第五十四話(後編) : 谷底へ
レイナが。
いなくなってから。
十三日。
エリックたちは。
レイナを探すため。
動き始めます。
果たして。
レイナは。
どこにいるのでしょうか。
今回も楽しんでいただければ嬉しいです。
「……ちょっと待て」
エリックが。
突然。
顔を上げる。
「どういうことだ?」
ミーナと。
ルチアを見る。
「俺を見送った後」
「レイナは……」
一拍。
「事件に巻き込まれたのか?」
「それとも」
エリックの表情が。
変わる。
「事故か?」
「…………」
ミーナも。
ルチアも。
答えられない。
「いずれにしても」
エリックが。
立ち上がる。
「十三日だ」
「……」
「十三日も経ってる」
Gペン型の杖を。
手に取る。
「早く探しに行かないと」
「ボス……」
ミーナが。
エリックを見る。
「行こう」
エリックが。
短く言う。
「レイナを探す」
「リシェルも来てくれ」
エリックが。
リシェルを見る。
「頼む」
「はい」
リシェルが。
頷く。
「ボルグとジンは」
エリックが。
二人を見る。
「ここを頼む」
「うむ」
ボルグが。
頷く。
「任せておけ」
ジンも。
黙って頷く。
「ルークは……」
エリックが。
足元を見る。
「お留守番だ」
「キュウ?」
ルークが。
首を傾げる。
「ジンと」
エリックが。
少し考える。
「そうだな」
マルタを見る。
「マルタの言うことを聞くんだぞ」
「キュウ……」
ルークが。
少し寂しそうに。
尻尾を下げた。
エリックたちは。
数日分の食料を。
それぞれ用意した。
「準備はいいか?」
「はい!」
ミーナが。
元気よく答える。
ルチアも。
小さく頷く。
「大丈夫です」
リシェルも。
頷いた。
エリックは。
三人を見る。
「じゃあ」
「ラグノへ行こう」
四人が。
魔法陣の上に立つ。
淡い光が。
足元から広がった。
次の瞬間。
四人は。
ラグノへと転移した。
「まずは」
エリックが。
周囲を見渡す。
「レイナの足取りを探そう」
ラグノに着くと。
エリックたちは。
街道へ向かった。
「ここからは」
エリックが。
街道の先を見る。
「歩いて探すしかないな」
「そうですね」
リシェルが。
頷く。
ミーナとルチアも。
その後ろに続く。
四人は。
レイナが戻るはずだった道を。
歩き始めた。
しばらくして。
「……レイナは」
エリックが。
少し考える。
「攫われたんじゃないか?」
「えっ?」
ミーナが。
驚く。
「攫われた……?」
ルチアも。
不安そうに。
エリックを見る。
「でも」
エリックが。
歩きながら。
「レイナに不意打ちは効かない」
「……そうですね」
ルチアが。
頷く。
「加護がありますから」
「それに」
エリックが。
少し考える。
「一級認定剣士だ」
「数人程度なら」
「まず負けないだろ」
「はい」
ミーナも。
頷く。
「十人……」
「それ以上なら」
エリックが。
足を止める。
「可能性はある」
「でも」
ルチアが。
首を横に振る。
「それだけの人数なら」
「かなり目立ちます」
「……」
エリックが。
考える。
「帰り道」
「怪しい馬車とすれ違わなかったか?」
「馬車ですか?」
ミーナが。
少し考える。
「何台か、すれ違いました」
「どんな馬車だった?」
「どれも」
ルチアが。
答える。
「商人の荷物用の馬車だったと思います」
「後ろに」
ミーナが。
思い出す。
「野菜や木の実なんかを」
「たくさん積んでいました」
「……」
エリックが。
黙る。
「怪しい馬車は」
「なかったんだな?」
「はい」
二人が。
頷いた。
「……そうか」
エリックは。
再び歩き始める。
「なら」
「攫われた可能性は低い」
「……」
リシェルが。
少し考える。
「レイナさんを」
「エリシア様から引き離して」
「その隙に、エリシア様を襲う予定だったのでは?」
「……」
エリックが。
少し考える。
「ミーナ」
「はい」
「帰りの馬車」
「エリシアは襲われなかったんだな?」
「はい」
ミーナが。
すぐに答える。
「私とルチアは」
「一号車に乗っていましたから」
「誰かが襲ってくれば」
「すぐに分かります」
ルチアも。
頷く。
「それどころか」
「帰り道は歓迎ムードでした」
「町の人たちも」
「手を振ってくれていました」
「……」
リシェルが。
黙る。
「じゃあ」
ミーナが。
少し考える。
「エリシア様を襲うために」
「レイナを引き離したわけでは……」
「ないな」
エリックが。
静かに答える。
「少なくとも」
「襲撃が目的だった可能性は消える」
エリックが。
ふと。
足を止める。
「……そういえば」
「レイナと」
少し考える。
「ラグノに辿り着く前」
「あの日」
「雨が降っていた」
ミーナと。
ルチアが。
顔を見合わせる。
「そうでしたね」
リシェルも。
頷く。
「ラグノに着いた時は」
エリックが。
空を思い出す。
「少し薄暗かった」
「……」
エリックが。
街道を見る。
「まさか」
「レイナは」
「ラグノで一泊せずに」
「そのまま」
「エリシアの馬車へ向かったんじゃないか?」
「…………」
リシェルが。
少し考える。
そして。
「もしかして……」
「事故でしょうか?」
「……十三日」
エリックが。
歩きながら。
小さく呟く。
「レイナは」
少し考える。
「水袋を一つ」
「干し肉と乾燥野菜を」
「五日分くらい持っていたはずだ」
「……」
ミーナと。
ルチアが。
黙る。
「十三日じゃ」
リシェルが。
小さく呟く。
「もう、とっくに……」
「うん」
エリックが。
頷く。
「だから」
街道の先を見る。
「早く見つけないと」
エリックが。
少し考える。
「鑑定さん」
『はい』
「レイナの居場所」
「分かる?」
少しの間。
『不明です』
「……」
エリックが。
黙る。
『現在の情報では』
『レイナの居場所を特定できません』
「手がかりが必要ってことか?」
『はい』
『居場所を特定するための手がかりが必要です』
「……手がかり」
エリックが。
街道を見る。
「何かないか」
『レイナが最後に確認された場所』
『その周辺の情報が有効です』
「……」
「なら」
エリックが。
少し考える。
「俺の魔法陣を書いた武器を探してくれ」
『……』
少しの間。
『しばらく魔法は使用できなくなります』
『推理モードに切り替えますか?』
「頼む」
『了解しました』
「…………」
エリックが。
少し待つ。
『推理モードへ切り替えます』
『周辺情報の分析を開始します』
球体魔方陣が。
激しく。
回り始める。
「……」
エリックが。
球体を見る。
『魔法陣を発見しました!』
「お」
『一つ目』
『白銀の塔です』
「エリシアの杖だな」
『はい!』
『二つ目』
『ラグノの村付近です』
「リシェルの杖」
『正解です!』
「……」
エリックが。
少し黙る。
『三つ目!』
『魔境の森です!』
「ジンの木刀だな」
『その通りです!』
「……なんで嬉しそうなんだ」
『推理モードですから!』
「…………」
球体魔方陣が。
さらに。
激しく回る。
『そして……』
少しの間。
『もう一つあります!』
「どこだ?」
『数キロ先です』
「……」
『谷底です!』
「…………」
エリックの。
表情が。
変わった。
「谷底……?」
『はい!』
「……レイナか?」
『そこまでは分かりません!』
「…………」
リシェルが。
ふと。
顔を上げる。
「……推理モードの、この声」
「ん?」
エリックが。
リシェルを見る。
「どこかで聞いたことがあるような……」
「……」
リシェルが。
少し考える。
「気のせいですよね」
「そうだな」
エリックが。
短く答える。
「まあ、いいか」
エリックは。
再び。
谷の方向を見る。
「……行くぞ」
今回は。
レイナを探すため。
エリックたちが。
動き始めました。
そして。
鑑定さんの。
推理モードも登場。
いくつかの魔法陣を。
手がかりに。
最後に見つかったのは。
「谷底です!」
という。
思わぬ場所でした。
果たして。
そこにいるのは。
レイナなのでしょうか。
次回も楽しんでいただければ嬉しいです。
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