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第五十話(後編) : 最優秀賞の行方

スイーツ祭りも。


いよいよ。


最後の瞬間を迎えます。


果たして。


どんな結果が待っているのでしょうか。


今回も楽しんでいただければ嬉しいです。

エリックは。


ちらっと。


エリシアを見る。


「次は……」


少し考えて。


「ミューレの湖のほとりに咲いてた花だな」


「……ああ」


エリシアが。


少し驚く。


「すごく綺麗でしたね」


「うん」


エリックは。


素直に頷く。


「初めて、二人だけで行った場所だったしな」


「……そうでしたね」


エリシアが。


湖の景色を思い出すように。


小さく笑う。


「一緒に釣りもしました」


「うん」


エリックは。


花の形を作り始める。


「釣れなかったけどな」


「……そうでしたね」


エリシアは。


少しだけ苦笑する。


「結局、魚の姿は一度も見ませんでした」


「でも、楽しかっただろ」


「はい」


エリシアが。


素直に頷く。


「とても」


エリックは。


満足そうに。


花の形を完成させる。


エリックは。


次の生地を手に取る。


「次は……」


ミーナとルチアを見る。


「米だな」


「お米ですか?」


「うん」


エリックは。


少し考える。


「稲穂にするか」


「稲穂……」


ミーナが。


目を輝かせる。


「私たちが渡したお米ですね!」


「そう」


エリックは。


細く伸ばした生地を。


一本ずつ整えていく。


穂先を。


小さく。


丁寧に形作る。


ルチアが。


じっと見つめる。


「……お米が、こんな形になるんですね」


「うん」


エリックは。


最後に。


稲穂をそっと立てる。


「これでいい」


エリックは。


完成した稲穂を。


そっと並べる。


「……次は」


エリックが。


ボルグを見る。


「ボルグだな」


「わしか?」


ボルグが。


少し驚く。


「やっぱり鍵だな」


「……鍵?」


エリックは。


頷く。


「うん」


細く伸ばした生地を。


丁寧に形作っていく。


持ち手。


そして。


細かな溝。


少しずつ。


鍵の形になっていく。


「……なるほどのう」


ボルグは。


完成していく鍵を見つめる。


「わしといえば、やはりこれか」


「そうだな」


エリックは。


小さく頷いた。


「いつも鍵を開けてるし」


「……」


ボルグが。


少しだけ苦笑する。


「そういう意味かい」


エリックは。


ガレスとロイドを見る。


「……」


少し考える。


「……」


さらに考える。


「……思いつかない」


「おい!」


ガレスが。


思わず声を上げる。


ロイドも。


呆れたようにエリックを見る。


すると。


ミーナとルチアが。


顔を見合わせた。


「酒樽でしょう」


「酒樽だね」


「……」


エリックが。


二人を見る。


「それだな」


「だよね」


「うん」


エリックは。


納得したように頷く。


「酒場がある街では……」


少し考えて。


「いつも、みんなにバレないように出かけてたからな」


「そうそう」


ミーナが。


頷く。


「毎回こっそりでしたね」


「……」


ガレスとロイドが。


黙り込む。


「……俺たち、そんな印象なのか?」


ロイドが。


小さく呟いた。


「酒樽だね」


ルチアが。


即答した。


エリックは。


少しだけ。


手を止めた。


「次は……」


考える。


「ドラゴンの卵だな」


「……ドラゴンの卵?」


エリシアが。


首を傾げる。


「魔鏡の家にある」


エリックは。


小さく頷く。


「リシェルとジンが留守番してくれてる」


「そうでしたね」


エリシアが。


微笑む。


エリックは。


卵の形を。


丁寧に作り始めた。


エリックは。


最後の生地を手に取る。


そして。


ちらっと。


ナタルを見る。


「最後は……」


少し考えて。


「チーズケーキだな」


「……俺の店か?」


ナタルが。


少し驚く。


「うん」


エリックは。


頷いた。


「ここで会ったからな」


「……そうか」


ナタルは。


小さく笑った。


エリックは。


チーズケーキの形を。


丁寧に作っていく。


最後の一つを。


箱の中へ。


そっと収める。


「……完成」


エリックが。


小さく呟いた。


八種類。


それぞれを。


丁寧に箱へ詰めていく。


全部で。


十箱。


最後に。


蓋をする。


その中央には。


家紋の焼印が入っている。


「……」


エリックは。


一つずつ。


並べていく。


ナタルも。


完成した箱を見つめる。


「これが……」


「うん」


エリックが。


頷く。


「審査員の人たちに渡す」


五人の審査員。


それぞれに。


一つずつ。


菓子が並べられていく。


豪華なケーキ。


色鮮やかなタルト。


果物をふんだんに使った菓子。


どれも。


見た目からして華やかだった。


そして。


最後の一箱。


エリックたちの箱が。


審査員の前へ置かれる。


「……」


審査員の一人が。


蓋を見る。


中央には。


家紋の焼印。


「これは……」


ゆっくりと。


蓋を開ける。


カパッ。


「……!」


審査員の目が。


大きく開く。


仕切られた箱の中。


そこには。


八種類の練り切りが。


一つずつ。


丁寧に収められていた。


色も。


形も。


すべて違う。


「これは……」


別の審査員も。


身を乗り出す。


「まるで……宝石のようだ」


「ほう……」


審査員たちは。


しばらく。


箱を眺めていた。


「見事ですね」


「これほど繊細な菓子は……」


一人の審査員が。


黒文字を手に取る。


「どれ」


小さく。


笑う。


「食べてみるか」


黒文字で。


一つ。


練り切りを取る。


口へ運ぶ。


「……」


しばらく。


黙る。


そして。


「なんだ……この味は」


「?」


隣の審査員が。


顔を上げる。


「上品な甘さだ」


別の審査員も。


一口。


「……なるほど」


静かに。


頷く。


「甘い」


だが。


しつこくない。


素材の味も。


ほんのりと残っている。


「これは……」


審査員が。


手元の紙へ。


何かを書き込む。


その横では。


別の菓子の審査が。


進んでいる。


華やかな菓子。


大きな菓子。


美しい菓子。


そして。


小さな。


八種類の菓子。


審査員たちは。


一つずつ。


味を確かめていく。


「……」


やがて。


最後の一つを。


黒文字で取る。


口へ運ぶ。


「ふむ……」


審査員が。


静かに頷いた。


そして。


箱を見る。


「菓子だけではない」


「え?」


隣の審査員が。


顔を向ける。


「この箱もです」


家紋の焼印。


八つに分かれた仕切り。


一つ一つ。


丁寧に収められた菓子。


「商品として考えられている」


審査員は。


そう言って。


もう一度。


箱を見つめた。


審査が。


終わった。


五人の審査員は。


それぞれの手元にある紙を。


何度も見直している。


会場には。


緊張した空気が漂っていた。


やがて。


モメニアが。


前へ出る。


「それでは」


会場が。


静かになる。


「これより。


結果を発表いたします」


モメニアが。


ゆっくりと。


会場を見渡す。


「今年も。


銅賞。


銀賞。


そして。


金賞を用意しております」


参加者たちが。


息を呑む。


「なお」


一拍。


「金賞に選ばれた二組の中から。


最優秀賞を。


一組に決定いたします」


「……!」


会場が。


ざわつく。


「それでは。


まずは銅賞からです」


モメニアが。


手元の紙を見る。


「エントリー番号――一番」


「アイアン・オーブン工房」


「銅賞」


「やった!」


ドランが。


拳を握る。


続いて。


「エントリー番号――二番」


「ホップ・アンド・ホイップ醸造菓子店」


「銅賞」


「よかったですね」


ガリンが。


仲間と顔を見合わせる。


「エントリー番号――四番」


「ナッツ工房『ズール』」


「銅賞」


「……ふぅ」


ズールが。


胸を撫で下ろす。


「ここから。


銀賞です」


モメニアが。


紙をめくる。


「エントリー番号――三番」


「アンビル砂糖菓子店」


「銀賞」


「……はぁーー」


シルヴィが。


大きく息を吐く。


「まぁ……よくやった」


続いて。


「エントリー番号――五番」


「ハース・スウィーツ」


「銀賞」


「チクショ。


今回も銀賞かよ」


フェルナが。


悔しそうに呟く。


「まぁ。


そう肩を落とすな」


仲間が。


声をかける。


「エントリー番号――七番」


「モール・ベーカリー」


「銀賞」


バルトが。


小さく頷く。


「……よし」


そして。


モメニアが。


次の紙を見る。


「エントリー番号――六番」


一拍。


「ベイン・シュガー工房」


「金賞」


「……!」


ルチルバースが。


目を見開く。


次の瞬間。


「やったぞ!」


仲間たちと。


肩を組む。


会場から。


拍手が起こる。


モメニアは。


淡々と。


次の紙をめくる。


「エントリー番号――八番」


「アイス・ヴェイン工房」


「銀賞」


「……」


クーラが。


小さく頭を下げる。


そして。


「エントリー番号――九番」


「ディープ・ハニカム工房」


一拍。


「銀賞」


「……!」


メルタたちが。


顔を見合わせる。


「……」


その瞬間。


エリシアが。


エリックを見る。


エリックも。


エリシアを見る。


「……」


二人とも。


何も言わない。


ただ。


小さく。


頷いた。


レイナが。


静かに息を吐く。


ミーナとルチアの。


尻尾が。


大きく揺れる。


ボルグも。


髭を撫でながら。


「……なるほどのう」


そして。


モメニアが。


最後の紙を見る。


「エントリー番号――十番」


ナタルが。


息を呑む。


「チーズケーキ工房『ナタル』」


一拍。


「金賞」


「……!」


「やったな」


エリックが。


小さく呟く。


「やった……!」


エリシアが。


嬉しそうに。


両手を握る。


ミーナとルチアも。


顔を見合わせる。


「金賞だ!」


「やったぁ!」


ボルグも。


拳を握る。


レイナは。


静かに。


頷いた。


ナタルは。


しばらく。


言葉が出なかった。


「……金賞」


小さく。


その言葉を。


噛みしめる。


モメニアが。


二組を見る。


「さて――」


一拍。


「ここから。

最優秀賞を発表いたします」

今回は。


スイーツ祭りの結果発表でした。


エリックたちが作った。


八種類の練り切り。


そして。


グルメアで出会った人たち。


今回の出来事が。


この街にとって。


新しいきっかけになっていけばと思います。


次回も楽しんでいただければ嬉しいです。


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