Lex Talionis (レクス・タリオニス)
20世紀半ば、ドイツ対ソビエト連邦の騒乱(独ソ戦)は周辺国を巻き込みながら激化し、情勢は悪化の一途を辿っていた。両国は軍事開発費の捻出を理由として過度な緊縮策を発令、その他危険因子と判断した市民を一方的に虐殺するなど、暴走に歯止めが効かなくなり始めていた。そして魔の手はのちに政界でも名の知られることとなる、アーロン=ツェデルバウムが住まうポーランド北東部の都市、ヴィリニュスにまで及ぶ。同胞たちが無慈悲な死を遂げるなかで、アーロンだけが母の決死の守護によりほぼ無傷で生き残るが、代わりに負傷した母は命を落としてしまう。彼は母の遺髪を胸の裡に秘め、静かに復讐を誓うのだった。