


「……」


エリシアが。


エリックを見る。


「エリックさん」


「ん?」


「また、何か便利なものを作ろうとしているんですね」


「……まあ」


エリックは。


図面をまとめ直す。


「白米を作りたかっただけなんだが」


「……白米?」


レイナが。


首を傾げる。


「それが、どうして風車になるんですか?」


「石臼を動かすのが大変そうだったからな」


エリックが。


さらりと答える。


「風の力を使えば、楽になるだろ」


「…………」


エリシアたちは。


顔を見合わせた。


そして。


広場の向こうを見る。


すでに。


ドワーフたちが。


風車作りに向けて。


動き始めていた。


エリックは。


設計図を持ったまま。


エリシアを見る。


「……そうだ」


「エリシア」


「はい?」


「現場監督が必要だろ」


エリックが。


設計図を差し出す。


「これ、頼む」


「…………!」


エリシアの目が。


ぱっと輝いた。


「現場監督……!」


設計図を。


両手で受け取る。


「エリックさん」


「いつものように、現場監督をしても?」


「頼む」


「はいっ!」


エリシアが。


満面の笑みを浮かべる。


そして。


ドレスの裾を。


両手で少し持ち上げた。


「では、部屋に戻って農作業着に着替えてきます!」


言い終わるより早く。


エリシアは。


広場を駆け出していた。


「……」


その後ろ姿を。


レイナが見送る。


「……あれ」


一拍。


「白銀の塔なら、確実に怒られるやつですね」


「……そうだな」


エリックは。


特に気にした様子もなく。


頷いた。


そして。


フィオネ姫を見る。


「姫様」


「はい?」


「レイナ、借りるぞ」


「……え?」


レイナが。


思わず振り返る。


「それと……」


エリックは。


側使いの二人を見る。


「側使いの二人も、借りていいか?」


「……構いませんが」


フィオネ姫が。


少し不思議そうに首を傾げる。


「二人に何を?」


「朝食の準備だ」


「朝食?」


フィオネ姫が。


目を瞬かせる。


「この人数だろ」


エリックが。


周囲を見渡す。


「レイナと一緒に、みんなの朝食を準備してほしい」


「なるほど……」


フィオネ姫が。


納得したように頷く。


「分かりました。二人とも、お願いできますか?」


「はい、姫様」


フィオネ姫の側使いが。


静かに頭を下げる。


ミッシュルも。


レイナの隣で頷いた。


「承知しました」


「薬草を摘んでいるから、野菜を摘むのも得意だろ」


エリックが。


レイナを見る。


「頼んだぞ」


「……分かりました」


レイナは。


少し苦笑しながら頷いた。


「では、朝食の準備に行ってきます」


「うん」


三人が。


連れ立って歩き出す。


その背中を見送りながら。


エリックは。


ミーナとルチアを見る。


「お前たちは、エリシアが戻ってきたら手伝ってくれ」


「了解です、ボス!」


「はい、ボス!」


二人の尻尾が。


パタパタと揺れる。


「俺はエリシアのところへ行って、材木を魔法で乾燥させて運んでくる」


エリックが。


そう告げると。


その様子を。


フィオネ姫は。


静かに見ていた。


エリシアは。


現場監督。


レイナたちは。


朝食の準備。


エリックは。


材木の準備。


みんなが。


次々と仕事を決めていく。


「あの……」


フィオネ姫が。


小さく呟く。


「私は?」


「……ああ」


エリックが。


姫様を見る。


「じゃあ、宝探ししてくれ」


「……宝探し?」


フィオネ姫が。


首を傾げる。


「うん」


エリックが。


頷く。


「鶏が卵を産んでるはずなんだ」


「卵……ですか?」


「全部で六個」


エリックが。


周囲を見渡す。


「放し飼いだからな。開拓した土地のどこかに産んでると思う」


「…………」


フィオネ姫が。


目を瞬かせる。


「それを探すのですか?」


「そう」


エリックが。


あっさり答える。


その隣で。


ミーナとルチアも。


必死に笑いをこらえていた。


「……分かりました」


フィオネ姫は。


少しだけ考えたあと。


にっこりと微笑んだ。


「六個、すべて見つけてみせます」


「頼む」


エリックが。


頷く。


こうして。


エルフの姫様の仕事は。


鶏の卵を探すことになった。


――数十分後。


「次は、一番上の横木です!」


エリシアが。


図面を確認しながら声を上げる。


「……かなり高いな」


ドワーフの一人が。


組み上がったやぐらを見上げた。


地面から。


一段。


二段。


三段。


四段。


そして。


五段目。


風車を取り付けるための。


大きな木製のやぐらが。


少しずつ。


その高さを増していた。


「上の方は、俺たちじゃ少し危ないか」


ドワーフが。


頭を掻く。


その時。


「私たちが行きます!」


ミーナが。


元気よく手を挙げた。


「ルチア、行こう!」


「はい」


ルチアも。


頷く。


二人は。


身軽に。


やぐらを登り始めた。


「……気をつけろよ!」


エリックが。


下から声をかける。


「はい、ボス!」


ミーナが。


振り返る。


尻尾を揺らしながら。


するすると。


上へ登っていく。


ルチアも。


その後に続いた。


やがて。


二人は。


五段目へたどり着く。


「木材、お願いします!」


「おう!」


下から。


ドワーフたちが。


長い横木を持ち上げる。


ミーナとルチアが。


それを受け取った。


「せーの……!」


二人で。


位置を合わせる。


柱と柱の間へ。


横木をはめ込む。


「ここですね」


ルチアが。


位置を確認する。


「うん!」


ミーナが。


木材を支える。


その間に。


リシェルが。


地上から手をかざした。


すると。


横に置いてある蔓が。


するすると伸びていく。


横木へ巻きつき。


柱との接合部を。


きゅっ。


きゅっ。


と締め上げた。


「固定できました!」


ルチアが。


声を上げる。


「よし!」


エリシアが。


図面を見ながら頷いた。


「これで最後です!」


ミーナとルチアが。


最後の木材を取り付ける。


リシェルが。


蔓を締める。


そして。


「……できた!」


エリシアが。


顔を上げた。


五段式のやぐらが。


ついに完成した。


「おおおっ!」


ドワーフたちから。


歓声が上がる。


ミーナとルチアも。


やぐらの上で。


嬉しそうに尻尾を振っていた。


「ボスー!」


ミーナが。


大きく手を振る。


「完成しましたー!」


「お疲れさま」


エリックが。


手を振り返す。


「二人とも、よくやったな」


その言葉に。


二人の尻尾が。


さらに勢いよく揺れた。


その頃。


家の前では。


「皆さん、朝食の準備ができましたよ!」


レイナが。


少し離れた場所へ声をかけていた。


隣には。


フィオネ姫の側使いと。


ミッシュル。


三人が。


朝食の準備を終え。


家の前に立っていた。


レイナが。


やぐらを見上げる。


「……もう、ここまでできたの?」


その大きさに。


思わず目を丸くする。


そして。


高い場所にいるミーナとルチアを見つけると。


大きく手を振った。


「ミーナ! ルチア!」


「朝食よ!」


「……!」


二人が。


同時に振り返る。


「朝食!」


ミーナの耳が。


ぴんと立った。


ルチアも。


やぐらの上から。


手を振り返す。


「今、降ります!」


その時。


少し離れた草むらから。


「……見つけました!」


フィオネ姫の声が響いた。


エリックたちが。


一斉に振り向く。


フィオネは。


籠を両手で抱えていた。


その中には。


卵が。


いくつも入っている。


「……お」


エリックが。


籠を覗き込む。


「見つかったのか?」


「はい!」


フィオネが。


嬉しそうに頷く。


「六個、すべてです!」


「……すごいな」


エリックが。


素直に感心する。


「よく見つけたな、フィオネ」


ぽん。


フィオネの頭に。


エリックの手が乗った。


「よくやった」


「…………!」


フィオネが。


一瞬。


固まる。


その様子を。


少し離れた場所から。


ミーナとルチアが。


じっと見ていた。


「…………」


「…………」


二人の尻尾が。


ぴたりと止まる。


そして。


互いに顔を見合わせた。


「……ルチア」


「……はい、ミーナ」


二人は。


何かを決意したように。


勢いよく。


やぐらを降り始めた。

いつも読んでいただき、ありがとうございます!


面白いと思っていただけましたら、評価やブックマークで応援していただけると嬉しいです。


エリシアの現場監督のもと、風車のやぐらも無事に完成!


そして、フィオネ姫に任された六個の卵探しも、見事に達成しました。


ところが、最後に何やら様子のおかしい二人が……。


次回もよろしくお願いします!

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