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NEURON STAR  作者: リンダ


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41/50

十一の終末

第43話 十一の終末


 ノクスは眠り始めた。


 だが、人類とセラトにとって、それは「終わった」という意味ではなかった。


 むしろ逆だった。


 一つの危機を止めることに成功しかけたからこそ、その向こう側にある十一の危機が見えるようになった。


 アンブラ・ネットワークが示した銀河図。


 そこには、ノクスと酷似した複合高密度天体が、少なくとも十一個存在していた。


 質量。


 速度。


 内部磁場。


 核群構造。


 全てが完全に同じではない。


 だが。


 複数の高密度核。


 共有外層。


 恒星や褐色矮星へ接近する傾向。


 そして、通過した恒星系に残される異常な重元素帯。


 偶然の一致とは考えにくかった。


     ◇


 2253年11月3日。


 地球・セラト・アンブラ共同観測会議。


 巨大な銀河投影図の中に、十二個の赤い点が表示されていた。


 その一つ。


 太陽系へ向かっていたノクス。


 残る十一。


 人類側では暫定的に、N-BETA群と呼ばれることになった。


 番号は距離順ではない。


 アンブラが観測を始めた順番だった。


 B1。


 B2。


 B3。


 そしてB11。


     ◇


「全部、恒星系へ向かっているのですか」


 レア・モーガンが尋ねた。


 アンブラの返答。


全部ではない


今は


     ◇


 その言葉に、会議室が静まった。


「今は?」


     ◇


進路は変わる


食べるものを探す


     ◇


 ノクスと同じ。


 恒星。


 褐色矮星。


 高密度分子雲。


 場合によっては巨大ガス惑星。


 エネルギーと物質を得られる天体へ、自ら進路を変える。


     ◇


 現在、十一個のうち。


 三個は明確に恒星系へ接近中。


 二個は高密度星間雲へ。


 六個は恒星間空間を移動している。


     ◇


 その六個も。


 安全とは言えない。


     ◇


 百年後。


 千年後。


 一万年後。


 新しい天体を見つければ、進路を変える可能性がある。


     ◇


 人類が七十年後に直面するはずだった終末は。


 銀河のあちこちで。


 何度も起きているのかもしれない。


     ◇


 エレナ・ヴァルガスは、アンブラへ問いを返した。


「すでに危険域にある恒星系に、文明の存在は確認できますか」


     ◇


 アンブラ。


一つ


     ◇


 表示。


 B4。


     ◇


 進路上にある恒星。


 黄色主系列星。


 惑星、少なくとも五。


 第三惑星。


 大気。


 液体の海。


 夜側から、不自然な電磁波。


     ◇


 技術文明が存在している可能性。


 推定。


 八十二パーセント。


     ◇


 B4到達まで。


 その文明側の時間尺度で。


 およそ百九十年。


     ◇


「まだ知らない可能性は?」


 ミラ・セデックが火星から尋ねた。


 アンブラ。


高い


     ◇


 文明の観測技術。


 地球より低い可能性。


 宇宙望遠鏡。


 重力波観測。


 恒星間通信。


 どこまで発達しているか分からない。


     ◇


 もし。


 彼らがB4に気づいていなければ。


 百九十年後。


 ある日突然。


 空の異変から、自分たちの終わりを知る。


     ◇


 人類が。


 七十年前にノクスを発見したように。


     ◇


 アンブラから問いが届く。


知らせるか


     ◇


 それは簡単な問いではなかった。


 警告を送る。


 その文明が受信できる保証はない。


 理解できる保証もない。


     ◇


 さらに。


 地球。


 セラト。


 アンブラ。


 それぞれの位置。


 通信技術。


 存在。


     ◇


 全てを未知文明へ知らせることになる。


     ◇


「相手が敵対的だったら?」


 安全保障代表。


「こちらの座標を教えることになります」


 レア。


「でも、黙っていたら百九十年後に滅びるかもしれない」


「私たちの責任ではない」


     ◇


 ミラが返した。


「ノクスを知らなかった時の私たちに、誰かが警告できたのに黙ってたと後から知ったら、どう思いますか」


     ◇


 誰もすぐには答えなかった。


     ◇


 セラト側から。


警告することを支持します


     ◇


 理由。


     ◇


私たちは、人類から危険を押しつけられる可能性がありました


人類は私たちを知り、止めました


知らない相手も、同じように扱います


     ◇


 アンブラ。


支持


     ◇


 SEED代表。


支持


     ◇


 地球圏評議会。


 採決。


     ◇


 警告送信。


 可決。


     ◇


 ただし。


 直接座標を完全公開しない。


     ◇


 最初の通信では。


 警告のみ。


 B4の位置。


 予測軌道。


 推定到達時期。


 観測方法。


 ノクス型天体の特徴。


 そして。


 受信できた場合の返信用数学系列。


     ◇


 地球の位置は。


 銀河領域まで。


     ◇


 セラト。


 同様。


     ◇


 詳細座標は。


 相手からの応答後。


     ◇


 警告文の作成には。


 言語を使わない。


     ◇


 素数。


 元素スペクトル。


 水素線。


 恒星配置。


 軌道図。


 重力波。


     ◇


 そして。


 B4の未来位置。


     ◇


 最後に。


 一つの単純な図。


     ◇


 恒星。


 惑星。


 接近する高密度天体。


     ◇


 その間に。


 危険を示す。


 反復構造。


     ◇


 通信機。


 月面。


 火星。


 セラト。


 アンブラ。


     ◇


 四文明が。


 それぞれ異なる方向から同じ警告を送る。


     ◇


「一つだけだと、自然現象と間違えられるかもしれない」


 オーブ。


複数地点から同一情報が届けば


人工信号と認識される可能性が高まります


     ◇


 送信。


     ◇


 地球。


     ◇


 セラト。


     ◇


 アンブラ。


     ◇


 ミラー。


     ◇


 四つの文明から。


 まだ名前も知らない第五の文明へ。


     ◇


危険が向かっている


     ◇


空を見てほしい


     ◇


 返事が来るとしても。


 何十年。


 何百年後かもしれない。


     ◇


 今の世代が。


 その答えを聞くことはない可能性が高い。


     ◇


 それでも。


 警告は送られた。


     ◇


 そして。


 対象はB4だけではなかった。


     ◇


 B7。


 進路候補先。


 赤色矮星系。


 生命圏不明。


     ◇


 B9。


 二重星系。


 惑星あり。


     ◇


 B11。


 銀河腕内部。


 恒星密集域。


     ◇


 現在文明を確認できなくても。


 未来に接近する可能性がある恒星系へ。


 観測データを送り続ける。


     ◇


 人類。


 セラト。


 アンブラ。


 そしてSEED。


     ◇


 新計画。


PROJECT BEACON


 灯台計画。


     ◇


 銀河の中に。


 警告を残す。


     ◇


 一文明が滅びても。


 次の文明が。


 ノクス型天体の存在を早く知れるように。


     ◇


 方舟計画で使用予定だった深宇宙通信技術。


 観測機。


 自己修復型SEED。


     ◇


 それらの一部が。


 灯台へ転用される。


     ◇


 再び。


 方舟支持者から反発。


     ◇


「今度は、まだ見つかってもいない異星文明のために、私たちの船を削るのか」


     ◇


 地球残留者。


「方舟だけが未来ではない」


     ◇


 エレナは。


 両方の意見を受け止める。


     ◇


「灯台へ使う資源には上限を設けます」


     ◇


 方舟建造。


 完全停止しない。


     ◇


 PROJECT LULLABY。


 優先。


     ◇


 BEACON。


 既存観測機とSEEDを中心に構築。


     ◇


 新規大型船の建造は最小限。


     ◇


 人類は。


 自分たちを救う計画まで捨てて。


 他文明を救うとは決めなかった。


     ◇


 だが。


 警告だけは送る。


     ◇


 それが。


 現在できる範囲だった。


     ◇


 一方。


 ノクス。


     ◇


 六核。


 休眠。


     ◇


 N7。


 覚醒。


     ◇


 星の雨。


 安定。


     ◇


 内部エネルギー。


 九十八・四パーセント。


     ◇


 熱放出は。


 予定より遅い。


     ◇


 アンブラ方式による多方向分散は。


 一方向ジェットより安全。


     ◇


 だが。


 排出効率は。


 約三十一パーセント低い。


     ◇


 十六年。


     ◇


 当初予測。


     ◇


 修正。


 十九年四か月。


     ◇


「延びた」


 ミラ。


     ◇


 オーブ。


安全性を優先した結果です


     ◇


 十九年以上。


 N7は。


 眠らず。


 監視を続ける。


     ◇


 そして。


 その間。


 ノクス本体は。


 依然として高速で移動している。


     ◇


 自律軌道変更能力は。


 ほぼ失われた。


     ◇


 だが。


 慣性は消えていない。


     ◇


 眠っているだけで。


 太陽系へ近づき続けている。


     ◇


 現在速度。


 秒速。


 千百キロメートル以上。


     ◇


「眠らせただけじゃ駄目」


 サムエル・オルテガが言った。


「このままなら、眠った状態で太陽系へ来ます」


     ◇


 もちろん。


 活動状態よりは安全。


     ◇


 自分から太陽へ近づく軌道修正を行わない。


     ◇


 物質を捕食するための動きもない。


     ◇


 それでも。


 質量は残る。


     ◇


 強力な重力も。


     ◇


 眠った巨大天体が。


 太陽の近くを通過すれば。


 惑星軌道は乱れる。


     ◇


 地球へ直撃しなくても。


 文明は生き残れない可能性が高い。


     ◇


「次の段階です」


 サムエル。


     ◇


 ノクスを。


 移動させない。


     ◇


 あるいは。


 太陽系から十分離れた場所へ。


 固定する。


     ◇


 エレナ。


「宇宙空間で、どうやって固定するのですか」


     ◇


 宇宙には。


 地面がない。


     ◇


 アンカーを打ち込む場所もない。


     ◇


 停止。


 という言葉自体。


 絶対的なものではない。


     ◇


 何に対して止めるのか。


     ◇


 太陽?


     ◇


 銀河?


     ◇


 周囲の恒星?


     ◇


 宇宙背景放射?


     ◇


 サムエル。


「正確には、太陽系へ近づかない速度ベクトルへ変更する必要があります」


     ◇


 完全停止。


 必要なし。


     ◇


 現在速度を。


 十分に下げ。


     ◇


 太陽系から外れる方向へ。


 少しずつ曲げる。


     ◇


 最終的には。


 恒星密度の低い領域へ。


 長期安定軌道。


     ◇


 だが。


 ノクスの巨大な質量。


     ◇


 通常の推進装置では。


 ほぼ動かせない。


     ◇


 MOSAIC BRIDGE。


 もともとは。


 複数の小惑星。


 人工質量。


 重力トラクター。


     ◇


 長期間かけ。


 軌道を少しずつ変える計画。


     ◇


 眠ったノクスなら。


 抵抗しない。


     ◇


 軌道を戻そうとしない。


     ◇


 そこに。


 新しい可能性があった。


     ◇


 アンブラから。


 提案。


     ◇


固定ではなく


囲む


     ◇


「囲む?」


     ◇


 アンブラ文明。


 恒星を持たない。


     ◇


 数億の小天体が。


 互いの重力を利用し。


 ネットワーク全体の位置を維持している。


     ◇


 一つの中心。


 なし。


     ◇


 多数の小さな質量。


 互いに。


 引き。


 押し。


 軌道を調整。


     ◇


 同じ方法で。


 ノクスの周囲へ。


 人工的な質量ネットワークを作る。


     ◇


 無数の小惑星。


 採掘済み残骸。


 人工質量体。


 セラト生体構造。


 SEED推進機。


     ◇


 ノクスを直接引くのではない。


     ◇


 周囲の重力場全体を。


 わずかに偏らせる。


     ◇


 一方向から強く引けば。


 ノクスが反応する。


     ◇


 多数方向から。


 絶えず。


 微調整する。


     ◇


 人類側。


 暫定名称。


GRAVITY CRADLE


 重力のゆりかご。


     ◇


 ミラ。


「眠ってる星を、ゆりかごに入れるの」


     ◇


 安全保障代表。


「名前は後でいい」


     ◇


 アンブラ式。


 最低。


 質量ノード。


 二十万。


     ◇


 一ノード。


 平均。


 直径百メートル級人工質量体。


     ◇


 または。


 数キロメートル級小惑星を分割利用。


     ◇


 ノクス周囲。


 数百万キロメートルから。


 数億キロメートル。


     ◇


 球殻状に配置。


     ◇


 それぞれが。


 自律推進。


     ◇


 ノクスの進路。


 内部質量移動。


 星の雨による反作用。


     ◇


 全てを観測し。


 重力場を補正。


     ◇


 長期間。


 少しずつ。


 速度を落とす。


     ◇


 どれくらい。


     ◇


 第一試算。


     ◇


 現在の速度を。


 太陽系危険域から外せる程度まで変える。


     ◇


 必要期間。


 百四十三年。


     ◇


 会議室。


 沈黙。


     ◇


「七十年に間に合わない」


     ◇


 サムエル。


「現在の構成なら」


     ◇


 ノード数。


 二十万。


     ◇


 五十万。


     ◇


 期間。


 八十九年。


     ◇


 百万。


     ◇


 五十八年。


     ◇


 ノクス太陽系到達予測。


 残り。


 六十九年余り。


     ◇


 理論上。


 間に合う。


     ◇


 ただし。


 質量ノード。


 百万。


     ◇


 異常な規模。


     ◇


 人類の小惑星採掘。


 セラトの資源。


 アンブラの小天体。


     ◇


 全てを組み合わせても。


 足りない可能性。


     ◇


 さらに。


 百万のノードを。


 何十年も。


 故障なく。


 制御する。


     ◇


 SEED。


 ミラー。


 アンブラ。


     ◇


 三種の分散知性が必要。


     ◇


「方舟の資材を」


 安全保障代表が言う。


     ◇


 再び。


 同じ言葉。


     ◇


 方舟。


     ◇


 ノクス固定。


     ◇


 警告灯台。


     ◇


 生命保存。


     ◇


 資源。


 足りない。


     ◇


 だが。


 今度は。


 選択肢が少し違う。


     ◇


 ノクスを眠らせることに。


 成功しつつある。


     ◇


 もし。


 重力のゆりかごで。


 太陽系から外せるなら。


     ◇


 地球を離れる必要そのものが。


 なくなる可能性。


     ◇


「方舟の目的が変わる」


 レア。


     ◇


 避難船。


 ではなく。


     ◇


 保険。


     ◇


 そして。


 銀河へ出る船。


     ◇


 他文明へ。


 警告を届ける船。


     ◇


 もし地球が残るなら。


     ◇


 方舟は。


 逃亡だけの船ではなくなる。


     ◇


 エレナ。


「方舟計画を中止しません」


     ◇


 議場。


 ざわめく。


     ◇


「ただし、目的を再定義します」


     ◇


 第一から第三船。


 緊急避難船。


     ◇


 第四から第六船。


 生命保存船。


     ◇


 第七以降。


 建造再検討。


     ◇


 一部。


 灯台船。


     ◇


 一部。


 重力ゆりかごの移動基地。


     ◇


 全てを。


 同じ船として造る必要はない。


     ◇


 目的ごとに。


 未来を分散する。


     ◇


 アシャ一家にも。


 新しい通知。


     ◇


 カリム。


 補欠順位。


 七位。


     ◇


 ただし。


 方舟一番船の農業区画。


 再設計。


     ◇


 緊急避難人数。


 減少。


     ◇


 生態系安定性。


 優先。


     ◇


 カリムの席。


 依然として未定。


     ◇


 ナイラは。


 通知を見て言った。


「ずっと決まらないね」


     ◇


 カリム。


「そうだな」


     ◇


「でも、地球が助かるかもしれないんでしょう」


     ◇


 アシャ。


「前よりは」


     ◇


「じゃあ、船に乗れなくても生きられるかもしれない?」


     ◇


「そう」


     ◇


 初めて。


     ◇


 方舟へ乗れない。


     ◇


 その言葉が。


 必ずしも死を意味しなくなり始めていた。


     ◇


 家族三人で。


 地球へ残る未来。


     ◇


 それも。


 選択肢になる。


     ◇


 だが。


 まだ保証はない。


     ◇


 GRAVITY CRADLE。


     ◇


 百万ノード。


     ◇


 最初の実証試験。


     ◇


 対象。


 直径。


 九十六キロメートルの小惑星。


     ◇


 周囲へ。


 六十四個の人工質量ノード。


     ◇


 それぞれ。


 独立推進。


     ◇


 中心天体へ。


 直接接触しない。


     ◇


 重力だけで。


 進路を変える。


     ◇


 試験開始。


     ◇


 六十四ノード。


 展開。


     ◇


 互いの位置。


 微調整。


     ◇


 小惑星。


 軌道。


     ◇


 変化。


     ◇


 一時間。


     ◇


 検出不能。


     ◇


 一日。


     ◇


 ごくわずか。


     ◇


 一週間。


     ◇


 予測軌道との差。


 十二メートル。


     ◇


 一か月。


     ◇


 四百八十メートル。


     ◇


 一年換算。


     ◇


 七キロメートル以上。


     ◇


 小さい。


     ◇


 だが。


 積み重なる。


     ◇


 十年。


     ◇


 百年。


     ◇


 宇宙では。


 ほんのわずかな速度差が。


 未来の位置を大きく変える。


     ◇


 試験。


 成功。


     ◇


 ただし。


 ノクスは。


 小惑星ではない。


     ◇


 質量差。


 桁違い。


     ◇


 百万ノードでも。


 ぎりぎり。


     ◇


 アンブラ。


     ◇


足りなければ増やす


     ◇


 人類。


「どこまで?」


     ◇


必要なだけ


     ◇


 アンブラにとって。


 数百万。


 数千万のノード。


 特別ではなかった。


     ◇


 彼ら自身が。


 数億の小天体からなる文明。


     ◇


 アンブラが。


 重力ゆりかごへ。


 自分たちの一部を提供すると申し出た。


     ◇


「一部?」


     ◇


八百万


     ◇


 人類側。


 沈黙。


     ◇


 八百万の小天体ユニット。


     ◇


 アンブラ文明全体。


 数億。


     ◇


 割合では。


 小さい。


     ◇


 だが。


 一つ一つが。


 独立した知性片を持つ可能性。


     ◇


「八百万を危険域へ送る?」


     ◇


 アンブラ。


     ◇


私たちは分かれる


     ◇


またつながる


     ◇


 個体という概念。


 人類とは違う。


     ◇


 それでも。


 危険はある。


     ◇


 地球。


 セラト。


 アンブラ。


     ◇


 三文明。


     ◇


 MOSAIC BRIDGE。


 再編。


     ◇


 名称。


     ◇


PROJECT ANCHOR


     ◇


 アンカー。


     ◇


 だが。


 絶対的に止めるのではない。


     ◇


 眠ったノクスを。


 生命圏から外れた長期安定航路へ。


     ◇


 ゆっくり移す。


     ◇


 目標。


     ◇


 太陽系最接近。


 最低。


 五十天文単位以上。


     ◇


 可能なら。


 百。


     ◇


 カイパーベルトより。


 さらに外。


     ◇


 太陽系へ重大な軌道撹乱を起こさない距離。


     ◇


 その後。


 銀河面上方。


     ◇


 生命圏が少ない。


 長期監視可能な空間。


     ◇


 そこで。


 眠らせ続ける。


     ◇


 あるいは。


 未来文明が。


 目覚めた核と。


 再び話し合う。


     ◇


 N7へ。


 計画を伝える。


     ◇


あなたたちを


太陽から離れた場所へ動かします


     ◇


 N7。


     ◇


遠い?


     ◇


「かなり」


 ミラ。


     ◇


太陽を食べない?


     ◇


「食べられないくらい遠くする」


     ◇


 N7。


     ◇


よい


     ◇


「あなたは?」


     ◇


見ている


     ◇


 十九年以上。


     ◇


 N7は。


 見続ける。


     ◇


 人類も。


 セラトも。


 アンブラも。


     ◇


 一緒に。


     ◇


 その頃。


 PROJECT BEACON。


     ◇


 B4文明への警告。


     ◇


 送信継続。


     ◇


 返答。


 なし。


     ◇


 当然だった。


     ◇


 距離。


 遠い。


     ◇


 それでも。


     ◇


 灯台は。


 点灯した。


     ◇


 十一の終末。


     ◇


 全部を救えるわけではない。


     ◇


 だが。


 一つの危機を知った文明が。


 次の文明へ。


 何も言わずにいる必要もない。


     ◇


 人類は。


 七十年後の終末から逃げる文明として。


 この計画を始めた。


     ◇


 今。


     ◇


 眠ったノクスを。


 動かそうとしている。


     ◇


 そして。


 銀河の向こうへ。


 警告を送っている。


     ◇


 生き残ること。


     ◇


 他者を救うこと。


     ◇


 危険を押しつけないこと。


     ◇


 その三つを。


 完全に両立できる方法は。


 まだない。


     ◇


 だから。


 文明は。


 できる範囲を。


 少しずつ広げていく。


     ◇


 ノクス表面。


     ◇


 二百四十万の小さな光。


     ◇


 星の雨。


     ◇


 その外側。


     ◇


 最初の重力ノード。


     ◇


 一基。


     ◇


 十。


     ◇


 百。


     ◇


 千。


     ◇


 PROJECT ANCHOR。


     ◇


 開始。


     ◇


 眠った巨星を。


 宇宙のどこにもぶつけず。


     ◇


 安全な場所へ。


     ◇


 何十年もかけて。


 運ぶ。


     ◇


 それは。


 人類史上。


 最大の曳航作戦の始まりだった。


第43話 終

次回予告


 アンブラの観測によって、銀河にはノクス型複合天体が少なくとも十一存在することが判明した。


 そのうちB4は、約百九十年後。


 知的生命が存在する可能性の高い恒星系へ接近する。


 人類、セラト、アンブラ、SEEDは。


 まだ名前も知らない文明へ。


 最初の警告を送る。


「危険が向かっている」


「空を見てほしい」


 返事が届く保証はない。


 今の世代が答えを聞ける可能性も低い。


 それでも。


 PROJECT BEACON。


 銀河の灯台計画が始動する。


 一方。


 PROJECT LULLABYによって眠り始めたノクスは。


 依然として秒速千百キロメートル以上で太陽系へ接近している。


 眠っただけでは。


 重力は消えない。


 そこで。


 人類はアンブラの分散重力技術を利用し。


 ノクス周囲へ百万以上の質量ノードを配置する計画を開始する。


 GRAVITY CRADLE。


 そして。


 PROJECT ANCHOR。


 ノクスを無理に引き止めるのではなく。


 数百万の小さな重力源で囲み。


 何十年もかけて速度と進路を変える。


 アンブラは、自分たちを構成する八百万の小天体ユニットを提供すると申し出る。


 セラトも生体重力膜を追加提供。


 地球では、小惑星資源船団が方舟建造とアンカー計画の間で再編される。


 第一目標。


 太陽から五十天文単位以上。


 可能なら百天文単位以上の最接近距離を確保する。


 だが。


 ノクスほどの質量を持つ天体を動かせば。


 その反作用は周囲の天体にも現れる。


 カイパーベルト。


 オールト雲。


 無数の氷天体。


 アンカー作戦そのものが。


 太陽系外縁から大量の彗星を内側へ送り込む可能性が浮上する。


 ノクスを避けられても。


 数百万個の彗星が地球へ降るなら意味はない。


 そして。


 最初の百万ノード配置シミュレーションで。


 海王星外側の小天体群に。


 予想以上の軌道変化が発生する。


 次回、


第44話「百万本の見えない糸」


 巨星を動かす時。


 太陽系のすべてが引かれ始める。

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