↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

120/126

第六十話(後編):姫様の拒絶

懐かしい再会。


そして、明らかになるレイナの現状。


再会を喜ぶ一方で、

新たな問題が立ちはだかります。


今回も楽しんでいただければ嬉しいです。

「……フィリア」


リシェルが。


小さく呟く。


薬草を摘んでいた。


一人のエルフが。


こちらへ顔を向ける。


「……?」


フィリアが。


目を細める。


そして。


動きを止めた。


「…………」


しばらく。


互いに。


見つめ合う。


「……リシェル?」


「はい」


その瞬間。


リシェルが。


駆け出した。


「リシェル……!」


フィリアも。


薬草を置いて。


駆け出す。


二人は。


そのまま。


互いの前で。


足を止めた。


「…………」


そして。


リシェルが。


フィリアの手を。


ぎゅっと握る。


「お久しぶりです」


「……本当に」


フィリアが。


少し笑う。


「久しぶりね」


「何年ぶりかしら……」


「四百年……」


リシェルが。


少し考える。


「いえ」


「もっとですね」


「ふふっ」


フィリアが。


小さく笑う。


「そうね」


「もっと昔だわ」


二人は。


しばらく。


互いの顔を見ていた。


やがて。


フィリアが。


ふと。


周囲を見る。


「それで?」


「どうして、ここへ?」


「…………」


リシェルが。


少しだけ。


表情を変える。


「実は」


「探している人がいるんです」


「人?」


「はい」


「人間の女性です」


フィリアが。


少し驚く。


「人間……?」


「かなりの重傷だったはずです」


「もしかすると」


リシェルが。


続ける。


「こちらへ運ばれているかもしれません」


「…………」


フィリアが。


少し考える。


そして。


ふと。


何かを思い出したように。


「ああ……」


「もしかして」


「レイナさんのこと?」


「……!」


リシェルが。


目を見開く。


「知っているんですか?」


「ええ」


フィリアが。


頷く。


「私が見つけたの」


「……フィリアが?」


「そう」


フィリアが。


少し笑う。


「谷底でね」


「ひどい怪我だったわ」


リシェルは。


しばらく。


言葉を失った。


「……そうだったんですね」


その時。


フィリアが。


後ろを見る。


「それより」


「後ろの方々は?」


「…………」


リシェルも。


振り返る。


エリック。


エリシア。


ミーナ。


ルチア。


四人は、落ちつかない様子だった。


「紹介しますね」


リシェルが。


少し笑う。


「こちらが――」


フィリアは。


四人を見ながら。


小さく首を傾げた。


「……ここで話すのも」


「少し寒いわね」


「館へ行きましょう」


「そこでゆっくり話しましょう」


「はい」


リシェルが。


頷く。


フィリアは。


摘んでいた薬草を。


籠へ戻す。


「それに」


「あなたと話したいことが」


「たくさんあるもの」


リシェルが。


少しだけ。


嬉しそうに笑った。


「私もです」


館へ戻ると。


フィリアは。


温かい薬草茶を用意した。


「こうして話すのも」


「本当に久しぶりね」


「そうですね」


リシェルが。


お茶を一口飲む。


「昔は」


フィリアが。


懐かしそうに笑う。


「あなたの側にいるだけで大変だったわ」


「そうでしたか?」


「覚えてないの?」


「……あまり」


「ふふっ」


フィリアが。


楽しそうに笑う。


「薬草を勝手に持ち出したり」


「薬を作ってみたいと言って、館を散らかしたり」


「それは……」


リシェルが。


少し困った顔をする。


「覚えています」


「覚えてるんじゃない」


フィリアが。


笑う。


「それから――」


しばらく。


二人の昔話が。


続いた。


エリックたちは。


静かに。


その話を聞いていた。


やがて。


フィリアが。


ふと。


エリックを見る。


「そういえば」


「あなたたちは」


「レイナさんを探していたのよね」


「はい」


リシェルが。


頷く。


「その話を聞かせてもらえますか?」


「もちろん」


フィリアは。


少し表情を改める。


「レイナさんを見つけた時のことから」


「話しましょうか」


「レイナさんは」


フィリアが。


静かに。


口を開く。


「お命を助けるため」


「血判の儀式を行いました」


「血判の儀式……」


リシェルが。


小さく呟く。


「やはりですか」


フィリアが。


頷く。


「はい」


「その儀式によって」


「レイナさんは」


「姫様の護衛役となりました」


「…………」


エリシアが。


黙って。


フィリアを見る。


「血判の儀式で結ばれた契約は」


フィリアが。


続ける。


「変えることができません」


「つまり……」


エリシアが。


小さく。


言葉を漏らす。


「レイナは」


「もう私の護衛には戻れない……」


「はい」


フィリアが。


静かに。


頷いた。


「レイナさん自身の意思とは関係なく」


「お命を助けるために」


「そういう契約を結ぶしかありませんでした」


「…………」


エリシアは。


何も言わなかった。


リシェルも。


静かに。


目を伏せる。


しばらく。


誰も。


口を開かなかった。


「……」


そして。


ゆっくりと。


顔を上げる。


「……とりあえず」


「レイナに会うことは」


「できませんか?」


フィリアは。


少し考える。


「……難しいかもしれません」


「今のレイナさんは」


「姫様の護衛ですから」


「そうですか……」


エリシアが。


小さく。


目を伏せる。


「ですが」


フィリアが。


続ける。


「明日」


「私が姫様にお会いして」


「事情を聞いてきます」


「……本当ですか?」


「ええ」


フィリアが。


頷く。


「レイナさんのことですもの」


「私も」


「できる限りのことはします」


「ありがとうございます」


エリシアが。


頭を下げる。


「それでは」


フィリアが。


微笑む。


「今日は一晩」


「ここに泊まってください」


「明日」


「私から姫様に話をしてきます」


「……分かりました」


エリシアが。


小さく頷く。


リシェルも。


静かに。


頷いた。


「では」


フィリアが。


立ち上がる。


「今日はゆっくり休みましょう」


「長旅だったでしょうから」


「はい」


エリシアは。


もう一度。


小さく頷いた。


けれど。


その表情には。


まだ。


不安が残っていた。


――翌朝。


まだ。


朝の空気が。


冷たい時間。


フィリアは。


一人。


上層階へ向かっていた。


やがて。


広い場所へ出る。


「……」


フィリアが。


足を止める。


遠くに。


一人の女性が。


立っていた。


レイナだった。


手には。


木刀。


「……っ」


レイナが。


木刀を振る。


素振りを。


何度も。


繰り返している。


その少し後ろには。


ミッシュルが。


静かに。


立っていた。


レイナを。


見守っている。


「…………」


フィリアは。


しばらく。


その姿を見ていた。


そして。


ふっと。


微笑む。


「……元気そうね」


小さく。


呟く。


それ以上。


近づくことはしなかった。


フィリアは。


そのまま。


視線を。


西ノ宮へ向ける。


「さて……」


姫様に。


話をしなければならない。


フィリアは。


静かに。


西ノ宮へ向かって歩き始めた。


やがて。


姫様の部屋の前まで来る。


そこには。


姫様の側使いが。


立っていた。


「フィリアさん?」


「はい」


フィリアが。


頭を下げる。


「姫様に」


「何か御用ですか?」


「実は」


フィリアが。


少し姿勢を正す。


「姫様に面会の許可をいただきたくて」


「ああ……」


側使いが。


少し困ったように笑う。


「申し訳ありません」


「今は、お風呂に入られています」


「……お風呂?」


フィリアが。


目を瞬かせる。


「こんな早くにですか?」


「はい」


「もう?」


「はい」


側使いが。


頷く。


「では」


フィリアが。


少し考える。


「扉の前でお待ちしています」


「あの……」


側使いが。


少し言いにくそうに。


口を開く。


「フィリアさん」


「はい?」


「実は」


「姫様は、大浴場の方へ行かれています」


「……大浴場?」


「はい」


フィリアが。


首を傾げる。


「何故?」


「レイナさんが」


「稽古の終わりに」


「必ず大浴場を使われるんです」


「それに合わせて」


「姫様も大浴場へ行かれるようになりまして」


「……姫様も?」


「はい」


側使いが。


小さく笑う。


「そこで」


「レイナさんから」


「魔境の森のお話を聞かれるのが」


「最近の日課になっているんです」


「お風呂で……」


フィリアが。


思わず。


聞き返す。


「お話を?」


「はい」


側使いが。


頷く。


「なんでも」


「エリックという少年が」


「魔境の森で」


「一人でスローライフをするために」


「魔境を開拓したお話だそうで」


「…………」


フィリアが。


黙る。


「姫様は」


「そのお話を」


「いたく気に入られているご様子です」


「そのようなことが……」


フィリアは。


少しだけ。


驚いた顔をする。


そして。


ふっと。


笑った。


「……なるほど」


「なら」


「ちょうどいいですね」


「私も」


「大浴場へ行きましょう」


「そこで」


「お話しすればいいでしょうから」


側使いが。


頷く。


「はい」


「ご案内します」


大浴場。


湯気が。


静かに。


立ち込めている。


レイナは。


湯船に浸かりながら。


姫様と話していた。


「魔境では」


レイナが。


少し笑う。


「風呂ではなく」


「温泉というものがあるのですよ」


「温泉?」


フィオネ姫が。


興味深そうに。


聞き返す。


「はい」


「地面から」


「温かいお湯が湧いてくるそうです」


「まあ」


姫様が。


目を輝かせる。


「それは素敵ですね」


「私も」


レイナが。


少し考える。


「エリックの手伝いをして」


「露天風呂を作りたいと思っているんです」


「露天風呂……」


「屋外で」


「温泉に入るんです」


「外で?」


「はい」


フィオネ姫が。


楽しそうに。


想像する。


「それは気持ちよさそうですね」


「はい」


レイナも。


頷く。


「それに」


「温泉には」


「身体を温めるだけではなく」


「いろいろな効能があるそうです」


「効能?」


「魔境の森の温泉には」


「美肌と疲労回復の効能があるそうです」


「美肌……?」


フィオネ姫が。


少し驚く。


「はい」


「エリックが」


「そう言っていました」


「まあ……」


姫様が。


少し嬉しそうに。


笑う。


「それは」


「女性には嬉しいですね」


「……そうですね」


レイナも。


小さく笑った。


その時。


「ずいぶんと」


「面白そうなお話をしていますね」


「……!」


レイナが。


振り返る。


入口に。


フィリアが。


立っていた。


「フィリアさん……?」


「お久しぶりです」


フィリアが。


微笑む。


「レイナさん」


「お元気そうで」


「安心しました」


「…………」


レイナは。


少し。


目を見開いた。


「フィリアさん……」


そして。


フィオネ姫が。


フィリアを見る。


「フィリア」


「はい」


「どうしてここへ?」


「実は」


フィリアが。


静かに。


頭を下げる。


「少し」


「姫様にお話がありまして」


そう言って。


フィリアが。


ちらっと。


レイナを見る。


「……?」


レイナが。


首を傾げる。


フィオネ姫は。


その視線の意味を。


すぐに理解した。


「分かりました」


「では」


姫様が。


立ち上がる。


「後で」


「私の部屋で聞きましょう」


「二人だけで」


「はい」


フィリアが。


静かに。


頷く。


レイナは。


二人の様子を。


黙って見ていた。


――しばらくして。


姫君の私室。


フィリアの話を聞いた姫様は。


「エリシア様とは」


「会うわけにはいきません」


そう告げた。

お読みいただき、ありがとうございます!


リシェルとフィリアの再会から、レイナの現状、そしてフィオネ姫の決断へ。


それぞれの立場や想いが交差する中、物語は新たな局面を迎えます。


フィオネ姫がエリシア様との面会を拒んだ理由とは――。


その真意は、次回のお話で見届けていただければと思います。


もし本作を気に入っていただけましたら、ブックマークや評価をいただけると、とても励みになります。


皆さまの応援が、続きを書く力になります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。