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NEURON STAR

作者:リンダ
最新エピソード掲載日:2026/07/14
2250年、人類は月や火星への本格的な移住を実現し、宇宙開発がかつてないほど発展していた。しかし、その繁栄の陰で、人類史上最大の危機が静かに近づいていた。地球から約150万キロメートル離れたラグランジュ点に設置された超大型宇宙望遠鏡が、背景の恒星の光がわずかに歪む重力レンズ効果を観測する。世界中の観測施設が追跡した結果、その正体は高速で移動する孤立中性子星であり、約70年後に太陽系へ最接近することが判明する。

各国首脳と科学者は極秘会議を開き、真実を公表するか、それとも文明の混乱を避けるため秘密にするかという究極の選択を迫られる。世界経済の崩壊、暴動、宗教対立、国家間戦争を恐れた各国は事実を秘匿し、その裏で人類脱出計画を開始する。表向きは月面開発、火星開発、小惑星資源開発として進められる巨大事業の真の目的は、人類を新たな恒星系へ送り出す恒星間宇宙船「方舟」の建造だった。

船内には人間だけでなく、地球の生命そのものを未来へ運ぶため、世界中の植物の種子、農作物の遺伝資源、家畜や野生動物、海洋生物、昆虫、菌類、微生物の細胞やDNAを保存し、培養する巨大な生命保存施設が造られていく。しかし、すべての人類が乗れるわけではない。限られた座席を誰に与えるのか、子どもを優先するのか、技術者や医師を選ぶのか、国家ごとに枠を設けるのか。その選抜は、家族、地域、国家を引き裂く残酷な問題となる。

70年の歳月の中で世代は交代し、計画を始めた者の多くは旅立ちの日を見ることができない。秘密を守る者、真実を追う記者、方舟を造る技術者、地球に残ると決めた人々、それぞれの人生が交差する。そして中性子星の重力は数十年前から潮汐異常、巨大地震、火山活動の活発化、異常気象、惑星軌道の変化として現れ始め、ついに世界は隠されていた真実を知る。

宇宙へ旅立つ人々と、故郷に残り最期まで地球を支える人々。最後の放送、最後の収穫、最後の音楽、最後の別れ。そして方舟の窓の向こうで崩壊していく青い惑星。これは地球を救う物語ではない。70年という長い時間をかけ、滅びゆく故郷の記憶と生命を未来へ託し、人類文明を次の星へつなごうとする壮大なSFヒューマンドラマである。
暗黒から来た影
2026/07/14 13:11
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